モノレールねこ

著者 :
  • 文藝春秋
3.77
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感想 : 220
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163255101

感想・レビュー・書評

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  •  八つのお話からなる短編集である。
    主人公は慎ましく、丁寧に暮らしている人が多く、多分それは著者の加納さんのご人格が反映されているようで、そして文章も特に凝った表現はあまり無いのだが、一文一文噛みしめながら丁寧に読み進めたくなる文章であった。
     「パズルの中の犬」というお話があって、真っ白いパズルの最後のピースをはめた途端、過去のある出来事に繋がるものが浮かび上がるのだが、他のお話でも、それまで淡々と生きてきた主人公が、ある事をきっかけに心の奥底にしまって忘れていたことを呼び覚まされたり、身近な人の心の真実を知ったりする作品が多かった。
     その過去の記憶や身近な人の心の内と主人公との橋渡しをするのが、動物であったり幽霊であったり。それらの動物たちに人の心が分かるのか、亡くなった者たちに魂があるからなのか、それとも神様の仕業なのか、とにかく、偶然というよりも、運命のように、ある時何かにふっと繋がりるのである。
     人は(いや、動物も)、大切な誰かと運命で結ばれたのなら、その人が亡くなった後も、どこかで繋がっていたい。いや、繋がっていてくれているはず。そう思わせてくれる短編集であった。

  • あやごぜさんのレビューから読みたくて。アンソロジー以外では初読みの著者。たまに今時この価値観は‥と思う所もあったが読みやすかった。『モノレール猫』『マイ・フーリッシュ・アンクル』『シンデレラのお城』『ポトスの樹』が印象深かった。

    • 111108さん
      あやごぜさん、
      ひょっこりコメント、ありがとうございます♪

      今、心の積読本が海外超長編ミステリーに傾いているのですが、そんな重荷(勝手に自...
      あやごぜさん、
      ひょっこりコメント、ありがとうございます♪

      今、心の積読本が海外超長編ミステリーに傾いているのですが、そんな重荷(勝手に自分で背負ってるんですけど)の合間にちょっと一息つけそうな加納さんのミステリーを読みたいです。‥タイトル『ななつのこ』しか出てこないですが。他にもふんわり系ミステリーのおすすめ、あやごぜさんありませんか?
      2022/10/09
    • あやごぜさん
      111108さん♪

      海外“超”長編ミステリーが心の積読本なのですね~。
      読み応えのある本はどっぷり浸れる幸せもありますが、何気にエネ...
      111108さん♪

      海外“超”長編ミステリーが心の積読本なのですね~。
      読み応えのある本はどっぷり浸れる幸せもありますが、何気にエネルギー使いますよね。。。
      確かに、一息つきたい時に、加納朋子さんや北村薫さんのようなふんわり系ミステリーはいいですね~。とはいえ、私も加納さんの本は、この『モノレールねこ』の他には『掌の中の小鳥 』『カーテンコール!』しか読んでいなので、まだまだビギナーなんですよね(〃^∇^〃)ゝ
      上記二冊では『掌の中の小鳥 』が日常系謎解き(ミステリ)です。
      『カーテンコール!』はミステリではないですが、オムニバスで読みやすいです~。
      あまり参考にならず、スミマセン<(_ _)>
      2022/10/10
    • 111108さん
      あやごぜさん、ありがとうございます♪

      心の積読本なだけで、まだ読んでもいないのにしょうもない心配してます(´-`)

      加納さんの『掌の中の...
      あやごぜさん、ありがとうございます♪

      心の積読本なだけで、まだ読んでもいないのにしょうもない心配してます(´-`)

      加納さんの『掌の中の小鳥』ですね。日常系謎解きいいですよね。そうでした、日常系と言えば北村薫さん。つまみ食いなのでうろ覚えですが図書館で探してみますね。
      ありがとうございます♪
      2022/10/10
  • 表題作と、「ちょうちょう」以外は、家族をテーマにした短篇集で、一見、問題があるような人にしても、かつて過去に負った傷であったり、心の奥に仕舞い込んだ思いがあったりと、一筋縄ではいかない、人間の奥深さを丁寧に描いてあるところに、加納さんの温かな眼差しを感じました。

