- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591003893
感想・レビュー・書評
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昔話の登場人物達はよく歩く。
どこまでもどこまでも歩いていくうちに、雀のお宿やら鬼ヶ島やら、ネズミ穴やら山姥の家やらの異境に足を踏み入れていく。
昔話の「どこまでもどこまでも歩いていくと」「ゆくがゆくがゆくと」を絵にするのはすごく難しそうだけど、この絵本はお爺さんが歩いて歩いて次第に山深くに入り込み、雀のお宿の竹林に辿りつくまでの絵の表現がすごく良い!
この昔話にしっくりくる素晴らしい挿絵だと思う。山がだんだん深くなっていく様や、竹林の色使いの明るいのにどこか神秘的な雰囲気も、とても魅力的。
この絵本は松谷みよ子による解説文がまた良くて、これを読むと「したきりすずめ」の面白さが倍増する。
特に興味深かったのは、馬の洗い汁七おけと牛の洗い汁七おけの試練について。
雀のお宿を探すために、じい様もばあ様も何のためらいもなく、汚い洗い汁をがっぷがっぷと飲み干してしまう。それは見た目には同じ行動であっても、内容(じい様とばあ様の動機)はまったく違うのだという解説だ。洗い汁のくだりは、雀のお宿に辿りつくための、つまり異境に入るための異質な試練なのかなとぼんやり思っているくらいだったけど、なるほど~。
「雀を訪ねていく、そのことひとつでも、雪と墨ほどに心持ちがちがい、たとえ同じことばをとなえても、意味がちがう、そのちがいがこのくらい明確に語られている話は、そうたくさんないのではないか」とのこと。洗い汁は、じい様ばあ様の心持ちのちがいを聞き手読み手に明らかにするための装置でもあったのか。
解説では、雀に無垢の愛を向けるじい様よりもばあ様の人間くささに視点が寄せられているのも面白い。
近世、「したきりすずめ」が本になって出た時に、じい様とばあ様は家族ではなく隣人の関係にされたのだそう。
これに対して、解説では「舌切り雀の場合、同一家族のなかでおこった葛藤のほうが、わたしはより人生の真実を語っているように思われる」と指摘されていて、こうなると途端にばあ様のことをぐっと身近に感じるようになる。
近世の本では、洗い汁のくだりもカットされたそうで、「ひとつの物語が、語り継がれていく過程、文章にされていくなかで、どのくらいおもしろくも、つまらなくもなっているかもしれません。おそろしいことです」とのこと。
昔話絵本を選ぶ難しさを日頃から感じているが、やはり適当に選んではいけないものなのだなと改めて思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Mの読書タイム本。
「最後にさ、転んで箱からいろいろ出てきたのが、怖くて面白かった!」
鮮やかだけど優しい絵が楽しい。
おにぎり食べて寝てるスズメにニヤニヤ。
スズメを可愛がるおじいさんに、おばあさん案外ジェラシー?だったのかも。
スズメのお宿を探すのに馬洗い水やら牛洗い水の困難があり、なんでこんな嫌がらせ?と驚く。
あっさり見つけたわけではなかったのね。しかもおじいさんでもおばあさんでも待遇が変わらないし。 -
日本民話の代表作ですね!
絵もよくて子どもたちもききいっていました。
何世代にも語り継がれる作品って素晴らしいです、!! -
日本の昔話。欲張るのは良くないという事を教えるには一番伝わる話だと思うなぁ。
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おじいさんがすずめを連れて帰って飼う、馬洗い牛洗いの水を飲む、おばあさんも飲む、おばあさんは禿げたお椀欠けた茶碗、葛を途中で開ける
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昔話は簡易版でなく、是非こういった整ったものを読んでほしい。
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4歳の息子が、したきりすずめ知ってるよー!と。すっかりストーリーを忘れていたが改めて読んだ。
じいのすずめに対する無償の愛情、優しさ、謙虚さ、ばあの嫉妬心、意地悪さ、人間の欲が、両極の例えとして、ここまではっきりと表現されていた。人間にはその両面があり、どちらにでもなり得ることという教えだったのかと、改めての発見だった。 -
(2014-06-15)
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定番中の定番。でも、この絵本ではうまあらいどんやうしあらいどんが出てきます。これは知らなかったぁ。読み聞かせながらびっくり。昔話はほんとにいろんなバージョンがありますね。
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どうしておじいさんは、すずめに謝りに行くために居所を探しているのに、牛や馬の洗い汁を飲まされたのかな。