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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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「個人情報」を握る国と「民営化された戦争ビジネス」に着手する企業との間で、人間は情報として売り買いされ、「安い労働力」として消費される商品になる。戦死しても名前が出ず数字にすらならない、この顔のない人間たちの「仕入先」は社会保障削減政策により拡大した貧困層、二極化した社会の下層部だ。たとえ一国内であれ地球全体であれ、格差は拡大すればするほど戦争ビジネスを活性化させ、そこからでる利益を増大してくれる。現在、戦争請負業界で、イラクは「ゴールド・ラッシュ」と呼ばれている。
― 188ページ -
アメリカ社会が僕から奪ったのは25条です。人間らしく生き延びるための生存権を失ったとき、9条の精神より目の前のパンに手が伸びるのは人間として当たり前ですよ。狂っているのはそんな風に追い詰める社会の仕組みの方です。僕が米兵の一人としてイラクで失う命と、日本で毎年3万人が自ら捨てる命とどちらが重いなんて誰に言えるんですか?
― 187ページ -
マスコミは兵士たちの愛国心やこの戦争の正義について書き立てていたようですが、格差社会の下層部で苦しんでいた多くの兵士たちにとって、この戦争はイデオロギーではなく、単に生き延びるための手段にすぎなかったのです。さっさとやって早く家に帰りたい、怪しい奴がいたらすぐ発砲する、死体は黙って片付ける。兵士たちは皆、そうやって機械的に考えていました。僕自身を含めてね。
― 184ページ
みんなの感想・レビュー・書評
(313レビュー)
アメリカに横たわる様々な問題がレポートされており、興味深い。
肥満問題、医療問題、貧困層が軍隊に入らざるをえない状況。
超大国アメリカの地位が揺らぐ今日、こうした問題にメスを入れ改革することが強く求められている。私たち日本人も対岸の火事とばかり傍観者を決め込むわけにはいかない。そうした意味で、本著は読みやすくわかりやすくて良かった。
アメリカの貧困事情を紹介する本のようにみえるが、
本書の要旨は「資本主義社会の行き過ぎた民営化」ではないか。
アメリカンドリームという言葉に弱いアメリカ人は自由や競争=
誰にでも与えられる機会の平等と思い込むふしがある。
決して手をつけてはいけない医療や暮らし、教育が市場に引きずり込まれた現在、
政府やメディア、大企業に搾取されていると知らずに安易に民営化を支持することは、
更なる格差の拡大を引き起こすと著者は説く。
本書では詐欺のような医療保険制度、軍隊入隊勧誘、給食制度を例に行き過ぎた民営化が紹介されている。
そして本書の最後では、相対性貧困率ランキングでアメリカに次いで
二位の日本はアメリカの後を追っていると警鐘を鳴らす。
過剰な市場原理主義の流れに呑みこまれないようにするためには「何が起きているか知ること」が大切だ。
(「BOOK」データベースより)
貧困層は最貧困層へ、中流の人々も尋常ならざるペースで貧困層へと転落していく。急激に進む社会の二極化の足元で何が起きているのか。追いやられる人々の肉声を通して、その現状を報告する。弱者を食いものにし一部の富者が潤ってゆくという世界構造の中で、それでもあきらめず、この流れに抵抗しようとする人々の「新しい戦略」とは何か。
年号、数値、図表、写真をふんだんに使っていて非常に読み易い。タイトルも貧困大国とアメリカの意外な組み合わせで目を引き、分量も200頁とコンパクトに纏まっている。内容も意外性あり、新事実ありで最後まで飽きさせない。続編が出ているようなので書店で見かければ購入するであろう。まあ、特に不満はなく良書と言える。ただ、どうしても貧困大国との結論先にありきで資料を集めた感が拭えない。この著者なら注文を受ければ「絶望大国 日本」なんかも簡単に書けてしまうのではないか。アメリカを熟知した研究家の反論があれば是非読みたい。
