団地が死んでいく (平凡社新書 415)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582854152

感想・レビュー・書評

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  • 「団地」=「老人」という構図でかかれています。
    高度成長期に建設された団地、かつては賑わっていたようですが、バブルがはじけ、家族形態もかわり、近所づきあいも希薄になり、行く末は「老人(に限らず)の孤独死」。
    たしかに、改修工事をしていると、高齢の方が多いです。
    そして、つねに人とかかわってくる人と、拒絶する人の二極化。
    「団地が死んでいく」より「団地で孤独に死んでいく老人」の話で、どうしたら防いでいけるか・・・という、さわりの話でした。

  • 思索

  • タイトルで団地全体の死を想像したのに、蓋を開けてみたら団地で死んで行く人々の死、の話にどんどんすり替わっていった。「死んでいく」というよりも「どうしたら団地は生きられるか」に変えたほうがいいと思う。騙されたというほど内容は逸れてないけど、ちょっとがっかり。

  •  「団地が死んでいく」を、二つの側面から説明しています。ひとつは住まいの場である建物が劣化していくことです。それだけでなく、入居者の世代交代があります。

     建物が次第に使えなくなる要因を、建て方そのものが悪い、メンテナンスの対応が悪くて使用可能なのにその期間が短期で終わる、まだ使えるのに入居者を排除して建て替えしてしまう、などです。

     入居者の世代交代。その深刻な点は「孤独死」です。孤独死といい、官庁は「孤立死」という考え方だそうです。
     孤独死は死そのものであり、防ぐことはできないが、発見の期間を短くしたり、場合によっては防ぐこともできると、説明しています。
     近隣の人間関係、プライバシーとは別な関心の寄せあいで、防ぐことも可能なのだと地域での取り組みケースを紹介しています。

     団地。日本の社会で普及して時間がたっていません。いま、たくさんの人をかかえこんだ集団生活の行方が、どのようになるか。考えるのに、たいせつな見方、考え方が、示されています。
     団地をつくり、利用してもらうことだけを考えた計画や開発をすすめた担当者の考えのなかには、「30年さきの将来、そこで『なにが起きるか』を考えていなかった」とも、書いています。

     「サービスを受ける人、サービスを提供してくれる人との接点がいちばん重要」で、「本当に死んでいく」のは「そこに住む高齢者であり」、「作り上げてきた『結=注 ゆい』と『結の想像力』だ」としています。
     堅牢な鉄筋コンクリート製の建物のなかで展開される、地域のなかで人心の『むすびつき』の重要さを、考えさせてくれます。

  • [ 内容 ]
    高度成長期、全国に作られた巨大団地。
    それから四〇年、建物は老朽化し、住民は老い、街はさびれつつある。
    さらに、独居高齢者の増加にともない、団地での孤独死が深刻な問題になっている。
    日本の団地は、このまま死んでいってしまうのか?
    団地再生のカギは、“結”の再構築にある!
    深刻な現状をレポートし、具体策をさぐる。


    [ 目次 ]
    第1章 団地が無人になる日
    第2章 建て替えられた団地と建て替えを拒否した団地
    第3章 日本に団地はなぜ必要だったのか
    第4章 死なない団地を造るには―同潤会アパートに学ぶ「結」の世界
    第5章 団地からの復讐―孤独死の背景にあるもの
    第6章 孤独死から住民を守れ!
    第7章 団地住民の孤独死予防策を提案する

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 刺激的な題名と違い、安心してじっくりと読める内容。都市計画・高齢者生活支援・孤独死(孤立死)etc。
    筆者曰く「結(ゆい)の創造」(コミュニティの確立)の重要性に思わず納得。読んだ翌日からは、いつも以上に挨拶しまくりです。

  •  「限界集落」という言葉をご存知だろうか?

     人口の50%以上が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落のことを指すそうだが(詳しくはこちら)、この本でもたびたび登場してくる東京の都心部の団地が「限界集落」となったという記事が出た。(くわしくはこちら)

     生活の利便性、高度な医療機関の充実などの理由から、リタイア後も東京に住み続ける方は多いし、おそらく、自分もこの国にいるのであれば、おそらくここに住み続けるのではないかという気がする。高齢化社会が進んでくると高齢者世帯、高齢者ひとり世帯が増え、「孤独死」が発生する可能性が高まっていく。

     「孤独死」---プライバシーに関わることだし、死の尊厳にも関わることなので、ここでは「孤独死」自体については論じるのを控える。非日常時に起こる「事件」ではなく、日常生活のなかで「孤独死」が起こりうるコミュニティ・社会となっている現実に狼狽を隠せない。人間関係が希薄になっていると言われる現代社会における1つの表象なのか。

     仕事柄、「どうにかしたい!」と言う思いと、「どうすればいいのだろうか?」という思いとがぶつかりあう問題ではあるが、結局のところ、地域・コミュニティレベルで、色々とやってみるしかないのではないか。公共住宅を中心にLSA(ライフ・サポート・アシスタント)など高齢者に対応した住宅への模様替えといったハード面の整備や高齢者の憩いの場を地域に、コミュニティの中に創出していくなどのソフト的仕組みづくりなどなど。そういったアイディアをひとつひとつ形にしていくしかないように思う。

     まだ東京区部はいいが、高度経済成長期に完成し、高齢化と共に老朽化の進むニュータウンはどうするのか?20年、30年後、明らかに問題が大きく顕在化すると思う。現在、大規模団地でおきつつあるコミュニティレベルでの問題と同時に、高齢化社会に対応した都市のあり方というマクロ的な視点での都市問題との両面が投げかけられていると思う。 

  • 2008/6
    高度成長期に多く建てられたベッドタウンの団地。そこがゴーストタウン化しているといわれはじめ久しいが、失敗例と成功例として数箇所の実例を深く掘り下げ、また団地、そして公団というものの歴史を丁寧に語っている。

  • 今さら何を。

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