境界の誘惑: 小説と民俗の想像力 (作家の方法)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000035064

作品紹介・あらすじ

現代の生をとりまく境界を、自在に往き来する想像力の果敢なフットワーク。

感想・レビュー・書評

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  • 遠野物語や、与那国島の伝承を例に取りながら、人間と自然の関係について考察した本。
    自然=他界であり、人間の世界=現世だとすると、文明の発展は、他界と現世の境界線をいかに押し広げるかという戦いであり、自然が畏れを失ってしまった現代においても、個人的なレベルで他界は存在し続ける。

    他界と現世を隔てる境界線はいろいろ。川であったり、山麓であったり、海であったり、時には部屋と外を隔てるドア一枚でさえ立派な境界になる。

    女性、老人、不具者、狂人、病人など、社会的に弱い立場にある人間は自然に近く、境界越えをしやすいが、逆に社会の枠組みの中で生きてゆかなくてはならない、あるいは枠組みを支えてゆかなくてはならない男性は、境界を越えるのが不得手なのだという。

    そして境界の行き来にまつわるさまざまなエピソードは、各地に民話や昔話として残り、物語を生む母体となっている。

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著者プロフィール

1947年栃木県生まれ。早稲田大学政経学部卒。在学中に文学作品「自転車」で第1回早稲田文学新人賞を受賞。卒業後、さまざまな職歴を経て帰郷して宇都宮市役所に勤務。79年から文筆活動に専念。80年「遠雷」で第2回野間文芸新人賞、93年「卵洗い」で第8回坪田譲治文学賞、97年「毒ー風聞・田中正造」で第51回毎日出版文化賞を受賞。2010年2月逝去。

「2023年 『すらすら読める奥の細道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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