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この作品からのみんなの引用
みんなの感想・レビュー・書評
(33レビュー)星製薬の創始者である星一の評伝であります。 著者は息子である星新一氏。いふまでもなくSFの大家として名を馳せた人。かういふ親戚といふか肉親を描くのは難しいものであります。特に父親といふのは生生しくていけません。 評伝といつても、既に星製薬を立ち上げた、立志伝中の人として登場します。売薬を企業化し成功したのは、当時としては画期的なことでありませう。同時にそれを面白く思はない人もゐるのでした。... 続きを読む »
はじまってすぐに星製薬会社と官吏との間の不和。
あとはすべてが理不尽・空虚なサッドエンドに一直線。
なんとか、怒りを少しでも殺しながらペンをすすめる雰囲気が文章からもうかがえる。
とはいえ、星製薬会社もまだまだ存続するわけだから、すべておわったわけじゃないが。
そしてこの騒動がなければ、ショートショート世界記録も生まれていないわけで。
父のことを本にするというのは、それだけ父が書くに値する人物である、という条件だけでなく、
自身が父に単なる興味じゃない、とても強い関心を持ち、直接いろいろ話を聞かねばならない。
前者は単なるめぐりあわせ、実際は後者の方が難しいのかもしれない。
大正期の経済・医薬界を駆け抜けた星一。官やそれと結託した企業に足を引っ張られ、泥沼であがくような企業人人生ではあったが、その生涯は颯爽とした印象を受ける。彼の屈託のない、未来への希望を失わない姿勢が、そう感じさせるのだろう。ここで語られる物語は、現代への批判性を失わない。星新一というストーリーテラーを持つことによって完成した物語ではあるが、読後感は苦い。
「明治・父・アメリカ」から10年後の星一の活躍を描く。
日本で星製薬株式会社を設立し、モルヒネ、コカイン、カフェイン等の単離、商品化を経営者として実現し、日本の製薬産業や国家全体に貢献しようとする。しかし、星の成功を妬む者が政府と結託し、権力、法律、メディアを駆使して星製薬を徹底的に攻撃する。そんな理不尽な相手にもめげず、いつ果てるともない政争に、持ち前の一途さを以て星は闘いを挑む。
「明治・父・アメリカ」と違い、星新一らしい小説口調でとっつきやすい文章だが、内容はどす黒いノンフィクション。星一の留学時代と違うことは、いくら努力しても利益がなく、相手は政府であること。
星新一にしては珍しい長編である。しかも中身が、具体的な官僚批判である。
本小説の主人公は、星の実父星一である。星はアメリカで学問を修め、アメリカ的な合理的思考により製薬事業を起こし成功に導く。しかし、アヘン等の取り扱いの許認可をめぐって官僚や政治家と激しく対立し、最後には社会からも敵視され不遇となる。
本小説は、星一の新進気鋭に富む精神が事業を拡大する部分におもしろみがあると感じた。しかし、その事業拡大を阻止する官僚とはなんなのか、何のために存在しているのか改めて感じた。
個人的には、官僚や政治家の感情的な憎悪を政策に反映させれるような状況(法の未整備)に問題があると感じたがどうだろうか。所詮官僚や政治家も人間である(正確にはむしろこれらの人種は最も俗物的だろう)。
最相葉月さんの「星新一 1001話を作った人」を読んだとき、本書の存在を知りました。星さんが、父上であり星製薬創業者である、星一(ほしはじめ)を描いた作品です。
(続きは以下)
http://muratyan.cocolog-nifty.com/book/2010/07/post-1c69.html
正しいことをしたければ偉くなれ、って某刑事ドラマでありましたよね。私はあれを鼻で笑ってしまったんですが、この本を読んで認識を改めました。真に人が自分の正義を貫くには社会全体を巻き込むしかないんだと。社会を変えるということは権力やお金ではどうにかなるものじゃないんですね。出る杭は打たれるというのは日本人の習いで、頭を低く、志を高く、たまに逃げたくなる時に読み返したら励まされます。ふぁいと。
(宮崎大学 学部生)
中学生が読んでも、社会にでるのがいやになるだけです。やさしい語りではあっても、これはオトナのよみものあり、いろいろな読み方ができます。たとえば、日本と英国との距離感がうまく添えられているところなど、文学的な香りがします。これも星新一のセンスのよさです。
・12/12 かなり古い本だが以前から読んでみたかった.なかなかこの本を置いているところがなくって、今や希少価値なのかもしれない.普通星新一といえばみんなショートショートを思い浮かべるだろうから、これ系統は異色である.