9.11以後のアメリカがひどいことになっていることに驚いた。新自由主義の名の下に大資本の利潤のみが追求され、中間層は破壊された。こんなアメリカを見習い、なんでもかんでも民営化するという竹中平蔵の構造改革には、寒気がする。
周りの評判を聞いて。
ディベートにも役に立つが、それ以上にアメリカ合衆国という国の貧富の差を感じました。
この本は国民の上位1%が、国内の富の4分の1を得ているという異常な状況にあるアメリカの、99%の国民に焦点を当てたルポです。
貧困層が、自らの肉体をも搾取され単なる「モノ」としてしかみなされていない現状が垣間見えました。
またそれとともに、筆者は行き過ぎた資本主義、自由主義経済の行く末を描写することで、これからそうなっていくかもしれない日本に対して警鐘を鳴らしているのではないでしょうか。
格差社会とは何かがよくわかる一冊です。
僕は「アメリカに対しての憧れ」というのを全く持っていないので、イメージ通りの内容だった。なんとなく「アメリカってこうなんだろうな」と思っていたことが、数字やインタビューで具体的に提示されていたのが良かった。
例えば、アメリカにいる350万人のホームレスのうち、50万人は帰還兵らしい。また、2007年8月時点でのイラク戦争でのアメリカ米兵の死者3666人のうち、188人は自殺らしい。この3666人というのは「米国兵」の数字で、世界に500社ある「戦争請負企業」により派遣される「傭兵」は含まれない。民間企業なので、死んでも「戦死者」にカウントされないのだそうだ。国家の責任における「戦死者」ではない、というわけ。
本書に書かれている、「民営化が国家責任の不在を招く」というのは、僕にとっては新しい視点だった。
本書(堤未果『ルポ 貧困大国アメリカ II』岩波新書、2010年)は貧困問題が深刻化するアメリカの現状を活写したルポタージュである。教育ローンや年金・医療保険、刑務所のREIT化など話題は多岐に渡るが、根本的な問題は共通する。それは公共セクターが担うサービスを民営化したことである。 政府の奨学金は民間学資ローンに移行していった。民間学資ローンでは金利引き上げなど営利ベースで運用するため、学資ロ... 続きを読む »
新書ランキングで見て購入後、紛失。発見して今更読了。
さらっと読めるが、医療のくだりは特に興味深かった。
「格差」という言葉をよく耳にするこの頃、もはや他人事ではないのかな。
自由を標榜する【アメリカ】の負の側面に焦点を当てた本著。
ずっと気にはなっていたがかの国が好きになれずにずっと手に取らずにおきましたが…読んだ感想は、やはり衝撃的、の一言。イデオロギーや愛国心からですらなく、生活苦から戦争に駆り立てられる市民の姿と、そしてそれが民営化・合理化のお題目の下に国によって打ち出されるという矛盾。自由の国、アメリカンドリームはリーマンショックを経てどこに向かうのでしょうか。
大学の時に先輩から勧められた「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命 なぜあの国にまだ希望があるのか」がすごく勉強になったので、講演会に行き、その勢いでこれ買ったのだが本棚の肥やしに長いことしてしまった。
現在日本はTPP参加するかどうかが議論されていますが、この本読んでみると、アメリカの保険制度がどういうものなのか理解できると思う。まぁ今の段階でTPPでの保険制度は議論の対象外らしいけど将来的にどうなるかわからんしね。
保険制度の他にも、イラクで働く軍人以外の人々がどうしてイラクに働きに来たのかとか、「報道が教えてくれない~」に引き続き、自分的には衝撃的な話ばっかでした。
案外簡単に読めるので堤未果さんの本は俺に合ってるなと思う。
アメリカという国の現状について書かれている。都市開発、教育、保険、医療、軍事の分野で予算削減が行われ、民営化進むことで国民生活が悲惨な状況になっていく(いる)という内容。データの信ぴょう性は分からない...
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

