七夕しぐれ

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334925222

感想・レビュー・書評

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  • 熊谷達也さんの「モラトリアムな季節」では、岩淵和也の浪人3年間の時代、仙台でのナオミ、カヨコ、ユキヒロ、安子ねえとの季節が描かれていました。今回読んだ「七夕しぐれ」(2006.10)は、岩淵和也が小学校5年生(11歳)のとき、宮城の田舎町から仙台に引っ越したときの話です。(こっちを先に読んだ方が良かったです(^-^))仲良くなったのが、エタ町出身のナオミ、ユキヒロ、そしてストリップ嬢の安子ねえ。小学校でのいわれのない「無視」や「いじめ」に和也の正義感が爆発、部落問題に一石を投じます。

  • 部落の重い問題を淡い恋物語と合わせて描いているので、何と無く温かく良い感じに仕上がってる。

  • 主人公は小学五年生の和也。
    引越し先が元被差別部落だったことから、隣家に住んでいたユキヒロやナオミと同様に、クラスメートから差別を受け始める。
    担任の先生や新聞委員会の先生の言葉や態度に、子供達の差別を生み出している根本の問題を感じさせられた。

  • モラトリアムな季節に繋がる小学生時代の物語。これ先に読むべきだったな。たった四ヶ月の間にこれだけのことがあったらそれは忘れられないよね。誰もが自分のその頃に重ねて読まされるであろうし、その力は抗い難く殆どずるいとも言える。こう言った感受性を当時持ち合わせていたのだとしたら流石小説家になる人は違うな、と思う。当時の情景を大人になって整理してるように所々書いてるが、それだけじゃこうは行かないと思う。自分の子らが小学校なうちに物事をどう感じ取って行くのかにとても興味が湧いたし、それが豊かであって欲しいと強く思った。面白かった。

  • 熊谷氏の小学生時代を綴った作品。本人がたまたま引っ越した先がえた村と呼ばれたところで、彼もいじめを受けてしまう。近所の仲良し三人組と一緒に対抗しようとするんだけど、、、というストーリー。

    すらすら読める作品ですが、後半これからというところでものタラなさも。続編があるとのことなので、そちらにも期待ですが、この方はやはりマタギを書かせてナンボの人だと思います。

  • 熊谷先生の自伝的小説?ごく普通の5年生の男の子の心の吐露。友だちとのこと、周りの人たちとのこと、正直に悩んで解決して。すがすがしい決着のつけ方でした。

  • 小学5年生の和也は父が学習塾を開くために仙台市に引っ越してきた。近所で同じくクラスのユキヒロといとこのナオミと仲良くなるが、学校の中では和也を無視していた。それはエタ町出身ということで差別されていたのだ。始めは学校の外でだけ仲良くすることに決めていたが、ガキ大将のノリオたちにばれて、執拗ないじめを受けるようになる。
    近所の大人に励まされ、和也たちは差別があることを認めない先生や大人や学校に立ち向かっていく。

  • 友達を守るために、正義を貫く小学生の美しい生き様を描く。
    差別問題を子供の目から見つめた、小さなヒーローの物語です。
    すがすがしく自然体で、秀逸。

  • 部落差別を扱った話題であるので意見は分かれるところだと思うが,子供が大人の反対を押し切りゲリラ的に自分の正義と思うことをやり遂げると言うのは読んでいてスカとする.

  • 主人公カズヤの成長物語。部落問題、いじめの問題、でも、大事なことは自分自身の中の正義である。

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著者プロフィール

1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。97年「ウエンカムイの爪」で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年に『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞、04年に『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズのほか、青春小説から歴史小説まで、幅広い作品に挑戦し続けている。近著に『我は景祐』『無刑人 芦東山』、エッセイ集『いつもの明日』などがある。

「2022年 『孤立宇宙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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