    特に、「パズルの中の犬」と「ポトスの樹」は印象的で、「恐れとは信用しないこと」という言葉に、はっとさせられるものがありました。

    また、「シンデレラのお城」や、「セイムタイム・ネクストイヤー」の、現実と虚構が入り乱れるような、当事者のみが知る心中の物語には、やや引いてしまう感覚もあったが、大事なのは、当人たちがそれで幸せだと実感するかどうかだと思い、その幸せを当人だけでなく、周りの人たちが共に築いていく様には、幸せの在り方を考えさせるものがありました。

    それから、異色だったのが、「バルタン最期の日」で、ザリガニを擬人化させて、とある家族を見守る物語なのですが、バルタンのネーミングセンスや、母親のダジャレが飛び交う、加納さん特有のユーモラスな雰囲気が漂う中、実はその真意が、この短篇集で最も胸を打つものがあり、人って、こんな状況でも周りの人たちを思いやることができるんだなと、感動を覚えましたし、私の人生で初めてザリガニのことを愛しく思いました。

  • ブサカワ(?)猫の表紙にホイホイされて手に取った本書。
    独立した八話が収録されている短編集です。

    どの話も、日常の中の非日常が絶妙に描かれていて、それぞれの味わいが楽しめます。
    ほっこりな雰囲気の中にも、人の心の闇だったり秘めた哀しみにも触れられていて、それが独特な読み心地につながっているのかもしれないですね。
    個人的には表題作の第一話「モノレールねこ」、第八話「バルタン最期の日」が好きでした。
    前者は猫、後者はザリガニが登場するのですが、二話ともに切ない展開を経つつ、心温まるオチへの持って行き方が良かったです。
    因みに、第三話「マイ・フーリッシュ・アンクル」に登場するダメ叔父と、第七話「ポトスの樹」に登場するダメ親父が“キャラ被りか?”と思う程両者甲乙つけがたいクズっぷりで、まぁ彼らにも彼らなりの事情があるのだよ…的なオチではあったのですが、なんだかそれで許されちゃうのっていいよなぁ・・と、ちょっと羨ましく思った次第です。

    • 111108さん
      あやごぜさん

      かなり当てずっぽう的でしたが合ってましたか?あやごぜさんの『ななつのこ』レビューもそのうちお待ちしてます。
      そして「キャラ被...
      あやごぜさん

      かなり当てずっぽう的でしたが合ってましたか?あやごぜさんの『ななつのこ』レビューもそのうちお待ちしてます。
      そして「キャラ被りGメン」の活躍も今後もとても期待してま〜す(≧∀≦)
      2022/09/30
    • 111108さん
      あやごぜさん、こんばんは。

      読みましたー!ダメンズキャラ被り、なるほどですね。女々しい系とオラオラ系で表裏みたい。確かに結果2人ともキャラ...
      あやごぜさん、こんばんは。

      読みましたー!ダメンズキャラ被り、なるほどですね。女々しい系とオラオラ系で表裏みたい。確かに結果2人ともキャラのまま許されててうらやましいですね。

      今回は加納さんミステリー度は低かったので、高めのものを読もうと思います。
      2022/10/08
    • あやごぜさん
      111108さん♪

      おお♪早速読んで頂いたのですね~。
      Wダメンズは、111108さんの仰る通り、キャラ被りというよりタイプ的に“表...
      111108さん♪

