- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396633325
作品紹介・あらすじ
東京・丸の内の片隅に、ぽつんと暖簾をかかげる小料理屋。少しさびしそうな美人女将の手料理をもとめて今宵もこころに疵を負った客が訪れる-。
感想・レビュー・書評
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すっかり「ばんさい屋」は脇役になってしまった。
広告代理店中堅どころで働く川上有美を軸に話がすすむ。
いるいるこういう臨戦態勢の人って。
側から見ると痛々しい意地っ張りがちょっとの掛け違いを生んで、それが育って自分の首をしめていく。彼女への側面からの視線が語られることで救われるけれど。
脇役とはいえ、ばんさい屋にも分岐点が訪れる。
迷いつつ「真心だけを包丁と共にこの手にそえていれば、何も怖くない。」と今日も美味しいそうなおばん菜を丁寧に作る。
季節を先取るのではなく、行く季節を惜しみ楽しむ料理っていう視点が素敵だった。
清水さんとすでにそんな関係に?とニヤニヤしつつ女将が幸せそうなのも嬉しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
他の方々のレビューにもありましたが、
私も読了後知りました・・・これ、続編だったのか・・・(失笑)
東京丸の内でひっそりと営業している「ばんざい屋」の
女将のもとに通ってくるお客さんのエピソードがつながる
連作短編集とでもいいましょうか。
男性客が主役の物語もありましたが、
自分と同年代の女性が主役の物語には
なんだか胸がしめつけられる思いです。
やっぱり30歳を超えて、独りで仕事を続けるというのは
心身ともに疲労がたまる重労働なんですよねぇ。
そんな彼女たちのささくれだった心を
そっと和らげる力を持った「ばんざい屋」。
しかし、小説家というのは、すごい人達です。
だって、本当に料理がおいしそうなんだもの。
なんであんなにおいしそうに書けるのかしら。 -
おばんざい屋さんの日常。やってくる客のあれこれとしたエピソードはあるけど、結構淡々としていて、特に事件が起きるわけでもなく、ゆったりとした時が流れてる感じ。そのままするっと終わってしまうので、何かもう一つ大きな流れや事件があると嬉しかったかなと思います。
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最近気になってる和食。褒め過ぎ覚悟で言えば女将&通常営業版”深夜食堂“かな~
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心がほっこりする。
疲れてて、難しい文章や、サイコな推理小説という気分ではないそんな時にピッタリな本。
こういう行きつけのお店がほしいなあ。 -
作中にある言葉のように背伸びがなくて、身近に感じられる雰囲気に安心して肩の力を抜いて読んでいたら、一章から書かれていたことに最後の章で急に苦しくなった。女将とは別の主人公のように丁寧に描かれて常連になった有美に突き付けられた初期の乳癌の確定と、お店の閉店が、どちらも寄り添い過ぎて凄く胸をつかれた。そこまで入り込んでいる自覚がなかったから少し驚いた。ただ美味しくて変わらないままではいられないんだなあ。。有美が今後も大丈夫なことを心から祈りたくなったし、お店は別の場所でまたやるということにとても嬉しくなった。
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北森鴻さんの「香菜里屋シリーズ」と似たテイストの連作シリーズなので、とっても好きでした。この巻で終わりなのかな?
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続編とは知らなかった
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おばんざい 食べて みたくなりました。
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ストーリー ★★★☆☆
美味しそう度 ★★★★★
しっとり度 ★★★★☆
東京・丸の内にひっそりとある『ばんざい屋』。
女将の作る京おばんざいを求めて、今夜はどんなお客が来るのだろうか?
美味しい料理を肴にして、サラリーマンやOLが抱える悩みに、女将が耳を傾ける短編集。
これといった大きな事件が起こるわけではなく、しっとりとした大人の雰囲気が漂う物語です。
聞き手にまわる側の女将にも、複雑な過去があるようで、時折そのエピソードも出てきます。
季節の移ろいと共に変わる、女将のオリジナルメニューはどれも美味しそうで、お腹が空きます。