ダナエ

著者 :
  • 文藝春秋
3.34
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本棚登録 : 289
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784163255903

感想・レビュー・書評

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  • この人の作品は、登場人物の会話がいい。
    ハッキリとしない言い方で、回りくどいけどなんか好きだ。
    先は簡単に読めるけど、だからといって興醒めしない。
    すごく知的な会話を楽しんだな、という気がして、スッキリする。
    惜しい人を亡くしたものだ。

  • 昔読んだ「テロリストのパラソル(直木賞)」面白かった♪作家の事実上の遺作のようです。表題ダナエはレンブラント-ギリシャ神話から着想した作品で面白かった!!どれも悲しくでも清々しさの残る後味の中篇集でした(^^)こんな才能が亡くなってしまうのは惜しいですね☆

  • 藤原さんは絵画の世界を描くことがあるけど、
    描けない人がメインの話も読みたかったな。
    (自分がそっちなので)

    「水母」はタイトル、書籍にする前のタイトル「卒業」がいいな!

    3篇とも、苦くて切なくて取り返しのつかない過ぎた日々が、
    痛い。痛いけどいい。

    藤原節だな〜

  • 3編からなる短編集

    「ひまわりの祝祭」を思い出す、美術がベースになるミステリー。
    表題作のダナエはかなり楽しめたけど、他2編は若干ものたりなさがあり。

    短編集としては「雪が降る」のほうがよくできているように思う。
    それともただ単に、自分の個人的な趣味かな。

  • 親 と 子 の強く哀しい絆 の物語たち。言葉にすれば「愛」と「憎しみ」。普段意識することのないありきたりの感情だけど、それが藤原伊織にかかると、こんなにも強く深いものとして描かれる。「ダナエ」経済界の大物の肖像画をめぐる破壊事件。自分の夢をかなえるために捨てた愛の重さは計り知れない…「まぼろしの虹」再婚同士の親の再びの離婚の裏にある、もう一つの親子の物語「水母」かつての恋人の隠された傷を守るために自分の未来をかける男そうか ここには男の哀しさが溢れていたんだ。

  • 2007/10/27<br><br>
    藤原伊織の絶筆だったそうな。他の人のレビューを見て知った。<br><br>
    あー、藤原伊織の書くおやじは愛すべきおやじだった。「テロリストのパラソル」も「ひまわりの祝祭」も好きだったなー。
    <br><br>
    長編のイメージの強い人だったけれどこれは表題作含む3作品の短編集でした。「ダナエ」はまだしも二作目はもっと書き込んだ長編のほうが良かった(かけなかったのかも)。

  • ダナエ
    若手画家の養父の肖像が何者かによって硫酸をかけられた。
    自分への恨みだった。売れない頃に
    売春をして支えてくれた前妻の従兄弟と自分から去った後に生んだ自分の
    実の娘が仕組んだことだった。
    アトリエと絵をすべて焼くと脅されたが、1枚だけ燃やさないでくれと頼む
    理由を話すと前妻との思い出の絵
    二人は絵を燃やさずに帰った。

    まぼろしの虹
    再婚した両親の姉(サッカーFW)と弟。
    二人が離婚。原因は母の不倫。相手は
    元有名アナウンサー。
    仕事で知り合った声優が三流の人間と
    悪口。バイトで出演した声優の仕事
    でもめた時の上司。辞職した。
    妻に先立たれていた。昔からの愛人。
    元新人女優。TVの力が強く引退。
    住所録を調べて家に行く。サッカー
    見に来ていたヤクザ男が現れた。
    愛人の子。明日、出頭して
    刑務所に入る。家で一緒に食事。
    義母はすでに訪問ずみ。
    水母(くらげ)
    元売れっ子CD
    クリエイティブディレクター
    昔の彼女の作品を見ていると現在の
    彼氏に声をかけられた。
    大学の助教授。大学のCMに彼女を起用
    相手役の著名人の名を聞くと嫌悪感
    その理由を聞きにきた。
    男は実の父親で近親相姦された。
    昼から泥酔。仕事で腕のいい若者に
    合成写真(著名人のラブホテル)を捏造
    別の企画を話し、写真を学長に見せに
    行き話しは終わる
    広告代理店時代、ギャンブルにはまり
    拘留された。自分の指紋は危ない
    あえて指紋を残す。

  • 3つの短編をあつめたもの
    ダナエはよかった!
    「ひまわりの祝祭」も好きなので美術的な話がすきなのかもしれない。(自分で以外だったが)新しい藤原作品はもう出てこないとおもうと本当に残念

  • 昔の作品、私にとっては初めての作家さん。表題作の他に2作の短編から成る。
    ダナエはギリシャ神話が原点。水母が物悲しかった。

  • ダナエ、心に沁みるものがあった…人はみんな忘れられない過去を引きずっているのかなぁと思う。
    水母、良かった。落ちぶれた中年男の悲哀と葛藤。

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著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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