いのちのパレード (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 1487
感想 : 112
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408550015

作品紹介・あらすじ

あちこちから指や手の形をした巨岩が飛び出す奇妙な村に、妻と私はやって来た(『観光旅行』)。主人公フレッドくんが起き抜けから歌うのは、ミュージカルだから(『エンドマークまでご一緒に』)。「上が」ってこの町を出るために、今日も少女たちはお告げを受ける(『SUGOROKU』)。小説のあらゆるジャンルに越境し、クレイジーで壮大なイマジネーションが跋扈する恩田マジック15編。

感想・レビュー・書評

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  • 不思議で心地よい異世界にいけました。
    春は死者の季節
    蝶遣い
    善良なる教え子 

  • 前半は現実に不思議、奇妙な世界観が迷い込んでいる雰囲気だったが、後半になるにつれて完全に世界観にのめり込んでいった。短編集であったので、1日1話、2話で少しずつ読んでいったが正直一気に読んでしまいたかったし、読んだ方がより本の内容に入っていくことができたのではと思ってしまい、自分の選択に少し後悔した。自分の認識では理解できない独特の世界観、それを読むと背筋に力が入り次々に読んでしまう。

  • 2007年作品
    私としては15編の内3編がなんとか理解できる範疇でした。
    「観光旅行」
    「スペインの苔」
    「あなたの善良なる教え子より」

    他の方の意見も聞きたいところですね。
    次のお奨めを読むことにします。

  • 恩田陸さんの短編集、やっぱり面白い。
    不思議な世界観のストーリーが詰まっている短編集です‧⁺ ⊹˚
    本のタイトルにもなっている‘’ いのちのパレード ‘’は
    生物の誕生〜絶滅 を考えさせられました。
    いつかは人間も...

  • 恩田陸の持つ独特のほの暗さが目立つこの一冊。
    よくこんなに様々な設定を思いつくなと思わされる。
    とくに一番最初の巨人の意思の話や、すごろくの話は特に印象に残った。
    実際に続きを読んでみたいと思う作品も多くあったけれど、この短さの短編が何作も続いているからの不穏さもこの作品も魅力ではないだろうか。

  • 短編集。
    不思議な話、最後ヒヤッとする話が多い。
    どの話も自分で想像膨らませて読み進める感じだったが、理解不能なものも多くて疲れた。
    1人の作者なのに、一つひとつ文章の雰囲気が違ったのは面白かった。

  • 面白かった〜!次はどんな話だろうとワクワクした。怖いけど見てみたい、これはどういう意味?こう来たか!って感じ。なんかこのドキドキ感知ってるぞと思ったら、解説で出て来た作家も読んだことあるし、星新一とか筒井康隆とかにも似たスリル感だ。レコード世代には、順番も重要という事が痛いほどわかるし。長編もいいけど、計算され尽くした短編も凄いな。

  • 独特な世界観で、分かりにくい話もあったが恩田陸を感じられた。

  • ちょっと面倒くさい話を。

    人ってラベルを張りたがりますよね。〇〇って細かい人、私は文系、彼女は理系、とか。

    もちろん、それは個々人の目立つ・印象的な部分を取り出して言っているわけで、それがすべてではない筈です。文系男にもロジカルな部分はあろうし、冷徹で詰めてくる上司にも詩的で感情的な心の動きがあるかもしれません。

    ・・・
    何を言いたいかというと恩田陸氏です。一つの色に染まらない、実に多様な作品をかける方だなと。

    私にとって当初恩田氏はヤングアダルト・青春系のラベルの方でした。氏の作品で一番初めに読んだ「夜のピクニック」の印象が強かった。作品も好きなのです。

    ところが爾後色々読んでいくと、モダンホラー系の作品や舞台を想起させるドラマ等、当初の印象は徐々に書き換えなくてはならないと思うようになりました。

    そして本作に至っては、「奇想短編」集です。

    私の当初の印象からは、かなり遠いところに来てしまいました。そして、改めてその幅の広い作風に驚いた次第です。

    ・・・
    で本題。

    短編はどれも作風が異なるのですが、どれもが明かに現実世界を描いたのではないので、読んでいて違和感を感じながら読み進めた次第です。

    そのあたりの「引っかかり」「没中できなさ」が私にとっては星新一を想起させました。教科書の「おすすめ図書」みたいなのに名前を見つけて読んでみるも、どうにもしっくりこず、何だよ「おすすめ」のわりにいまいちじゃねえかよ、と。

    今は長じて、この「没入できなさ」は自分の趣向と距離があるという解釈ができます。そして、別につまらないわけではないのです。このあたりは表現が難しいのですが・・・。なんというか、よくもまあこんな作品がかけるなあという驚き?

    で、その中でも印象的だったものを幾つか。

    ・・・
    小学生と思しき三兄妹がことばの印象から幻影を具象化する「夕飯は七時」。擬態語など「ことば」の心象ってありますよね。そのような心象が形になるという着想がすごい。そしてこの子どもたちをこれを必死に防ごうとする姿が可愛らしい。

    リアル野球版よろしく、リアルに双六が展開される王国を描く「SUGOROKU」はホラーチックな作風。王国を支配する三姉妹は、王国から女子を集め、リアル双六を行わせるのが慣例。「上がり」となると豪華な褒美を取らせて出身の村に返すという話だが、実際には・・・。

    「エンドマークまでご一緒に」はミュージカルの主人公の独白の話。現実の生活をミュージカルで行うという奇想天外のストーリ。主人公は自己省察的に「寝起きに歌うなんて辛いけど、ミュージカルだから仕方ない」とか「僕を追いかけるオーケストラ連中も汗だく」など、この奇妙な設定をユーモラスかつ冷静に評価。タイトルも、仕掛けまで理解している読者を想定したネーミングであり、一層味わい深いものとなっていると思います。

    これ以外にもホラー系・スリラー系は読みごたえのあるものが多かったと思います。

    ・・・
    ということで恩田氏の短編集でした。

    解説で杉村松恋氏が海外の奇想作家と並べてアツく激賞していましたが、素人の私はそうした海外勢は全く知らない方々でした。

    風変りな話、ホラー系、SFが好きな人にはお勧めできる作品だと思います。

  • ミステリーではないけどミステリアス。無から有を生み出す想像力のたくましさに驚かされる。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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