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みんなの感想・レビュー・書評
(22レビュー)
大歌手・橘百合子はふとしたきっかけで自分の過去に思いを馳せる。あの時、もしも違う選択をしていたら……。
「現在」、「過去」、ありえたかもしれない「もう一つの過去」の3つの時系列を行きつ戻りつしつつ、昭和初期の風俗を細かいディテールまで綿密に描き込む筆致が素晴らしく、まさにその時代に生きているかのような感覚が味わえる。
ありがちなネタのような気もするけど、ラストのドンデン返しには見事に一本くらいましたよw。
題名が題名だがちゃんとした?小説。
歌手として成功を収めた橘百合子が37年前の運命の日を振り返る。
もしもあのときもう一つの選択をしていたら・・・
「もう一つの過去」のストーリで、本当の過去では歌手にったためすぐに音信不通となってしまった片桐と再会し、恋愛、結婚生活を、昭和初期の描写を交えて進んでいく。
この昭和初期の事件や出来事、自動車、テレビジョン技術、風俗、生活環境の細かな描写がすごく、昭和初期を克明に記録しているような感じも受ける。
ただ、最後のオチがいまいちピンとこなかった。
http://booklook.jp
良かった。こういう話が好き。
選択しなかった選択肢。パラレルワールド。
どちらかが良くてどちらかが悪いとかないんだ、たぶん。
広瀬正の小説全集買っても良いかもと思えて来た。
緻密なディティールによって描かれた昭和初期の風景。近代日本史には疎い私でも簡単に脳内イメージができてしまう。そんな古き良き時代を舞台にした「現在につながる過去」と「あり得たかもしれないもう一つの過去」。しかし量を割いて語られるのは「あり得たかもしれないもう一つの過去」の方で、細かく語られる歴史的事件や世間の風習などのおかげで、こちらの過去のほうがホントに起こった彼女達の人生の物語なのではないかと錯覚してしまうほど。大変面白かった。
「もしも…あの時…○○だったら…」ということを誰しも一度くらいは考えたことがあるだろう。とりわけ、積み重ねた人生の時間が長ければ長いだけ、「What if~」という疑問の入り込む余地は増える。それは取りも直さず、人生の岐路に立たされた経験が多いということであり、その転換点に能動的であれ受動的であれ、何らかの決定を施しながら、その人が一心に生きてきたということであるわけだ。 デビューから... 続きを読む »
「エロス」なんて題名ですが、広瀬 正の小説に色っぽさを求めてはいけないのは、もう、学習済み(笑)
現在と、過去、それから、もう1つの過去。
もしあのとき、こちらではなくて、あちらを選択したら……。という、IFものです。
ただし、やっぱり(?)、広瀬 正なので、ものすごく地味です。そして、細かい。でも、それは、今のまでちょっと感じた、無駄な細かさというのではなくて、なかなか、活かされていたと思います。
でも、今まで読んだ「マイナス・ゼロ」、「ツィス」、「エロス」の3冊のなかでは、この本が1番おもしろかったです。
途中で、「もうひつとの過去」の方が、実は……。
というのは、わかってしまったのですが、それでも、最後までしっかりとよませる力があります。
あぁ、こっちの人が、影響していたのか……。
というのは、けっこう、最後、「やられた」という感じでした。
広瀬正の作品で、パラレルワールドものの傑作。重要な役どころを占める人に淡谷のり子を彷彿させる東北地方出身の女性が登場しており、そういうイメージで本を読み進めてしまいました。
戦前のテレビジョン開発の動向などはその時代を知りつくすほどよく調べていると思います。
そぷいうなかで最後の最後のどんでん返しはやはりSFだなという設定ですが、その時代に溶け込んでいくようないろいろな小道具の置き方はさすがだなと思います。
もう少し長生きして、もっとたくさんの作品を残してほしかった作家です。
広瀬正のエロスを読みなおしました。もし、あのとき、二つの選択肢のうち別の選択肢を選んでいたら、運命はどうなっていたんだろう、という題材のSFでした。現在、過去、そしてもう一つの過去の3つの時間軸で昭和初期から戦争に至る暗い時代に出会った二人の物語が語られていきます。最後にちょっとしたどんでん返しがありますが、二人の生活していた二つの世界がいきいきと描かれていています。題名のエロスというのは、主人公の男性が作曲する曲の名前なのですが、片方の世界では曲が発表される前に主人公は徴兵されて帰らぬ人になってしまうのでした。いろいろあっても、いま私たちが生きている時代はいい時代なんだなあ、と考えてしまいます。
もしもアノ時ああしていたら/していなかったら
周りのヒトとの関係、周りの人生も変えてしまう
という空想と現実を平行でなぞる物語
パラレルワールド
かと思いきやラスト数ページはネタバレ禁止
マイナス・ゼロとの微妙なクロスを
軽く読み流しそうになった。
おもしろかったです!!今まで読んだこの全集の中で一番!!
人は誰でも一度はおもうはず。あのとき違う選択をしていたら・・・。
でもそう考えるとき、選ばなかった道は今の道よりもうんとハッピーだったというのが前提なのです。
でも実際には、選ばなかった道を選んでいたら悲惨な人生になっていた可能性も大いにあるわけで・・・。
結局今の人生が自分にとってベストだと信じることがハッピーに生きる秘訣なのかもしれませんね(o^∇^o)
<忘れもしない昭和九年九月二十日,私は映画を見に行きました。もしその日,映画を見に行かなかったら,私は歌手にならなかったでしょう。というのは,その映画が歌手の成功物語だったから,などというのではなく,映画を見終わって出たとき,ちょっとした事件が起こり,そのおかげで,私をレコード界に入れてくださった,恩人の柚木先生にめぐり会うことができたからなのです>
(本文p.14-15)
パラレルワールド・テーマの長編。
最後の1行が効いている。ただし、数ページ前に伏線あり。このパターンには見覚えがある。
乾くるみ『イニシエーションラブ』だ。
ただ、こちらの効果はSF的な眩暈であるところが異なる。
ただ、この仕掛けでは長編を支えるのには弱い。
広瀬正らしい戦前―東京の街、ラジオやテレビ、自動車…―の描写がこの作品を読むに値するものにしている。
「広瀬正君」や「カシラ」一家の登場にはニヤリ。
この方の小説を読むのは2作目です。前読んだ本の後書きに(星新一さんだったと思うのですが)この方は本のタイトルの付け方が悪い、とありました。…確かに。もっと良いタイトルあると思うんですけどね…
もし、過去のあの時違う行動を取っていたならば。今の自分は無いかも知れない。自分を取り巻く環境は変わっていたかもしれない。自分がすぐに思いつくのは大学以降からですね。もし違う大学に行っていたら。違う学部を選んでいたら。違う会社に就職したら。自分を取り巻く環境も変わっていたんだろうなあ。この本の主人公たちほどではないと思いますけれども。
最後のオチがすごく良かった!…でも自分はミッドウェー海戦の勝敗をきちんと知らなかったので軽く読み過ごし、『ん?』と思いネットで事後確認をいたしました…。恥ずかしい…。
前読んだ作品より面白かった。自分はこちらの方が好きだなあ、と思います。
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