      おお♪早速読んで頂いたのですね~。
      Wダメンズは、111108さんの仰る通り、キャラ被りというよりタイプ的に“表裏”なクズといった感じだったかもですね。
      確かに、本書は不思議系多めの短編集でしたね。是非ミステリ度高め系加納さん本のレビューを楽しみにしております(^^♪
      2022/10/09
  • 短編集。久しぶりに加納さんの書籍を手にしました。
    どの作品もあたたかいのですが、「死」が描かれています。人間、生きているとあたりまえなんですが。どうも切り離して生活してしまう。みんな明るく楽しいだけの生活じゃないんだなあ。どこか夕暮れがあって闇があって。日々を繰り返していくんだよなと読後感じました。
    モノレールねこ…デブ猫をとおしてやりとりをします。ねこの死でやりとりは終わってしまうけれど…。ねこにプレゼントをもらって気分に。さて、どうなるのかな。
    パズルの中の犬。待つことが嫌いな私。待つことの寂しさを埋めるためにパズルをする。でも最後はあたたかな「戌の日」を待つ楽しみが。母の苦労や思いにあらためて気づく主人公。
    マイ・フーリッシュ・アンクル
    叔父さんと遺された私。たった一人の家族として、叔父なりに主人公を送り出してくれる。
    シンデレラのお城 偽装結婚と幽霊の婚約者との奇妙な3人生活。そして婚約者は子供をうむ旦那さんを事故で失う。一人ぼっちになった私が義母とひとりぼっちにはならない選択をする。
    セイムタイム・ネクストイヤー
    このお話が好きかな。娘を亡くした私。自殺を図ろうとしたホテルで…。ホテルは幽霊に出会えるホテル。年に一度だけ。だんなさんはどんな思いですすめてくれたのか、想像すると悲しくなる。余命半年を宣告された私。ホテルマンは来年の予約をすすめ待っていると。希望がありますように。
    ちょうちょう…ラーメン屋。口コミのこわさ。造花の祝花のおかけで、ひと踏ん張りできそう。
    「永遠に枯れませんよ」
    ポトスの樹…クソ親父をもった主人公。クソ親父が孫のために親になる。
    バルタン最期の日…ザリガニ視点の話。俺たちザリガニは、たとえ命よりも大切なこの両のハサミを失ったとしても、見事に再生させることができる……。脱皮することによって。人間もそうだといいのに、と思う。傷ついた心とか、無くしかけた自信とか。そいううものが、魔法みたいに簡単に癒えてしまえばいいのに。

    どの作品もさみしさとあたたかな空気がありました。

  • 短編集でした。

    モノレールねこ…でぶねこを介して、隣の小学校のタカキとやりとりするも、モノレールねこが車に轢かれて遊ぶことが叶わず。就職した先で再会

    パズルの中の犬…夫の帰りを待つあいだの暇つぶしに、三百円の真っ白のパズルを買った。そのパズルがなんだかおかしい…。
    待つことが嫌いな私。その背景には、小さい頃母親がパチンコに行ってる間寂しく待っている記憶があった。母は自分を責め、私は母を責めた。母の苦労を知った。パズルの犬は、戌の日にちなんだもの。

    マイ・フーリッシュ・アンクル…私を置いて、海外旅行に行った家族が全員死んだ。残されたのは、お父さんの年の離れた弟である叔父。叔父は三十代になっても職に就いてないニート。それでも可愛い姪っ子のために、母の代わりとなり頑張った。兄貴みたいに俺は強くない。と言って。
    十年後、私は結婚した。
    たった一人の家族として、叔父は「いってらっしゃい」と。

    シンデレラのお城…居酒屋で知り合ったミノさん。私はミノさんが好きだった。そんな思いを伝えれるほどの度胸はなかった。
    結婚の話をタラタラする流れで、偽装結婚をした。
    ミノさんには、婚約者がいた。でも、ずいぶん前に亡くなっていた。
    ミノさんにはその婚約者が見えた。
    だからミノさんは結婚する気はないが、周りが身を固めろとうるさいから、偽造結婚をした。
    小さい頃、私は貴樹くんと遊びたくて、熱がある貴樹くんを連れ出して、雨の中遊んだ。その後、貴樹くんは死んだ。
    ミノさんの婚約者は、子供を生んだ。貴樹とつけた。
    その後、ミノさんは事故で死んでしまった。
    五人で暮らしていた家に、私は一人ぼっちになった。
    義母さんと暮らすことで、ミノさんのように、ひとりぼっちにはならない選択をした。

    セイムタイム・ネクストイヤー…娘を亡くした私。自殺を図ろうとしたホテルで、娘の後ろ姿を見た。このホテルは幽霊に出会えるホテル。年に一度だけ。
    でもそれは、幻想だった。
    自殺を図ろうとした私を、ホテルマンが阻止したのだ。
    娘に似た後ろ姿は、保育園から帰ってきた従業員の子供。しかも男の子。時が経つにつれ、男の子らしくなり、声変わりが始まって会話をすることができなくなった。
    私は気づいていた。年に一度、亡くなった成長する娘に会えるはずがないことは。
    余命半年を告げられ、来年の予約はしないと言ったが、ホテルマンは待っていると言った。

