- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309617299
感想・レビュー・書評
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こういう子供向けだけど、大人も読めそうなものは、
将来子どもが呼んでくれたらうれしいなぁ~ということで、
少しずつストック。
14歳だから、中学生向けかぁ。
読んでみたけど、決して簡単ではない。
建築家に興味のある中学生が読めば、
ナルホドとなったり、この本を起点に
色んな建築を見てみようとなるかもしれない。
でも、建築って面白いんかな~って程度の
中学生にとっては、この本を読んで建築家を目指すには
ちょっと難しいかなぁという印象。
個人的にもう少し深掘りして欲しかったのが、
この人何やかんやで東大行ってるんですよね。。
建築が大好きで、建築のことばっかり考えていたのは
おそらく真実なんですが、それと同時に勉強もしていたはず。
その辺のことも書いてくれないとちょっとアンフェアかなぁ。。
その一方で、料理でもスポーツでも色んな好きなものを追求せよという
メッセージは建築家を目指す・目指さないに関係なく
染みるなぁ。。
そして、著者が若いころから有名な建築家の建築を紙のように崇めるのではなく、
純粋な自分の基準によって評価しているのは、
普通にすごいと思った。
(これも隅さんが有名になったがゆえにかもしれないですが。)
中学生向けの本ですが、普通に大人が読んでも面白い本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
14歳前後の若者だけでなく、すべての人にオススメ。情報量が多く、読み応えアリ。
最近は何でも隈研吾だよなぁと辟易ぎみだったのですが、この本を読んでみて、隈研吾建築をきちんと見に行きたい、と思いました。
普通の人であればしたくないような苦労でも、隈さんは「あの経験があってよかった」と自分の糧に出来る方なんだなと。
子ども時代、欲しいものがあるときは父親にプレゼンしなくてはならず、それが後々役立ったそうです。しかし、妹はすぐに買ってもらえていて、世の中の不公平を実感した…というフレーズには笑いました。
プロテスタントが、資本主義経済の社会システムのベースになっていて、それがどのように建築にも影響を与えているのか…という説明も本当にわかりやすくて。
他にもたくさん挙げたいくらい学びの多い一冊でした。 -
少年少女たちに向けて隈研吾さんが書いた本ですが、40代半ばのおじさんが読んでも胸に刺さる言葉がたくさんある本です。私自身は建築家になりたいと思ったことはないですし、アラフォーになって美術館に行くのを趣味としてから、やっと名建築なるものに目を向けるようになったくらいです。当然のことながら建築をベースに文章は綴られますが、本質的な部分ではどの仕事にも当てはまることばかりです。仕事だけではありません。家族や友人との関係性においても身につまされる話もありました。建築家の仕事は、特に隈さんにとっては、それを長距離走者に例えていました。あの国立競技場の建設にしても、それまでの実績と信頼関係などの積み重ねのうえにあるということです。
また、この本はコロナ禍において書かれた本です。最終章ではコロナの前と後での隈研吾さんが考える未来の建築の方向性について語られています。どんな風に話されていたかは是非読んでいただき、私の感想としては、アフターコロナと言われてもこれまでの生活との間にばっさりと境界線を引くようなものではなく、積み重ねてきたことを踏まえて、今後も積み重ねていきたいことは積み重ね続けていこうとも思いました。
あと、アート好きとして建築との違いに触れられていたのが印象的です。建築家を隠喩的に「子供」と「大人」の両方の素養が必要ではないかと説いています。本文を引用させて頂くと、『建築というのは、「大人」がお金を出してくれて、初めて実現するものだからです。そこが建築とアートの違いです』。ものの見方が増える本です。 -
隈研吾が、14歳の読者を想定して書いた本なのでとても分かりやすい。
