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この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
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只自分にはその児の出生によって起こった快いそして涙ぐましい亢奮が胸の中で後までその尾を曳いている事が感じられた。
― 69ページ -
自分を少しも立てずに只 諾々(はいはい)と親の云う事ばかり守っていていいと思うような人間では仕方がない
― 87ページ -
「そりゃあ、そうです。然し私にはこう云う考えがあるんです。今日迄のお父さんとの関係は、それは仕方がないと思っているんです。私としては若しこうなって呉れなければ困る事だったのです。お父さんには実にお気の毒な事だと思います。それから或る事では自分が悪かったと思いもします。然し今の結果については私は止むを得ない事で、後悔も出来ない事と思っているのです。若し私がお父さんのお気に入る人間になっていたと仮定して、今の私の眼でそれを見れば、それはかなわない人間ですからね」
― 86ページ
みんなの感想・レビュー・書評
(51レビュー)
複雑な家庭環境が描かれていた。
お互いに意地を張っている姿がとても共感できる。
人というのは案外仲良くしようという気さえあれば仲良くなれるのかもしれない・・・そう思った。
小説家である主人公順吉とその父親は、衝突して以来、意固地になり歩み寄ることができないでいる。互いに不愉快な気持ちを抱いている二人が出会うと辺りには気まずい雰囲気が充満し、家族も神経をすり減らし、心を痛めている。順吉は母親とは電話で連絡を取るものの、実家に帰るときは必ず父親がいないときを見計らって帰るという有様だった。周囲は順吉になんとか頑なな心を曲げて父親に謝罪して欲しいと思っているが、順吉の方は... 続きを読む »
淡々と客観的に感情を書いてるよね。
穏やかな陽だまりよりは真新しい畳って感じ。小説の神様って言われていくら小説がうまいと言われても、もう少しどっちつかずの流れが欲しいのです。多分私が優柔不断な性格だから。
でも赤ちゃんの場面はただ逐一描かれているから逆にしんみり可哀相で。
父子の確執と和解をテーマとした短編?私小説。 男は父親と対峙・葛藤してこそ一人前なので(カッコいい!笑)、少し期待をこめて読んだのですが、葛藤と和解にいたる心境について、私小説ならではの肝心の内面の部分の深みが足りない気がして(むしろイジイジしているきらいすらある)、短編(中編?)ということもあり、少し物足りませんでした。また、代名詞の多用と、短フレーズの文体、場面描写の唐突感なども状況をわかり... 続きを読む »
テーマも、文章も学ぶものの多い一作
絢爛な文体も、詩情にみちた文体でも、凝縮された文体も、整然とした文体でもないのに、読んでいると芯がとおったしなやかな広がりに吸い込まれていく
「暗夜行路」を読もうとしたら、こちらをすすめられました。
「自分」と父親の不仲が、赤子の死と誕生、祖母の衰えなどを通して和解へと進んでいく自叙伝的小説。
とにかく淡々としていて、残念なことにこの話からはほとんど何も感じ取れませんでした…。
作品の中で主人公が考えていたお話には興味がわきましたが。
主人公が妻に対してきついあたり方をするのが不愉快だということと、単純に和解できてよかったなあ、としか思えない自分の文学的センスのなさにうんざりです。
筆者、志賀直哉がかねてより仲を悪くしていた実父と和解するという、まさに題そのままの物語。 あとがきによると、彼の有名な作品「暗夜行路」は長編であり失敗作と言われているそうだ。志賀直哉は短編に長けており、この和解もそのひとつである、と。なるほど物語として読むにはかなり味気ない感じはしたが、時代設定(というか時代そのもの)がかなり昔のもので、前提も常識、夫婦の関係、家族の関係も現在のものとは全... 続きを読む »
父との和解を書いた自伝的小説。
といっても父の話ばかりが書かれているのではなく、細君に冷たく当り散らす主人公や、産まれたばかりのこどもが死んでしまう場面が少しキツい。
和解の場面はなんだかあっさりしすぎていたような気もしますが、実際お互いが憎みあっていないのならそんなものなんでしょう、という妙にリアリティがありました。
この文章のうまさだけはどうしようもない。文豪漱石も認めた、唯一無二の観察眼を持つ著者。今作は自身の体験を基にし、親子の確執から和解への過程を描く。贅肉の全くない美文で、日常のあれこれをテンポよく描写してゆく。横光利一に並び、どうしようもなくうまい。
主人公の子が生まれてすぐに亡くなったことは最初から明らかにされている。それでありながら、途中で出てくる亡くなるに至るまでの話はかなりの臨場感がある。死んでほしくない、もしかしたら助かるのかも、と思って読んでいた。これがうまさなのだろうか?それとも・・・
この作品は日本語を削りに削って研ぎ澄ませ、無駄な表現が一切ないように思える。タイトルの通り、父親との和解の場面が、自分の父親との関係も考え非常に目頭が熱くなったのを覚えている。
自身の体験をもとに描かれた私小説であり、志賀はこの作品の執筆の翌年に父親と「和解」していることを照らし合わせても、なんとなく個人のために書かれた趣がある。
それでも赤ちゃんが亡くなる場面の疾走感などはぐいぐいと引き込ませる。さすがだ。
ぼそぼそテンション低くたらたらと、なんだか勝手な男の勝手な話な感じもするが、和解に向けてのある種の疾走感がすごい。
おもしろいかと言えば退屈な気もするが、ラストは胸をうつものがあった。
間違いなくよかったと言える。
いやはや面白い。
あらすじを読むように出来事を追うような読み方をしてしまうと、ボンボンの気まぐれな日常を描いているように思えるかもしれないが、その場面場面の感情の揺れを読み取っていくと、決してつまらないものではなく、むしろ最初のページから最後の和解に向けて疾走していくような、スピード感溢れる作品だということがわかると思う。
何気なく登場する電車や自転車、車といった乗り物の違いなども興味深い。なぜある日は電車で移動したのが、別の日には自転車なのか? 自動車なのか? クールな文章とは裏腹に、ここに熱い感情が込められているように思える。
志賀直哉の短編。
タイトル通り、父親との和解がテーマの作品である。肉親同士だからこそうまれる深い憎しみと、それを乗り越える肉親としての絆。両方が本当であり、それを忠実に描写し表現している点が傑作...
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

