みんなのレビューページ
この作品からのみんなの引用
-
つまり、羽仁男の考えは、すべてを無意味からはじめて、その上で、意味づけの自由に生きるという考えだった。そのためには、決して決して、意味ある行動からはじめてはならなかった。まず意味ある行動からはじめて、挫折したり、絶望したりして、無意味に直面するという人間は、ただのセンチメンタリストだった。命の惜しい奴らだった。
― 187ページ -
どうして人々はそんなに生きたいのだろう?死の危険にもさらされていない人間が生きたいなどと感じるのは不自然な感情ではないだろうか。生きたいと思ってふしぎがないのは自分のような人間だけの筈だった。
― 227ページ -
自分にも行先がわからないというほど安全なことはない。
― 226ページ
みんなの感想・レビュー・書評
(62レビュー)
-----
自分の「命そのもの」を商品にすること。
「命」という最も人が手放せないものを
人にゆだねた瞬間から、主人公は
ただただ自由になってゆく。
前向きに、奔放に、冒険的に。
失うことが怖くなり始めると、
途端に臆病になる。失いたくないものを
奪われるかもしれないと恐れるものから
逃げ出さなければいけなくなる。
守るべきものがあることは、
人を強くするのか、弱くするのか。
たぶんどっちでもない。
-----
三島由紀夫がこんな娯楽小説を書いていたとは思いもせず。生と死という二元論的思考は相変わらずですが、読みやすいのは良しとしても文が砕けすぎていて少し物足りなかったり。最後の警官の言葉がただの嫌味ではなく、なかなか重い。案外三島の作品があまり好きではない方に合うのではないかと。
あまり三島由紀夫の作品を読んだ事がなのですが、今まで読んだ事のある三島さんの作品と違うイメージでした。
出だしが少し安部さんっぽいと感じていたら、それまた全然違う展開に。
読みやすいコミカルで通俗的な作品でした。
表現がとても素晴らしくて、それで引き込まれてしまいます。
新聞の活字がゴキブリにみえるくらい無意味さに直面に、実存的な開けにおちいっていた主人公。
一度死んで生まれ変わり、そうして意味付けし直した人生。
主人公がただのセンチでしかないニヒリズム的境地から脱して、そこから自ら意味を与えていくというのは、とても現代的であり、そうしてそんな主人公がああいう形でエンディングを迎える、という現実をえぐるようなストーリーに皮肉を感じました。
最後の警察との会話が好きです。
純文学作家三島さんの作品ですが、とても砕けた文体で書かれています。非常に軽く、さくさく読める。プレイボーイで連載されたそうです。
これはやはり、日本語と文学を極めた三島さんだからこそ、表現できる軽やかさなのでしょう。ニヒルな主人公の言動に思わず笑ってしまったり、ところどころに散りばめられたシュールなユーモアがニクいです。この人、なかなか茶目っ気のある人だったんじゃない?と、ストイックな生き様が有名な三島由紀夫の別の一面が垣間見られる本作、おすすめします。 :)
先日出掛けた時本を持つのを忘れてしまいました! (電車時間が長いので結構致命的)なので何か文庫をゲットしよう、と思っていたら飯田橋でフリマを開催してまして。3冊100円で文庫を売っていたのでセレクトして見ました。三島由紀夫は以前金閣寺を読もうとして途中で挫折した覚えがあるのですが心機一転。読んでみました。 読みやすかったです。文体も文章も。お金の価値と外来語の言い回しや表現方法が今と違... 続きを読む »
すごく読みやすくて、一瞬あれ?三島作品?と思ってしまった。
娯楽小説というか…エンターテイメント(同じか)性にとんだ作品。
とても楽しく読めたけれど、後半がちょっとだれたような。
自衛隊市谷駐屯所で自決した事件以外ほとんど知らない三島由紀夫の死生観を感じてみたく題名だけで選んだ作品。目標と失っている社会とその社会に希望を失い死を選んだ主人公の羽仁男。ただ人生をあきらめたばかりに見えてきた社会のひずみに、結局は生を求めてしまう。この作品は三島由紀夫が亡くなる2年ほど前の作品のようだが、そのときすでに日本や自衛隊の将来に悲観していたのかもしれない。
まず、タイトル
に惹かれ、裏表紙を見てみたら内容に惹かれ。
読んでみたら後半から速読。
ぐいぐい引き込まれた。
自殺しようとして、失敗した羽仁男は、命を売ることにする。
死がどうでもと思っていながらいちばん死に捕われているのは羽仁男だったのかも。
人生は無意味だと言うことは容易いが、無意味であろうとすることには強力なエネルギーがいる、と本文に書いてあって、なんだか分かる気がした。