東京オリンピックの競技場などで有名な建築家だし、東京大学出身なので、エリートコースのど真ん中を歩いているのかと思ったが、実際は紆余曲折があったことが書いている。
個人的には、アフリカに興味を持った背景や、大学院時代に自分で企業と交渉してプレゼンをして資金援助してもらいアフリカに調査した話、アメリカ留学時代に、自分でインタビュー企画を出し世界的に有名な建築家にインタビューした話などは、感銘を受けた。
14歳を想定読者としているのでわかりやすい言葉で書かれていたので読みやすいが、大人の仕事の進め方としてとても勉強になる
気に入った言葉
・自分で何かをやらなければ人は何もしてくれない
・建築の場合は子供の力だけでは建築が建たない
・実際の世の中に出るとこの説明のうまさが建築家にとってとても重要
・日本文化は日本人が思っている以上に大きな影響を欧米に与えている
・今のお洒落に惑わされない意地悪な目ひねくれた目を養ってほしい
・仕事がないことこそ大切
・恥をかくことを避けようとしている限り、今までのディテール、デザインをただ繰り返すことになる -
宗教?的なものがよくわからなかった。
考えに共感できない -
素晴らしかった。多分中高生向けに書かれたかも知れないが世代を超えて共感を覚えたり、反省を促したりするのでは、と思う。考え方の柔軟性、多様性相手への傾聴と、教わる事ばかり。建築だけでなく広範囲にわたり参考になると思う。益々隈氏が好きになった。
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建築家・隈研吾氏が、建築家に興味を持つ10代へのメッセージとして綴った本です。小学時代の生い立ちから、中学、高校、大学での経験を特に詳しく語った、自伝的な内容となっています。
タイトルから子供向けかと思い、読むのをためらっていましたが、大人でもまったく違和感なく、興味を持って読める本でした。
表現がやさしいせいか、隈氏の著作で時々遭遇する難解な箇所はなく、とてもわかりやすくて著者への好感度が上がります。
隈氏の生い立ちとそのエピソードを知るにつれ、氏の建築がなぜそのようなものなのか、ということが腑に落ちてくる場面が多くありました。
小学生の頃、父親と自宅の増改築を行うために、安価で格好のいい材料探しに夢中になっていたことや、高校時代のキリスト教的価値観の教育経験、アメリカ留学で、外国人との対話を通して気付いた日本文化の魅力など、さまざまな出来事が、隈氏の建築家としての活動に大きな影響を与えていることがわかる本です。 -
子供向けという感じではないが、しかし、背伸びして読みには寧ろ良いのだろうか。建築家の思考、発想、そこに至るまでの経験や仕事の妙味、人間模様など、非常に勉強になる。ある意味では自叙伝だが、自分自身をよく分析されていて、どんな体験が思考を作り上げたのか、関係性が分かりやすく語られる。
建築界の大御所と付き合うのに日本舞踊を学ぶ必要があるかのような記載は、誰かの小説で読んだ気がする。池井戸潤の『鉄の骨』だったかな。それと、「神は細部に宿る」久々に聞いたなと思いながら、建築家の言葉だったのかと改めて?初めてかも知れないが、認識した。巨匠、ミース・ファン・デル・ローエ氏。
地球に立体的な構造物を作る。それ自体が世界だと例えるならば、やはり、建築家は神だと錯覚もできるのかも知れない。ロジックでもありアートでもあり、人間社会の権威の象徴でもあり、文明や文化の体現でもある。ロマンある仕事だなと素直に憧れた。
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建築家 隈研吾さんの著書。オリンピックのスタジアムを設計されて、同イベントが終わった節目に出されたと思うが、今までの隈さんの作品歴やその時の想いを感じられてよかった。
今まで「負ける建築」という彼の著書を拝読したが、その時から今日まで、建築に対するスタンスが変わらないこと、歴代の建築家のスタイルに対して決して迎合するでもなく持論を述べられていること、さらに自分の建築界での立ち位置を理解されていかに自分の想いと個性を世間にぶつけるかが、
冷静ながらも熱い想いが詰まっていて、大変面白かった。