工学部・水柿助教授の逡巡: The Hesitation of Dr.Mizukaki (幻冬舎文庫 も 3-8)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (371ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410398

作品紹介・あらすじ

水柿君は、N大学工学部助教授のままミステリィ作家になった。なんとなく小説を書き始めたら、すぐに書き上がり、それをミステリィ好きの妻・須摩子さんに見せたが、評価は芳しくなかった。しかし出版社に送ってみたら、なんと本になって、その上、売れた!時間があれば小説を書き続け、幾星霜、いまではすっかり小説家らしくなったが…。

感想・レビュー・書評

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  • エッセイ風小説?第二弾。

    前回は小説を書こうと思う前の日常だったけれど、今回はついに小説を書いて小説家デビュー。
    こんなきっかけで小説を書いたのかとか、投稿する出版社を決める基準はこんなのだったのかとか、水柿助教授のマイペースさにビックリ!
    大好きなS&Mシリーズが世に出るところは読んでいてとてもワクワクした。
    相変わらず言い回しが面白く、ユーモアたっぷりなお話だった。

  • 水柿助教授=森博嗣先生。
    そう思いながら読むと、今まで読んできた先生の小説がまた違って見えてくるのかもしれない。

    人は必要以上に余計な事を気にし過ぎているのだな。

  • 水柿助教授シリーズ2巻。
    小説風エッセイなのか、エッセイ風小説なのか、自伝的小説なのか。本人曰くフィクションらしい。

    読んでいて度々思ったのだが、森博嗣はやはり読者にあえて間違った方向に想像させる文を作るのが巧い。
    この小説でもそういう表現が何度か出てくるのだけれど、反応を簡単に先読みされてしまった。

  • 水柿助教授シリーズの第2弾である。水柿君=作者 森博嗣 ととらえていいと思う。多分。普段の森博嗣はというか、この時期辺りの著作はGシリーズを書き始め、スカイ・クロラシリーズも手掛けており、無駄のない洗練された文章がウリになっていた。が、しかし本書は無駄が多い。ダジャレやこの前置きはどこまで続くんだ?というような叙述トリックもびっくりのグダグダっぷりにぶん投げたくなる購入者もいるかもしれない。

    そういう意味で、評価を1つ下げている。が、作家 森博嗣がある意味のびのびと好きなことを書いているととらえれば、これほど自由に書いている作品もそうそうないだろう。奥さんへの惚気かわからないが、ミステリー作家になったのは(あくまでも主人公は水柿君なので森博嗣と同一視するのはどうかと言われそうだが、匂わせまくっているからもういいでしょう笑)奥さんを驚かせたい一心であったというのはなんとも心温まる話ではないか。

    ただ、奥さんにはものすごく不評だった(西之園萌絵ちゃんと思しきヒロインのキャラがあまりにも立ちすぎてて腹が立ったらしい)のに、出版社に持ち込んだらデビュー。そして、今まで節約していた奥さんもだんだんと好きなものが買えるようになり、幸せな作家生活を送ることになった…というハッピーエンド。

    勿論、現実はそうではないのだろうけども、小説だもの、いいじゃない。上記だけを見ると「小説家になろうかな~」とか思いがちですが、でも森氏のように才能がないとね…とは思います。

    期日を守るのが当たり前と思っていた水柿君。しかし、小説の業界だとむしろ異端児だったというのはなかなかに驚いた。普通いついつまでに書いてくださいと言われたら納期は守るもんだが、本書の言葉を真実とするのであれば「いや、やはりちょっとうまく行きませんでしたわ~」で締切が延びるのは小説を書くというのもひとつの「芸」ゆえだからか? という事は…と色々と邪推したくなる気持ちをぐっとこらえたくなる。

    とまぁ、脱線しまくりでそもそも何の話をしてたんだっけ?になりがちな本書だが、そういう出版の裏側や作家デビューのいきさつを「水柿君」という人物に仮託してしあげたシリーズ第2弾。とても面白く読ませてもらった。

  • なーんだ、奥様が密室ものを書いて書いてってせがんだからあんなに何作も密室ものを書きそろえたのか。本人が言うとおり意外と粘着質。そうでなければ研究も小説も書けないか。

    「このときの須磨子さんの顔を、水柿君は心の糧にしている。男という者はこういった些細な引っかかりに手をかけ足をかけ、険しい岸壁に挑むのである……、なあんてね(笑)」 

    つまんない男。醒めた。モリヒロ熱から解脱。なあんてね(笑)

  • 3

  • 工学部・水柿助教授の日常の続編。今回は遂に水柿くんが小説家になる話。相変わらず含蓄があるんだかないんだかわからない話が真面目にも不真面目にも綴られている。ミステリ作家になったという事もあり今作はミステリの話題多め。須摩子さんとのやり取りが相変わらずほのぼのしていて微笑ましい。

  • 水柿助教授シリーズ第二弾。
    まるで、森先生自身のことについての面白エッセイのようだけれど、あくまでも”小説”である…らしい。
    ミステリィ作家になり、お金が儲かるようになり…赤裸々に述べられていく生活。
    「儲かっている」とちゃんと書いちゃうところが森先生らしい。

    須磨子さんともなんだかんだで仲良しで、いつも楽しそうである。
    きら~くにきら~くに読める森作品。
    本格ミステリ、いつもの森ミステリを期待していると、肩透かしをくらいます。

    ラスト、油断しきって読んでいたら、森作品にあるまじき(!)爽やかさで終わり、不覚にもぐっときてしまった。
    ずるい。

  • 多分先に読むべき作品を飛ばしてこっちを読んでしまったのですが、とても楽しめました。
    なりたくてなる小説家……というものじゃなく、
    奥さんのために書いた結果小説家になった。
    毎日2〜3時間書いてそれを積み重ねて結果すごい速さでたくさんの本を出した。
    お金の使い道に困る。
    などなど、夢のある話としてクリエーター小説家になるまでの経緯を書いたのではなく
    当然の成り行きのように、劇的な出来事もなく、ただ職業小説家になった、という描写がとても心地よかったです。
    森先生もこんな風なのかなと思いました。

  • 水柿シリーズ第2弾。著者の自伝のようなもの。著者が小説家になるまでの経緯が記されている。水柿くんのユニークな考え方や、須磨子さんのレスポンスがとてもシュールで笑える。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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