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この作品からのみんなの引用
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自分でものを考えなくていい、決断しなくていいというのはやはり大きかった。任せとけばいいんだぁって。指示があって、その指示通りに動けばいいんです。そしてその指示は解脱をしているという麻原さんから出ているわけですから、すべてはきちんと考えられているんです。
― 217ページ -
僕は意識の焦点をあわせて、自分の存在の憶測のような部分に降りていくという意味では、小説を書くのも宗教を追求するのも、重なり合う部分が大きいと思うんです。そういう文脈で、僕は彼らの語る宗教観をある程度正確に理解できたという気がします。でも違うところは、そのような作業において、どこまで自分が主体的に最終的責任を引き受けるか、というところですよね。はっきり言って、僕らは作品というかたちで自分一人でそれを引き受けるし、引き受けざるを得ないし、彼らは結局それをグルや教義に委ねてしまうことになる。
― 295ページ -
「原罪」を始めから持っているなんていうのは、それはものすごいことを考えたものです。西欧人は「みんな原罪を持っている」とはっきり言うておるわけですよね。
村上 つまり我々はそもそもみんな悪から出てきているということですね。
河合 そうそう。だから「お前、なんぼがんばったところで、人間の力ではしょうがないんやで」ということになります。キリストはそのために十字架にかかってくれたんだ、というふうにもっていくわけですね。そういう点ではあれはやっぱりすごい宗教です。
― 310ページ
みんなの感想・レビュー・書評
(82レビュー)地下鉄サリン事件後のオウム信者、元オウム信者へのインタビュー録。underground1が被害者対象だったものに対する加害者側に属する者たちについて。 驚くべきことだが、脱退しているしているしていないにかかわらず、皆一様にオウムに居たことについては後悔がない。サリン事件というものを一部の暴走と受け止め、そういうことがあったにしろ素晴らしい実践主義が見られた、と言っている点。 でもやっぱり私なん... 続きを読む »
アンダーグラウンドに続き、読了です。
色々と考えさせられる本でした。人は受容されることを求め、また一旦受容され、心を許してしまうとそこに大きな価値を感じてしまうようになる。
その観念を何らかの形で相対化して振り払うことはとても困難なことだと感じました。
内容を知らず、タイトルに惹かれ手に取った一冊。まえがきを少し読んでみたら、内容が内容だったので途中で読む事をヤメようと思いました。ですが、村上氏のまえがきが力強かった事。先日17年の逃亡生活の後、平田容疑者が逮捕されましたので、何かタイミングの良さも加わり、読んでみようと読破しました。まず、村上氏のまえがき数ページに圧倒されました。とにかく、もう少し先を読んでみなくては、と思ったくらい。
いつも評価しておりますが、今回は評価はしません。インタビューの中、村上氏は終始言葉が少ないし、インタビューを受けた方々の内容ばかりでしたので。
地下鉄サリン事件の被害者をインタビューした
『アンダーグラウンド』の続編というか、加害者である
オウム信者へのインタビュー。
『アンダーグラウンド』を読んだときは、読み進むうちに
怒りがふつふつと湧いてきたが、『アンダーグラウンドは
村上春樹という人が黒子のように、表に出ないように出ないように
しているが、こちらはかなり春樹色が濃く出ていて、だから
とても読みやすい。
彼の鋭い突っ込み(質問)が「そうそう、そこが聞きたかった」という感じですっきり感がある。
彼らは現実の世界(私たちが生きる)では生きていけないんだな、とつくづく感じて途方に暮れた。
なんだかぽっかりと穴が開いてしまったような読後感だったが、
巻末に村上氏と河合隼雄氏の対談があり、それを読んで救われた。
もしかしたら、私たちも仮想の世界で生きているのかもしれない。
最初は、実行犯でもないオウム信者の話をきいても、といった感じだったのですが、読み終わると、なるほど、と思わせるものがある。
総じてオウムの信者は理屈っぽいようです。
言語化できない物事や世の中にいらだち、真実を探してる。だからこそ、納得できたらあっさり入信しちゃう。殺人も、その延長線上にあるのかも。
そしてそれに対する村上さん、河合さんの意見は、「世の中はもともと矛盾しているもの。はっきりなんてするわけない」という。
そういえば昔の左翼も、言葉に本能がやられちゃったんだなと思ったものでした。
突風の中に放り込まれたような読書でした。 多くの人の考え、しかもそれが一般的に「正しくない」と認識されているという前提条件を知った上で、その考えを読むこと。わたし、文章の、言葉の力というのはすごく大きいと思っていて。一度読んでしまったら少なからずわたしのどこかに何かが残ると思うのです。その中で、「わたし」を見失わないように注意しながら読まなくてはいけない。だからものすごく疲れました。本当に興味深い... 続きを読む »
平板な小さな箱に入っても、混乱や矛盾を含んだ現実からは逃げ切れない。周りに不幸せをばらまきながら復讐に遭う。
・価値の合わない人を受け入れるセーフティネットとは。大きな物語とは。
・悪の定義について
・良い人しか大きな悪いことはできない。その中で良いことをする難しさを認識する