これ、はまります。
新聞の活字がゴキブリに見え、こんな世の中に生きていてもしょうがないと思い睡眠薬自殺を図るが死ねなかった羽仁男は、新聞に「命売ります」と広告を出し、命を買いに来た人間と頼み事の間を何の組織にも属さない自由な人間として軽やかに生きる。「世界が意味があるものに変れば、死んでも悔いないという気持と、世界が無意味だから、死んでもかまわないという気持ちとは、どこで折れ合うのだろうか。」と死ぬ事しか考えない羽仁男。何度命を売りに出しても死なず、暫く店じまいと思った時に死が身近に忍び寄ってくる。生への執着は一度兆したら飢渇するように激しい。三島由紀夫はワタシにとって当たり外れの大きい作家というか、戯曲の方が好み。
とはいえ、比喩が凄く巧い。例えば、「今では、まるで、猫を抱いて寝ているように、温かい毛だらけの恐怖が、彼の胸にすがりつき、しっかりと爪を立てていた」といった様に。
こういう話は大好きです。なにが面白いかていうと、死を覚悟した瞬間からの人生が見違えるように面白くなるっていうのが好きです。現実はそんな人いるのだろうか、死んでもいいやと思って逆に人生が面白くなるような人。死んでもいいと思って本当に死んじゃう人も多いだろうけど、この物語の主人公みたいに逆に開き直っちゃって、思い切ったことやってみたいなーとか思わされました。かっこわらい
"生きる"とはなにか。"死ぬ"とはなにか。最高級のエンターテイメント小説。
自殺をしそこなった男が、途端になんだかスッポリとした自由を感じ、こんな新聞広告を出す。「命売ります」。
訪れるのは奇妙な人々。自分の妻と死んでくれ・人体実験台になってみてくれ・吸血鬼に飼われてくれ――。
命を売ると言っているが、主人公・羽仁男の生への執着は見ていて滑稽なほど。それは不幸な自分に酔って「死にたい」と繰り返す人に似ている。死を意識しているが、誰よりも生きたがっている。
すべてのお話が終わったときに、羽仁男が抱く想いはやはり"生きたい"だったんだろうな。
すごく娯楽小説です。 特に前半。シリーズ物に出来そうなくらい。テレビドラマに出来そうな感じすらする。 後半は失速しがちな感じに思いました。 おち所が定まらないまま書いてる感じ。 書き下ろし?連載物?だったのかな。 エンターテイメントなのに最後まで疑問符が浮かんだままでした。 命売りますっていうタイトルと彼の最期から、先入観がありすぎたのかも。 しかし、三島さんってどういった方なん... 続きを読む »
目覚めたのは病院だった、まだ生きていた。必要とも思えない命、これを売ろうと新聞広告に出したところ…。危険な目にあううちに、ふいに恐怖の念におそわれた。死にたくない―。三島の考える命とは。
あらすじ抜粋
初めて三島由紀夫の作品を読んだが、良いものだ。
フットワークの軽い三島作品。
おそらく今まで読んだ小説群の中では最もエンターテイメント。
連載誌がプレイボーイだったようなのでそれも納得。
あまりにすいすい読めるので、中には戸惑いを覚えるファンもいたことだろう。
自分としてはそれが新鮮でこういう三島も悪くないと思った。
この全体に漂う「ゆるさ」は現代の娯楽小説に通ずる部分がある。
改めて三島のふり幅というか懐の深さを感じた。
大作家がプレイボーイに連載とか今では考えられないし。
気障ったさがイメージにありがちだったのだが、意外と仕事を選ばないと言うか(笑)。
映画化したら極上のエンタメになりそうだと思った。
自分もネットオークションで命売ろう。
評価としては星3つかな。
これを読んでも三島は分からないだろうという点で。
自殺に失敗した男が、死ぬのも面倒だし生きるのもいやだし、命なんかいらないや、どうしようと考えた挙句、自分の命を売りますという新聞広告を出す話。 広告に見た客に命を買われ、依頼を遂行していくのだけど一向に死ねず、逆に依頼人たちが続々と命を落としていき、自分はお金だけがたまっていく。 命を売るのも疲れて休養した先で女と出会い、一緒に暮らすことになるが、 女の破滅願望に命の危険を感じるようになり逃... 続きを読む »
三島由紀夫って、
切腹して自決した人。
偏った人。
っていうイメージしかなかったし、
その作品は純文学ばかりだと思っていたけど、
これはすごく読みやすかった。
あれよあれよと読み進めていけちゃったし、
この突拍子もない設定が、展開が面白い。
古さを感じないし、
今、読んでこそな感じもする。
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