    ちょうちょう…ラーメン屋さんのおはなし。出店当初はクチコミミーハーで繁盛するが、そのあとは急降下。タベログにあることないこと書かれ、自分で判断しない人たちがほとんどの世の中、口コミが全て。それでも常連やリピーターで徐々に景気を回復。
    従業員のランは、店長である俺に言った「開店祝いにもらった花も枯れないうちに逃げ出すようなやつは止めもしない」と。
    一ヶ月たっても一鉢だけは一向に枯れない。
    「バレちゃいましたか。造花です。永遠に枯れませんよ」

    ポトスの樹…クソ親父の話。
    小さい頃からロクでもなかった。
    俺の貯金していたお金をタバコに使ったり、釣りに行った先で溺れそうになってる俺を助けるどころか、自力で這い上がった俺に「竿はどうした」の一言。
    結婚するにあったって、元彼女は「お父さんにやっと会えるのね」と意気揚々。
    俺のオヤジのクソさを知らないからだ。
    ついに孫が生まれて、両家でショッピングへ行った。
    そこで妻子に逃げられた男が暴れていた。
    標的にされた俺の子。
    その時、子供のために死ぬなんてバカバカしいと言っていたクソオヤジが、俺の子供を守った。
    オヤジがいうには「孫はいんだよ」だそうだ。
    その一件から、クソオヤジは有名になり、カメラの仕事がちょこちょこ入った。
    孫にいろいろ買ってあげたいそうだ。

    バルタン最後の日…ザリガニの話。
    いじめを受けてそうな息子。でも何も言わない。夫も話を聞いてくれない。どうしようか。
    そんな時、息子がザリガニをとってきた。
    そのザリガニが脱皮をした。
    それを見て私は決意した。
    私も脱皮しよう!
    テレビでやっていた「笑うことが大事」に則って、私はダジャレを言いまくった。
    それに答えるように、夫も「ディズニーランドに行こう」と提案。
    そんな旅行中、泥棒が侵入。
    俺はザリガニ。泥棒なんて追い払えないが、ここで過ごした日々は宝物だ。
    帰ってきて何もなくなってたんじゃあ、家族が報われない。
    ハサミで追い払ったが、水のある水槽までは戻れそうもない。
    でも俺は本望さ。

  • 表紙のぶさかわ猫ちゃんにつられ、手に取った一冊。
    8つの話からなる短編集。すごく読みやすい。

  • 短編集。
    どの話にも「死」が関係してるのに重くない。

    ずいぶん前に薦めてもらったのにずっと読んでなかった
    からもっと早く読めばよかったと後悔してる。



    バルタンかっこよかったなぁ

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「重くない」
      加納朋子=怖い話と言う先入観から敬遠していたが、ニャンコが絡むと理性が飛んで(?)読んでしまいました。。。読んで良かったです!
      「重くない」
      加納朋子=怖い話と言う先入観から敬遠していたが、ニャンコが絡むと理性が飛んで(?)読んでしまいました。。。読んで良かったです!
      2012/12/14
  • 表題作ほか7作品が収録されている短編集です。表紙がとても可愛かったので読むことにしました。


    モノレールねこ
    我が家でも猫を飼っています。このお話とは正反対で、人間の一存で家族になりました。それに、エサはあげてますが、健康を考えてるし、よく暴れるしで、痩せ型です(苦笑)。さて、我が家の猫は置いておいて、感想を。この本の出だしとしては、とても読みやすいお話でした。後半、少しショッキングなシーンがあるにも関わらず、ラストの仕掛けのおかげで爽やかな後味になってます。

