地図 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006185

作品紹介・あらすじ

石垣島制圧に沸く琉球国を、祝賀のため訪れた蘭人たち。彼らが献上した軸物を見るや国王はたちまち顔面蒼白になった…。表題作「地図」をはじめ、「怪談」「花火」など同人誌等掲載の初期作品を通して、中学生津島修治から作家太宰治誕生までのドラマを読む特別篇。後年、太宰の筆と確認された「断涯の錯覚」や、文庫初収録の「貨幣」「律子と貞子」など文豪への出発点を刻印する作品群。

感想・レビュー・書評

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  • 音楽業界風に言えばメジャーデビュー前のインディーズ期の作品集。「哀蚊」「貨幣」が良かった。

  • 読んで良かったと心から思える一冊でした。
    初期なだけあって、感覚も鋭敏。
    元々、敏感だったという説のある太宰治ですが「人間失格」や後期の作品よりかは、本当に生き生きとしていて、中でも「花火」は凄く好き。
    隣で太宰が語ってくれているような臨場感溢れる作品でした。
    「貨幣」も独特で、お金を擬人化した所が太宰らしく、また優しさも感じました。
    一度は手に取って貰いたい一冊です。

  •  旧制中学・高校時代の習作から、20代半ばの作まで、最初期の短編を集めた作品集。
    ※30代の3短編も含むが、主に10代~20代前半の短編作品を集めている。

     荒削りで、ゴツゴツしたぎこちなさがあるものの、
    10代の作にして既に文芸作品の趣を備えていることに驚く。典雅で教養ある語句や言葉使いも多く、学生離れした教養を感じさせる。

     さらに、作品『此の夫婦』では、19にして、夫婦の機微を描いている。
    この頃から、登場する女性は、粋ではすっぱな女や、
    不埒な感じの女である。 太宰の好みが伺える。
    そういう部分をはじめ、青年期の生身の津島修治なる人物をまるごと感じて受け止める…、という読書を味わえる。

     作品集の終盤『断崖の錯覚』は、24歳当時の作品。既にして“心中物”である。また、作家への気負い、自負と虚勢、それが次第に虚実ないまぜになっていく構造・設計が巧く、面白い。
    『洋之助の気焔』も24歳頃の作。会話体のねっとりした手ざわり感といい、女の存在感といい、既に太宰治のスタイルが出来上がっている。

  • 同人誌時代の短編は、あっさりしていますが、それでもやはり上手い。

  • 発表されているものが全てだと思ってしまうけれど、ちゃんと書きつづけて太宰治になったんですね!「貨幣」が楽しかったです。

  • 2019年1月10日読了

  • 新鮮。貨幣と角力が良かった。

  • 2016/9/28

  • ここに収められる作品のほとんどは太宰が中学生・高校生だった頃の作品。10代の頃の作品が、全集ではなく文庫として出版されるとは……太宰がいまだに現代のトップランナーであるか、その人気がわかる。

  • 自分を客観視して何を欲したのか?

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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