- Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003116616
作品紹介・あらすじ
幼い日の出会いから、文学の、そして人生の先輩として敬愛しつづけた「のぼさん」の思い出を、豊富な書簡をまじえて多角的に語る。高浜虚子を始め新海非風、五百木瓢亭ら同郷の若者たちとの交流が生き生きと浮かび上がる、明治の青春記。「付録」に、家庭での子規の姿を語る母と妹の聞き書き等を収録する。
感想・レビュー・書評
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河東碧梧桐の正岡子規の評伝ですね。
今日は子規の命日です。
近代俳句の立役者でもあり、後進の育成と俳句の普及に生涯をかけた子規の姿を、碧梧桐が七八才頃に出会った場面から、子規が知名度を増すまでの生きざまを描き出した作品です。
子規のあとを追うように子規を見てきた碧梧桐の詳細にわたる資料も駆使して、明治二十八年までの「子規のまだ名を成さない潜行時代」に限定し、しかも、「私だけの感想と推断と批判を率直に吐露した」子規伝です。
子規を取り巻く人々と子規の文業を、碧梧桐の回想で描き出した秀作ですね。
司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」や高浜虚子などの子規とはまた別の面をみることのできる作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
河東碧梧桐による、子規が世に出る前までの思い出を語った本。資料集的な側面もあり、例えば子規からの手紙が何通も出てくる。
読んで思うのは、碧梧桐の子規への距離感の面白さ。中にも出てくるが、別の人物(五百木瓢亭)への子規の手紙(病気になってからの手紙)で、碧梧桐に関して「小生は以前よりすでに碧梧を捨て申候」と才能がないとばっさりと断じている文があるのだが、そういう文章をあっさりと掲載しているところが面白い。つかず離れずというか、碧梧桐の個がきちんと独立した上で子規との関係を築いていたのかなと思い、意外な思いがした。 -
河東碧梧桐による子規の回想録。かなり晩年になってからの筆による為、思い出補正が掛かっているのじゃないかとも思うのですが、ライバルであった虚子以上に盲目的子規信仰者であった事を鑑みれば、まあこれくらい書いちゃうんだろうなあとも。
その為、虚子についてはソフトに触れ、畏友と並び称された夏目漱石については本の2~3頁しか割いていない上に、然程仲良くは無かった位のしょっぱさ。
それを楽しめる方には非常に美味しい一冊です。 -
バサラブックス
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子規門下の俳人、河東碧梧桐による子規回想録。子規門下双璧の片割れ高浜虚子による『回想 子規・漱石』と併せて読むとより一層深い理解を得ることが出来る。