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この作品からのみんなの引用
みんなの感想・レビュー・書評
(388レビュー)
非の打ち所がない小説の一つ。
句点すら極端に省略して文章の区切りを切り詰めた滔々とした語り口の文体が素晴らしく、実験的な文体を物語と合致させることに成功している。この文体はおそらく三味線の調子を意識したものであるし、また語り手によって伝聞のみで語られる物語のぼやけた雰囲気を醸し出す効果がある。さらには、盲目の春琴が見る佐助と佐助が見る観念の中の春琴の夢幻のぼやけた世界をも暗示していると思う。
殆ど伝聞という設定から細部の描写が少ない作品ではあるけれど、詳細に描写されている数少ない部分が、物語終盤の針を使う残酷描写。ここの描き方も上手。
語り手が誰かを考えてみるのも面白い。
恋は盲目なんて巧いこと誰がはじめに言ったのやら。春琴が魅力的だったこそここまで佐助は献身的になれたんだろうな。被虐加虐云々ってより佐助が望んだ(春琴の為と思われる幸せな)自己破滅だよね。盲目という二人だけの世界は出来上がりすぎていて痛々しく滑稽であるけれど、閉じた世界だからこそ誰にも邪魔されないよね。女性に献身的(佐助は異常だけど)な男性は愛された方は幸せかもしれないけど自分の幸せからしたらどうなの?あ、尽くすことが幸せだから利害は一致してるのか。文章体は美しい。淡々としてないこういうしっとり感ある文章好き。文体の世界観に慣れるまでちょっと時間かかるけどね。初期の近代文学はあらすじ大事よ、と思う。
二人だけの世界から抜け出れなくなって現実世界との境界線がなくなってしまった夫婦?恋人?の物語、大人と子供は違う世界を生きていると私は思うが男女の恋愛のなかにある二人だけの世界は人にもよるが子供の世界に近いことが多いような気がする、佐助と春琴のお互いに対する欲望は通常は大人になるにつれてだんだんと抑制されていき、社会に適合できるようになっていくのだが、それが出来ない二人がお互いに自分の本性を晒し合うことで二人の世界をつくり陶酔している、簡単に言えばドSとドM。思いっきりいじめたい女といじめられたい男、そんな変態はなかなかいないからお互い相手を「かけがえのないあなた」と思う、その裏には通常は変態な自分への苦しみがあるのだがあんまりそこは書かれていない。個人的には佐助に二村ヒトシさんの本をプレゼントしたいです。
月曜会の課題本
読みにくい。
結婚しないのは実は佐助のドM性では?
と思ったら、やっぱり。
密接な二人の世界、痛いわぁ。
子どもいっぱい作ってからに。
情緒?うっとりはしない。
どんなストーリーで映画化したんかな。
谷崎潤一郎はこれがはじめて。
高校のとき部活で箏を弾いていたのもあって、
前から興味がありやっと読めました。
集中して読んでいないと、
主語が変わったりしているのに気づかなかったり。
でもおもしろかった!
春琴と佐助の墓の配置の描写がすき。
あとラストの、
読者諸賢は首肯せらるるや否や
てところもすきでした。
とにかく文体がとてつもない。句読点が無い。三島以上に深いボキャブラリーに脱帽。
目を衝いて暗黒世界に突入する直前に師匠の顔が来迎仏の如く浮かんだらしいと。この描写だけでいかに念願の所為であったかが直接セリフを書かずともこちらに伝わってくる。
最後の一文の「読者諸賢は首肯せらるるや否や」っていうのも良いよね。美談として一方的に押し付けず、こちらに判断をゆだねているのが素晴らしい。
春琴抄は読みづらいよと前から聞いていたのである程度覚悟はしていたけど、なるほど改行と句読点がなく文が繋がってて読みづらかった。だけど読んでいるうちにそれが不思議なリズムになって途中からはスラスラ読めました。難しい言葉が多いけど注釈がたくさんあったのでわかりやすかったです。
春琴に仕える佐助の献身的な愛情には狂気すら感じました。まさに恋は盲目。
谷崎作品はまだ3冊しか読んでないけど、春琴抄の佐助にしかり痴人の愛の譲治にしかり、己の身を滅ぼしてまでも尽くしたいと思える女に出会ったのは彼らにとって幸せなのか不幸なのか…と考えてしまいます。いや、佐助も譲治もそれで幸せだと言ってるので別にいいんですが、それを傍から見ていて至上の愛と捕らえるかただのアホと捕らえるかは人それぞれですね。
盲目の三味線師匠・春琴と、幼い頃より彼女に付き添い献身的に奉仕する佐助。春琴に寄り添い、全てを春琴に捧げる佐助の生涯からは、彼の人生が幸福に満ちていたことを読み取れます。
しばしば偏執的に受け取られがちな被虐趣味としての『マゾヒズム』ですが、佐助が人生をもって示したそれは、純粋で素直な感情が為せるものでした。
作中にある『ジャン・ジャック・ルソー』とは、性格の違うものなのです。
物語の終盤で佐助が下した一つの決断。やり過ぎとも思えるようなこの行動が、私には大変に美しい行いのように見えました。
ここまで直向きに愛された春琴が、果たして幸せだったのかどうか。この問いについても、読み終える頃にはきっと答えを得るはずです。
静かな世界。暗くともたった二人だけの、輝ける世界の物語です。
これを初めて読んだ時の衝撃は今でも忘れぬ。実験的な文体に戸惑つたが、それでもしつかりと読ませるところに大谷崎の力量を感じる。谷崎さんの小説の中では、『母を恋ふる記』と並んで好きな作品。
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