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みんなの感想・レビュー・書評
(34レビュー)
篠田さんの本にはまるきっかけになった本。
三輪太郎の「あなたの正しさと、ぼくのセツナさ」のamazonレビューを読んでいて、「弥勒」に触れているものがあったので読み始めた。
中国の文化大革命にヒントを得て書かれたそうだが、自分が関わることの多いカンボジアのポルポト政権下を重ねて読むことが多かった。
三輪太郎の本から続けて読みポルポトや政権下の虐殺への見方が変わるきっかけになった本でもある。
非常にテーマが多岐にわたり、重い本ではあるが、是非、読んで欲しい1冊。
美術品に魅せられてアジアの小国に侵入したら革命軍に捕らえられ強制労働させられ革命思想の失敗を体験したってお話でしたが、なんだか消化不良になりました。夏の暑さのせいか?
若い頃に読んだ本。
前半は難しくてなかなか読み進められなかったけど、中盤からグングンひきこまれていって、最後は涙ぼろぼろでした。
宗教って?国って?政治って?正義って?医療って?
色々と考えることがありました。
読み応えのある作品です。
著者によると、文革時の中国にヒントを得て書かれたとそうだが、私は、タリバン支配下のアフガニスタンを連想した。 一国を管理する能力のない指導者によって指揮された革命の行方が、迫力のある筆致で綴られている。
又、作品の結末のつけ方は、見事の一言につきる。
フランス語に訳してもらいたい作品です。
ヒマラヤ山麓の架空の国を舞台として、芸術品を求めて入国した主人公が革命の混乱に巻き込まれていく、凄まじいストーリー。ネパールの地方を旅した記憶が、読みながらまざまざと蘇ってくる。
映画「キリングフィールド」に出てきた状況にも似ている。民族紛争でいえば、最近のルワンダなども連想される。
国際問題、地域紛争、宗教対立、民族、階級など、根の深い問題が様々な形で出てくる。
篠田節子を筆力を改めて認識させてくれた長編。
これは凄い。
スケールに正直驚きました。
中国の文化大革命やポルポトを思わせる節はあるものの、ヒマラヤの架空の国が舞台。
スケールの壮大さには圧倒されました。
篠田氏は一冊一冊がバラエティに富んでいて楽しい。
ヒマラヤ山脈に抱かれた小国パスキム。新聞社のキューレーターである永岡は不仲の妻の髪留めに美術品国外持出禁止のパスキムの仏の破片を見た。クーデターが起こり、鎖国状態であるパスキムに永岡は行き、混沌としたこの国の歪んだ理想境造りを見る。
ストーリーがよくつかめない話だった。キューレーターの話かと思ったら、戦争中の話のようにパスキムでの貧困や飢え、虐殺や政治の話になって。ほとんどそれの繰り返し。平等主義を掲げていても、やっぱり歪みが出てきてしまうとか。暗い話でした。
ここ最近読んだ本の中ではダントツに面白い、映画ベンハーばりの一大スペクタクルで650ページほどもある長編にもかかわらず、一気に読ませる。長岡とサンモの子供が生まれ世代をつなげてお話がつづいたら、パールバックの『大地』に迫る勢いだ。中国の文化大革命やカンボジアのポルポト政権下の人民大量虐殺など、共産主義的思想下で民がどんな扱いを受けるものなのか、事細かに書かれている。長岡が老人の手によるボール紙の仏塔を最後に選び、背負う覚悟をする下りは圧巻だ。
この本の内容はヒマラヤにある仏教文化の栄える国、パスキムで起こった政変を調べる為に潜入した新聞社員・永岡は、革命軍に捕まり壮絶な生活を強いられる。 とても面白いので、この本にお勧めです。ぜひ読んでみてください。
私の場合正直言って、「篠田節子の書く本は面白い」という固定観念に近い予断を持って読んでいる、という影響もあるのかもしれないが、まあこれもいつもの篠田節が炸裂しているじゃないか。 町田康や辻仁成、あるいは古川日出男に皆川博子といった諸氏と同じように、人心の深奥に響く文学性とエンターテインメント性とが見事に両立している作品を、この人は書く。 「弥勒」も例外ではなく、良質のミステリーを読んでいるかの... 続きを読む »
凄い強烈な小説でした。
読んでいて昔何かできいたクメール・ルージュを思い出しました。人間の極限状態を垣間見せられた感じがする。
人間を腐敗させるものとして文化や宗教、さらに近代的なもの一切を排除し、すべてを人間の、合理的判断で作り直す。ゲルツェンが結局、神として決断を下すしかないわけだけど、やはり人間は神にはなれないわけで、現実にやったとしてもこの小説と同じようにあっけなく崩壊してしまうんだろうな。
ただ、不完全という意味ではカターの町もまさに不完全だったわけで、自分自身のいる社会だって実は異常な社会なのかもしれない。でもそんなこと言い出したら、正常な社会ってなんなんだ?とも思えてきて。。。
とにかく細部まで細かく事象が記されている分、リアリティがあって、いろいろと考えさせられる小説でした◎
ヒマラヤの小国・パキスムの首都カターは、仏教美術に彩られた美しい町だった。 インドから北上するヒンドゥー教とチベットから南下するチベット密教が共存して金銀宝石を駆使した美しい仏像を作りだしていた。 一度この国の財宝を展示企画した事のある永岡は、今は新聞社で美術品の展示や美術館系の仕事をしていた。 永岡はパキスムの展示をもう一度しようと計画を立てていた。 あるパーティーの日。... 続きを読む »
架空の国のお話とは思えないほどのよくできた話。話の導入部がすばらしい。
これを書き上げた労力も並大抵のものではないだろう。
ただ筆者がここまで語らなくても読者には伝わるのではないかと思う部分が多々あり。
説明が長くなりがちで、本も厚くなってしまった印象。
もっと簡潔にかいても充分素晴らしい本だと思った。
でもこの本に出会えてよかった。
数年後また読みたい。
おそらくはチベット近辺の某国をモデルにしたパスキム。
その仏教美術に魅せられた日本の「文化人」である主人公が足を踏み入れたのは、今まさにクーデターの最中の国。
緻密な筆致が読むごとに迫力を増し、生と死と、宗教と国家、そして命を問いかける重厚な内容。
人の価値観の根底をがっつり掴んで揺さぶりをかけ、果たして自分の信じていたものが正しかったのか、と問いただす読了後。
精神状態が万全なときに読むのをおすすめ。
かなりヘヴィです。
ただし、覚悟して読むだけの価値あり!
厚みもあっぱれ、読み手への挑戦をがっしりと受けて立ちましょう!
11月23日読了。「このミステリーがすごい!」1999年度の第17位の作品。中国・インド・ネパールに国境を接するとされる架空の国パスキムの文化・芸術に魅せられた日本の新聞記者が、政情不安の只中のパスキムに潜入しそこで見たものと、1年のパスキム滞在で彼が体験することとは・・・?高潔と堕落、文明と退廃など異なる価値観が交錯し、宗教とは?国家とは?幸福とは?人間とは?と、「答えは様々なのだよ」などとしたり顔の結論では済まされない問いかけが押し寄せる傑作。読み進む間の緊張感もたまらないものがあり、重い読後感が残る。オチでアッと言わされるようなカタルシスミステリーを求める人には向かないだろうが、実に読み応えのある傑作。
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

