グランド・フィナーレ

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062127936

感想・レビュー・書評

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  • 読み出し一発目、

    何なんだこの粋ったコテコテの文章は・・・

    とやや苦手意識を抱きそう、いやもうすでにちょびっと抱いとるなこれ、、と思う幸先悪い滑り出し。

    と思いきや途中から免疫がつき、むしろちょっと面白味を覚え始める。「グランドフィナーレ」は構成が面白い。怒濤の長文台詞で章を終わらせる斬新なスタイルが格好良く、決まっている。


    難解でナルシシズムに満ち溢れたこの独特な感じ、これがおそらく阿部和重ワールドなんでしょうなあ。

  • 「文学がようやく阿部和重に追いついた」という帯のコピーは明らかに誇張だと思います。

    しかし、全体的に「普通に面白かった」作品です。「普通に面白かった」という表現への考察はこの際置いといていただきたい。逆に、そうとしか表現できないくらい、読後感として何も残っていない、でもそこそこ面白かったことは覚えている、という作品です。

    物語の主題であるロリータコンプレックスへの現代病的アプローチや、タイトルに込められた隠喩的なものは面白く、主人公の心理描写も、なかなか危ういところで語り手としての均衡を保っています。また、随所に主人公を否定するキャラクタを出すことで、その異常性を際だたせてもいます。

    それなりに練られたキャラクタと構成なのに……やはり「薄っぺらい」物語と思ってしまいました。

    恐らく、後半途中からのラストへ向かっていく部分が、それまでの重層的な展開に比べると若干陳腐に見えてしまうからかもしれません。3分の2までは良かったのに、と思うと残念です。

    でも、あまり気にしなければさらっと読める作品ですので、オススメはできます、はい。

    (2006年読了)

  • とにかく表現力がすごい
    狂ってる!狂ってるけど、引き込まれる!
    まさに純文学といった作品だった
    他の3作は知らん


  • トーマスとヨドバシの話は無くても良かったのでは・・・?

    表題作に関してはもう少し先が描かれてもよかったとも思う。

  •  阿部和重の芥川賞受賞作。その表題作に加えて3作の短編が加わっていて神町というおそらく架空の街をキーにしてゆるやかに4つの話が繋がっている。独特のノリがあっておもしろかった。表題作は前半、村上龍のバイブスがあって退廃方向に展開していくのかなーと思ったら、純粋な悪のような描写が続く。つまり言葉の上では自分が悪いことを理解しているものの、ブレーキが効いていないように見える。同じ過ちを繰り返すのか?それとも過去に対する償いなのか?しかも、悪の種類が種類なので不快な人は心底不快だろう。でもギリギリを攻めていく姿勢が最高だなと思う。
     2004年の出版でインターネットがこれから広がっていくところ、スマホ以前の世界の話なので牧歌的で興味深いし情報テクノロジー表現がユニークだった。(docomoの携帯の機種名なんて認識するの何年振りなのか…)全体通じて子どもとの別れ、子ども同士の別れを描いており、特に子ども同士の今生の別れの切なさがよく伝わってきた。今はSNSがあるから、この切なさは共感されないかもしれないけど。
     2021年の今、読んで一番興味深かったのは「20世紀」という短編。記録社会となった今を予期していたかのような内容だった。スマホの登場により赤ちゃんの頃から写真や動画で記録され、それを多くの人に向けて発信する時代になったわけだけど、そのように記録され続けた人の自意識/時間感覚について書かれていて相当オモシロかった。(記録された過去と記録されていない過去、どちらに焦点が合いやすいか?など)しかもこの短編がSONYのCD-R(記録媒体としてのCDね)の発売に合わせて書き下ろされたという時代を感じる背景なのもあいまって好きだった。

  • ごめんなさい、私、この人とは相性悪いみたいでよくわからなかった...><

  • 「グランド・フィナーレ」これまでの作品とはちょっとトーンが違う感じ。大人っぽい。でもすごく阿部さん。良かったと思う。。主人公の心の変化が自分には共感できたので…。痛みを感じました。

  • 芥川賞受賞作。

  • 結構、期待してた。
    でも読みとれないボクが悪いのか…

    今回のはちょっと残念。

    でも、自分の欲望…。
    他人に隠し続けている欲望…は
    自分でも思わぬところで
    タガが外れることがあるんだろうか…
    と不安に思ってしまった。

  • ただのリバイバル。

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著者プロフィール

1968年生まれ。1994年「アメリカの夜」で群像新人賞を受賞しデビュー。1997年の『インディビジュアル・プロジェクション』で注目を集める。2004年、大作『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞、第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞受賞。『シンセミア』を始めとした「神町」を舞台とする諸作品には設定上の繋がりや仕掛けがあり、「神町サーガ」を形成する構想となっている。その他の著書に『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『ミステリアスセッティング』『ABC 阿部和重初期作品集』など。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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