    パズルの中の犬
    私もパズル大好きです。この話の主人公のように2000ピースに嵌った時もありました。でも、組み立てにも飾るにも場所を取られるので、そこがちょっとね(苦笑)。この夫婦の家は広いみたいなので、とても羨ましいです。さて、本の感想(笑)。だんだんこれ以降のお話から不思議だったり、ちょっと気味が悪い印象が強くなっていきます。でも、なんでか後味は変わらず爽やかです。それに、ほんのり心が温まります。このお話では主人公とその母親の口論のシーン(というか、一方的に母親が怒る)がありますが、それは長い年月を経て、やっとお互いの心の壁が解消されていく様子が描かれていました。女性が書く女性というのは少し陰湿な面もありますが、同性である私としては、かえってこれでスッキリするのかな~とも感じて、共感できました。男性の作家さんも同じような場面は書けるでしょうけど、やっぱりシーンの雰囲気が女性らしくて、私は好きですね、こういうシーンは。

    マイ・フーリッシュ・アンクル
    最初にタイトルを読んだ時「アンクル」って何だっけ?と思いました(笑)。英語はあまり得意じゃないですが、カタカナになると余計わかんないですね。このお話は、実にフィクションらしい展開です。こんなの有り得ないでしょっていう感じです。でも、その中にフーリッシュな叔父さんがいて、主人公を心底心配している…ますますフィクションっぽいですが、この叔父さんが妙に未練たらしくて人間らしいんですよ。30にもなってこの「らしさ」はすごいなと逆に感心してしまうほどです。このお話が一番ほのぼのしてて好きです。

    シンデレラのお城
    このお話って「世にも奇妙な物語」に出ててもおかしくないと思います。ホラーってほどではないですが、やっぱりちょっと不気味…。でも、描写の感じが丁寧だったりアッサリしていたりで、読みやすいし、少し心が温まる印象もあります。この作家さんだからできる絶妙な雰囲気のバランスなんじゃないかと思います。あ~、でもやっぱりラストの終り方は、その先を想像すると怖いんですよね(苦笑)。

    セイムタイム・ネクストイヤー
    「同じ時間の来年に」という意味でしょうか。間違ってたらすみません(汗)。このお話も「世にも~」に出てきそうなお話です。後半に種明かしされるシーンは、ああやっぱり…と思っていると、さらなる種が!ちょっとびっくりしました。それで、このラスト後の展開を想像してしまいました。今度は旦那さんが来るんじゃ…?と。そして、このホテルがそんな客ばっかりだったら、ちょっと気味が悪いな~とも思いました(苦笑)。

    ちょうちょう
    このお話はわりとベタな展開じゃないかと思います。他の作品が個性的だから、印象も薄いです。でも、このお話がクッションになって、また雰囲気がちょっと和らぎます。主人公の失恋とかピンチとか、無茶苦茶ベタすぎ(笑)。漫画だってもう見なくなったタイプじゃないかと。主人公とランちゃんのその後が気になりますねぇ。

    ポトスの樹
    この主人公、唯一口が悪いです(笑)。女性作家が書いてるとは思えないくらい悪い。父親と主人公の関係の悪さも凄いです。でも、ちゃんとハッピーに収めるあたりがこの本の作者らしい感じがしました。やっぱり孫ができると、こんなに人間関係が丸く収まるものなんでしょうかねぇ。それにしても、主人公の奥さんは人間が出来てる良い人だ、と随所で感心してしまいました。

    バルタン最期の日
    各作品には中表紙があって、イラストがあるんですが、これのイラストが一番可愛くて好きです。主人公がザリガニなので、視点が客観的で面白いです。「最期」は、ザリガニらしくなくて、そこがまた面白いです。ザリガニもその家族もかなりお人好しなんじゃないかと思いました。残された家族のその後がハッピーになっていくといいなぁと思いました。


    この作家さんの柔らかくて優しい描写が良いなぁと思いました。どこがっていう訳じゃないんですが、雰囲気が良いんです。読んでいて、すごく居心地が良かったです。なんだか春や夏に吹くそよ風を感じました。

    • ogaさん
      突然すいません。
      作品に対する愛情があふれてて、とても楽しく読ませていただきました。お礼がてら、コメントしちゃいました。
      突然すいません。
      作品に対する愛情があふれてて、とても楽しく読ませていただきました。お礼がてら、コメントしちゃいました。
      2011/02/08
  • 短編集。優しく哀しい物語。涙が溢れる。生きて行く力とは何かなと考えさせてくれた。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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