- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094033144
作品紹介・あらすじ
慶長七年(一六〇二)陰暦十月、常陸国北限、小生瀬の地に派遣された大藤嘉衛門は、野戦場の臭気が辺りに漂う中、百軒余りの家々から三百名以上の住民が消えるという奇怪な光景を目の当たりにする。いったいこの地で何が起きたのか?嘉衛門はやがて、地元の者が「カノハタ」と呼ぶ土地に通ずる急峻な山道で、烏や野犬に食い荒らされるおびただしい死体を発見した。恭順か、抵抗か-体制支配のうねりに呑み込まれた土豪の村の悪夢。長く歴史の表舞台から消されていた事件を掘り起こし、その「真実」をミステリアスかつ重厚に描いて大絶賛された戦慄の物語。
感想・レビュー・書評
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時は、慶長七年。
所は、常陸国小生瀬。
村人三百五十人余が忽然と姿を消した。
幕府による年貢増加と百姓による対立。
ここまで、根深いのかと愕然とした。
無いものは出せないでは済まされない。
それを、ただただ、受け入れるしかなかった時代に恐ろしさを感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
すばらしい!!!この作家の歴史観は庶民に目を据えた揺るぎないもの感じる。
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こんな時代小説はじめて。
史実から掘り起こしているからリアリズムもあるのにファンタジー -
冒頭の強烈な血生臭さに圧倒され、手が震えた。
衝撃的な作品は「歴史小説」に非ず、「記録」であろう。
言葉が不慣れなのもあるが、これほど一語ずつ噛み締めて読んだ作品はない。
ああ、本読みでよかった。 -
2018.10.15
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どうにもこうにも、あわないの一言に尽きる。
文章が読み辛くて、繰り返し読んだり、
前に戻って読んだりと苦労して読んだけど
結局頭に入ってこなくて、途中で挫折。
事件は何故起こったのかと、すんごく気にはなるが
なんとなく途中で分かっちゃったから、
読み終わったことにする。
相性ってあるのね。 -
ページ数の割に中身が濃く、読み応え十分、というより前半は読み進めるのに一苦労。悲劇に突き進む後半は一気読み。重く、切なく、やり切れない読後感。藤九郎の最期のメッセージが心に残る。
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土地柄と、時代性と、若い愚かさが引き起こした悲劇だ。こういう悲劇が普通にいつの時代もあったのだろう。ひとつの集落の悲劇は歴史の中では派手な出来事ではないけれど、そういう弱い立場にある人たちに寄りそう姿勢がとても好きだった。とくに、戦いをさけるなら同じくらいの犠牲が必要になるのだという残酷な指摘に考えさせられた。時代は変わり、神は死ぬ。『ともかくも生きることだ』
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長かった。文字がびっしりと書いてあるせいか、文体のせいか、なかなか進まず、かなりの時間を取られてしまったので★はマイナス1。
史実から消えかかってる事実を鮮明に語った傑作ではあると思う。 -
重い。
重厚と言うのともちょっと違う、ただひたすらに重い。
一村三百数十人の皆伐という背景の事件の重さもあるのですが、文体や一人一人の登場人物をじっくり描き込んでいく手法も重く。それが飯島さんらしさなのですが。
歴史の片隅の事件ですし、さほど資料が多いわけがないのですが、乏しい資料から矛盾無く。確かにそうだったんだろうなと読者が納得できるようなストーリーにまとめて行く力量は大したものです。
ただ、ひたすら重苦しい雰囲気には少々辟易してしまいましたが。