みんなのレビューページ
この作品に関連する談話室の質問
この作品からのみんなの引用
-
博士がこの世で最も嫌悪したのは人込みだった。外出したがらない理由もそこにあった。駅、電車、デパート、映画館、地下街、どこも人が大勢いるというだけで、彼にとっては耐えがたい場所になった。種々雑多な人間が全くの偶然に寄り集まり、ひしめき合い、何の秩序もなくうごめいている様と、数学的センスが求める美とは、対極の位置にあった。
― 101ページ -
私は彼の背広の袖口を握りしめた。
「大丈夫。安心していい。ルート記号は頑丈だ。あらゆる数字を保護してくれる」
そう言って博士は、私の手をさすった。
― 221ページ -
相手を慈しみ、無償で尽くし、敬いの心を忘れず、時に愛撫し、時にひざまずきながら、常にそのそばから離れようとしなかった。
― 95ページ
みんなの感想・レビュー・書評
(1817レビュー)
このハナシは、とくになにも起こりません。
数学者。
家政婦とその子供。
雇い主。
丁寧な人たちが、それぞれの距離を保ちながら丁寧に人を愛する姿が、ただ懇々と描かれているだけです。
現在しかない人。過去しかない人。
限られた時間の中で相手を想うことができる人はもともと優しさを備えているということを、人類が「数字」として表現する前からもともとそこにあった自然の摂理になぞらえて教えてくれる作品です。
この作品も、オモシロくはないですが、いい作品です。
野球の試合を見たことがないという数学者が、はじめてプロ野球を観戦したとき、ピッチャーの投げた球種がわかったのは、ちょっとムリがあるな、と思いましたが。
http://blueskyblog.blog3.fc2.com/blog-entry-1338.html
一時期ものすごくもてはやされてて、なんとなく流れに乗りたくなくて避けていた本。
・・・なんともばからしい理由。笑
その後親友からおすすめされたこともあり、
古本屋さんで発見したので買ってみることに。
読了後、あたたかい気持ちになれました。
あたたかくて、切ない。ふと微笑んでしまう、そんな感じ。
早く読んでおけば良かったなぁ、と心底思いましたとさ。
2月10日、読了。
博士と家政婦の私、その息子の3人の人間模様は、なんだか神々しささえ感じられるくらいだった。
また数学に、まさかの阪神タイガースが絡んでくるなんて意表をつかれた。
数学が得意でない私には、なかなかすらすら読み進められないヵ所もあったが、読んでいる間は心が静かに温まるような、なんだか不思議な感覚だった。
映画版も気になるが、見ないほうが自分のイメージが変わらなくていいかなとも思う。
初めて数字を美しいと思った。なんとも切ない、美しい愛の物語。
数学を再び学びたくなった。今度は楽しく勉強できそうな気がする。
ちょうど私が阪神ファンになったきっかけの年の時代背景で、大好きな選手や記憶に残る試合について触れている部分を読んだ時、この本との出会いが友愛数のように偶然の運命のように感じた。
終盤は、気付けば泣いている感じ。すばらしい本です。
記憶が1時間と20分きっかりしか持たない(後半では70分)、素数と阪神タイガースをこよなく愛す「博士」との生活。本作では数(式)は挨拶であり、話のきっかけであると同時に、美しさを現す。大きな事件も深い描写もないのだが、引き込まれていく中篇の傑作。良い意味でSFです。
暖かい話。血のつながりはなくても、まっすぐに向き合っていくことで家族のようになれる。しかしどんなに大切に想っても、思い出を積み重ねても、一生自分たちのことを覚えてはくれない。切なすぎます。そして博士のおかげで数字の美しさが少しだけわかったような気がする。
特別なことは何もないんだけど、幸せになれる話。ちょっと角度を変えてしまえばとても悲しい話なんだけど、読むと心がほかほかしてくる。むしろ羨ましくもあるような、儚くも壊れることのない関係。ちょっとジェラシーさえも感じる。(笑)読んでいる間中、眼の奥が、むずむずするような感覚に陥ります。泣いてしまうのとは、またほんのちょっとだけ違う感覚のような気がする。かなり似ているけれど。何より読んでいる間、この話に参加しているかのような気持ちになれて、世界観に浸れて…とても心地良いです。
博士の幼いルートへの無償の愛と、記憶障害を持つ博士へのルートと母のきめ細かな思いやりと豊かな愛情が、終始絵画を見ているように美しい文章で語られる。 読み始めればすぐに、ゆるやかな時の流れと、涙腺も緩んでしまう温かさに気がつき、著者の描くワールドにたっぷりと浸り続けたいと願いたくなるはずだ。 作品中に現れる数式は決して難解ではない。冒頭、初対面の主人公が、博士に自分の誕生日を尋ねられ、2月20日... 続きを読む »
とても有名な作品だけど読んだことがなく、思い立ったので読んでみた。
博士はとても不器用で遠慮深く愛情に溢れた人だと感じた。
それは博士にとって数字はただの数字じゃなく、好きとか愛とか言葉そのものだったから。
だから博士が数字を語るとき理解は難しかったけど、すごく温かい気持ちになった。
本を読んだら映画も見てみたくなったので、近いうちに見てみようと思う。
[ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背
広の袖には、そう書かれた古びたメモが留
められていた------記憶力を失った博士にと
って、私は常に”新しい”家政婦。博士は”初対
面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。
数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳
の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓
びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖
かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。
良い話でした。
表現が自分の書く文章のものととても似ていました。
少しその表現が諄く感じたところもありました。
でも、切なくて愛おしい話で、全体的には高評価です。
一言、読んで良かった。
今まで食わず嫌いな感じで、あえて遠ざけていた本なのですが
ふと、読んでみようかと思い手に取りました。
この方の本を読むのは初めてなのですが
温かい文字を綴る方ですねー!!
『1−1=0』
無くなったモノを惜しむのではなくて
そこに存在していた事に幸せを感じる。
うわー。素敵だなぁ。
結構評判が良さそうだったので読んでみた。
主人公もその息子も博士もみんないい人で、ほんわかした気分になれる本。でも、なんか・・・、物足りない感があった。
読み終えて「あー、面白かった♪」とまではなれなかった。私の読解力が無いからだろうか・・・。
美しき数学者のお話。
1人の死は悲劇でも、10000人の死は統計になる。
10000人の生は統計でも、1人の生は喜劇になる。
無機質で美しい数字に惜しみなき意味と弛まない愛を込めて。
ご祝儀は素数(30011円とか)にするっきゃないってばよ(≧▽≦)
何年か前に映画を見た作品なので、小説はどうだろうかと読み始めたが、やっぱり本の方が好き。
数学は、さっぱりな私でもすらすら読めた。面白かった。
博士の言葉遣いは綺麗。
本当に、ほっこりされた。
もう一度、映画も見てみよう。
「1-1=0
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