・12/13 なんかいらいらしてきそうな話の展開になってきた.このまま憤りを感じたまま終わってしまうのだろうか.なんかすっきりさせて終わって欲しい、でないと理不尽な世の中に対するストレスを発散させられなくて気持ちが良くない.
・12/14 読了.結局いらいらしたままハッピーエンドともならずに終わってしまった.これが書かれた時に当事者はまだこの世にいたのかが知りたい.いったいどう思っただろう.本当に馬鹿らしくなってくる.今も同じなんだろうな.
事実としては興味深かったが、小説としては今ひとつ。わかりやすすぎるのかな? 誰が味方で誰が敵なのか、地の文がぜんぶ教えてくれちゃうので、その場で体験している感じがない。そこが物足りない。
いつものSF短編とは一線を画した星新一氏の父親のお話。製薬会社を興して成功するものの、政治家ににらまれてしまい、あの手この手で嫌がらせに近い濡れ衣を着せられて奮闘している。よくぞここまで理不尽な事をされてエネルギーが途切れなかったものだと思わせるぐらい壮絶。。。関連する他の書物も読んでみたい。
事前知識のないまま 題名から星新一のペーソスとシャレの効いた ショートショートを期待して読みはじめ 「へー星新一ってこんな社会派小説を書くんだ!」と驚き、 最後のあとがきで(そこにくるまで 全く気がつかなかったのだ!星一なんていかにも 彼の話に出てくる登場人物の名前みたいではないか。) 父親の半生を描いた伝記だったとは!! 彼の軽快で含蓄のあるショートショートとは また違ったどん... 続きを読む »
ショートショートの大作家、星新一の父上
星一さんの伝記です。
この本の前に「明治・父・アメリカ」を読むと
より一さんのバックグラウンドがわかりますが、
とにかく努力家であり、頭がきれる開拓者。
努力すること、壁を越えていこうとすること。
人と違うことをやってみる勇気。本当に素晴らしいです。
その星一が、戦前の日本で国益の為に一所懸命働く中で、
忍び寄る官僚や政商の面子や策謀。
嫉妬や面子は、ほんと使われ方を間違えると恐ろしい。
最後に向かっていく時のもどかしさと言ったら。。
今の日本の官僚や政治家に、ぜひ読んで欲しい作品です。
文字通り、「人民は弱し 官吏は強し」
日本社会に通底するアレなのかなあ。
泣く子と地頭、とは良く言うけれど、
そういう世界には入らない方がいいんだろうなあ。
欲はなく、決して怒らず、いつも静かに笑っている人生が良いんだろうね。
ショートショートでおなじみの星新一さんが書いたお父様の伝記。
「明治・父・アメリカ」では、子供時代から留学、帰国まで。こちらは、帰国後に星製薬を立ち上げて官と戦い、亡くなるまでの記録です。
星一と言う人の、あくまでも前向きな精神には感銘します。ぜひ、続けてお読みくださいね。
P30
(前略)考えるあいだの苦痛も、その原因となったさえぎる壁も、この爽快さを高めるために神が作っておいたとしか思えない。壁がなく、考え悩むことがなければ、人生はどんなに味気ない平凡なものとなるだろう。
ショートショートで知られる星新一が父親星一をモデルに書いた小説。
明治末,12年間の米国留学から帰ってきた星一が製薬会社を興し,成功し発展していく中,政治・官僚から受けた陰湿な仕打ちに対し最後まで屈することなく戦っていく姿を書いたものですが,非常に割り切れない思いを持って読み終えました。 どんな納得のいかない苦境に立たされようが前向きに真っ直ぐ対処していこうというおおらかなかな星一にやりきれない思いを持ってしまいました。
客観的に淡々と書かれた文章が余計に社会の醜さや理不尽さを際ただせる感じがします。
そういう時代もあったんだなあ、という感じ。
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

