- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103314141
作品紹介・あらすじ
七百年の眠りから「手稿」が目を覚ます。南仏トゥルーズの図書館に、その文書は保管されていた。監視の眼、図書館長の死、黙して語らぬ男…。信仰の極みを問う歴史エンターテインメント。
感想・レビュー・書評
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3.59/132
『歴史学者・須貝彰は、南仏の図書館で世紀の発見をした。異端としてカトリックに憎悪され、十字軍の総攻撃を受けたカタリ派についての古文書を探りあてたのだ。運命的に出会った精神科医クリスチーヌ・サンドルとともに、須貝は、後世に密かに伝えられた“人間の大罪”を追い始める。構想三十年、時代に翻弄された市井の男女を描き続ける作家が全身全霊をこめた、歴史ミステリ。』文庫版解説(「新潮社」サイトより)
冒頭
『ペール・ラシェーズ墓地の門前にある花屋で、ブーケを買った。六ユーロの花束には、黄色いバラやアネモネ、菊、スィートピーがはいっている。』
『聖灰の暗号』
著者:帚木 蓬生(ははきぎ ほうせい)
出版社 : 新潮社
単行本 : 278ページ(上巻)
発売日 : 2007/7/1詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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ピレネー山脈をのぞむ南フランス一帯に広がっていたキリスト教カタリ派。同じキリスト教でありながら、ローマ教会から異端視され信徒は残らず査問、火あぶり。その迫害の様子を記した書き付けの発見。表に出したくないローマ教会との攻防。ピレネー山脈麓界隈で話されるオキシタン語。
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中世の南フランスで広がり、ローマ教会によって抹殺されたカタリ派の謎を追う日本人歴史学者の物語。
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・アリエス教授の現役時代の研究テーマは、<フランスの誕生>だ。それは領土や王制、共和制の変遷のみを追う歴史学とは違って、イメージのうえでのフランスがどのように形成され、変わっていったのかを検証する新しい仕事だった。
ドイツやイギリス、スペイン、イタリアが形成される過程で、隣国がフランスに対してどういうイメージをいだき、フランス人もまた自国フランスに対してどういう心情を形成していったのか、教授の研究は各国の論評や外交文書を呼んで解き明かしていく。
・「病気があるのも捨てたものじゃない」
「そうなの。病気が接着剤になって、人と人をつなぐの。かと思えば、病気が人の絆を断つことだってある」
「その差はどこから来るのだろうか」
「その病気を呪うか、呪わないかの違いなの」 -
ママが借りてきて「好きそうよ」と言われたからどんな話かと思ったらカタリ派の話!確かに好き!
ただ、学者が新発見をし、それを追っているうちに生命の危機が・・・っていうくだりはちょっと「ヒストリアン」風。
今、一緒に「宝探し」をしてくれている人たちが本当にいい人なことを願う!!
にしても、本当にカトリックって・・・16年間教育を受けてきて思想的には信者だけど・・・。よくもまあ、聖職者たちが同じ人間相手にこんなにひどいことをしたものだ。
隣人を愛せよって言葉を知らないの??
宗教戦争って本当に恐ろしい。 -
異端とされたカタリ派の悲劇について語られている点はとても面白く読めた。ただ、暗号を解いていく流れが何となくRPG的なノリというか……「ここに行ったらこういう人に出会った。ラッキー♪」という雰囲気なので、カタリ派について描いているシリアスな部分との差を感じる。さくさく読めるので、とりあえず引き続き下巻を手にとりたいと思う。
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カタリ派について全く知らないではなかったが、本作に出会いその創作力に圧倒された。
大変な作家だ。
この本に触発されて続けて4冊のカタリ派関連の本を読んだ。
異端カタリ派 文庫クセジュ
路上の人 堀田善衛
オクシタニア 佐藤賢一
サマー・アポカリプス 笠井潔