○僕はだんだんわからんようになる修業をしてきたみたいです。(305頁)
○本物の組織というのは、悪を自分の中に抱えていないと駄目なんです。・・・ところが何も悪いことをするはずがないような人間がいっぱい集まってくると、ものすごう悪いことをせんといかんようになるんです。そうしないと組織が維持できません。(308頁)
わかるような、それでいて全く訳がわからないような。だから読んでいて気持ちが悪かった。 河合氏との対談も理解不能(私みたいな馬鹿には一回読んだだけでは理解できない)。理解不能なのに二人の間では完全に対話が成立している。まったく、なんちゅうやり取りをしやがるんだ。。 時々わかるような発言もあるのだが、部分としてわかりかけているのか全体としてわかりかけているのかさえ自分でもわからない。何をそんな... 続きを読む »
アンダーグラウンドのあとがき「目じるしのない悪夢」において、ほとんどこの本に関しての種明かし的なことがなされているように思う。 キーワードは「物語」。 『自我より大きな力を持ったもの、たとえば歴史、あるいは神、無意識といったものに身を委ねるとき、人はいともたやすく目の前の出来事の脈絡を失ってしまう。人生が物語としての流れを失ってしまうのだ』 この本は、物語を喪失した人々のインタビ... 続きを読む »
村上春樹が8人の元オウム信者にインタビューしたノンフィクションです。 読んでいると、人の内面の深さに眩暈を覚える1冊です。 村上春樹は、信者との対談から、巧みに「異質性と同質性を腑分け」し「個人的物語の集積から生まれる集合的物語」を立ち上げます。 小説家として、エッセイストとして、翻訳家としても巧いのに、このシリアスなノンフィクションも巧いですよ。 内部から語られるオウムの実態は、... 続きを読む »
自分はどう生きればいいか… 恐るべき「サリン事件」を巻き起こしたオウムの信者、元信者を村上春樹が徹底的にインタビュー。 「1」では未曽有の事件に巻き込まれた人たちの辛くも悲しいインタビュー集だったが、本書は「サリン事件」よりも、「宗教」とは何か、という部分に焦点をあてている。 この本は、私が被害者もしくは被害者の家族・関係者であったら絶対に読むことができなかった。客観視できるからこそ冷静... 続きを読む »
発行元は異なるが、この本は『アンダーグラウンド』の延長線上に位置するものだ。
そして今回は、「加害者」の視点から地下鉄サリン事件が描き出される構成となっている。語られる物語一つ一つから浮き彫りにされる「内なる『悪』に打ち克つと今度はその外に『悪』が必要になる」という構造は、とても滑稽に思えるだろう。だが、仮に私たちが「悪」を排除さえすれば社会に「正義」がもたらされると考えているのならば、そこにどんな違いがあると言うのだろうか。
自分の中に潜む「悪」と、どう向き合い、折り合いをつけていくのか――村上(春樹)さんの小説の永遠のテーマのひとつ人間の「暴力性」について、これほど分かりやすく心に訴えかけてくれる本はないだろう。
アンダーグラウンドを読んだ後、この本も読まなくてはいけない気がして読了。
アンダーグラウンドに対して、回答者(オウム真理教に関わった人々)に対して村上さん自身の疑問や意見をたくさん投げていることが印象的だった。
これを読んで当分宗教や信仰関係のものは読みたくなくなった。
加害者と被害者の垣根なんてそうそう厚いものでもないのかもしれない。
自分の正義感なんて到底小さいものなんだ。
私が小学3年生くらいの時に起きた「地下鉄サリン事件」。幼いながらに何かとんでもないことが起きたんだと、ワイドショーに釘付けになっていた自分を思い出した。あれから約15年、私は23歳になった。 村上春樹がオウム真理教に迫る。何故このような大事件が起きてしまったのか、内部からその理由を探り出す為に。信者が何を見、何を聞き、実際のところ何をしていたのか。いや、オウム真理教はどんな世界を目指していたとい... 続きを読む »
『アンダーグラウンド』は、被害者側の記録だったけど、こちらは加害者側であるオウム信者(元信者含む)の記録。加害者側も被害者側も人生のスタート地点は大差ないけれど、結果的に正反対の場所に行き着いているところに、恐ろしさを感じる。
『アンダーグラウンド』を読んだなら、こっちも読まなければ。被害者側の証言は違和感も特になく、スラーっと読めたけど、信者側の証言は「!?」が多い。何故そこでそんな結論に至るのか、びっくりすることが多々あった。ちょっと小難しいくらいの「普通」っぽい人で、どこにでもいそうな人なのに、時々思考回路が理解不能。でも、彼らの証言を読んで、信者たち「こっち側」となんら変わらない人間なんだということを実感した。うしろに収録されている河合氏との対談、いちいち1つ1つの掛け合いに、すごい考えさせられる。価値観の多様化とかいってるけど、結局のところ今の現代に、彼らのような考え方をする人を受け入れてくれる社会システムはないし、そのような価値観は忌避されるだろうし。また、彼らのオウムでの生活ぶりを読むと、税金とか保険とか社会とかに縛られている私たちと同じなんだと実感。ただ圧倒的な数の信者がいる宗教団体か。
最近またこの事件が話題になったので。アンダーグラウンドは既に読了済み。このインタビューに答えた人達の今の声も聞いてみたい
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

