ぞうのさんすう

  • あすなろ書房
3.76
  • (14)
  • (12)
  • (22)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 182
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751519806

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ★★★
    あかちゃんぞうは毎朝1つずつうんちをします。
    1歳の誕生日で2つ、2歳の誕生日で3つ、誕生日のたびに1つずつうんちは増えます。
    象にとって人生(象人生?)は毎年増えていく毎日のうんちです。
    そして51歳の誕生日、うんちは増えずに減りました。
    それから毎年、49個、48個…と減って行きます。
    うんちが0になるとき自分は死ぬのだろうか?
    そしてついにその日が来て…
    ★★★

    なんとも不思議な感触の絵本でした。
    作者のヘルメ・ハイネは色彩豊かで情緒的な絵を描く印象なのですが、この「ぞうのさんすう」では白と黒のみ。黒はインクで線をすっすっと流したような。
    登場人物(動物)は1頭の象のみ。出てくるものはその象のうんち。それが転がって行ったり山になったりします。表紙なんてぞうがうんちで算盤してるようだし(もちろんドイツに算盤はないけど、似たような計算手段があるのだろうか?)。
    そして黒だけ使っているからこそ引き立つ”余白”。それが物語と相まってなんとも不思議な考える場所を示しているような。

     ぞうはしあわせでした。
     100年いきてみて、やっとゼロというものがわかりました。
     もうかんがえることはなにもありませんでした。

  • 〝むかし、ある処に<ぞう>がいました。食いしん坊の子どもの<ぞう>でした。<ぞう>は、朝から晩まで食べていました...食べて食べて、お腹がいっぱいになるまで食べていました〟・・・<ぞう>は幸せでした。100年生きてみて、やっと「ゼロ」というものが分かりました。もう考えることは何もありませんでした・・・。たっぷりと時間をかけて、歳を重ねてから分かることを諭した、ドイツ人絵本作家ヘルメ・ハイネの処女作です。

  • 毎日、ぞうが自分の出したうんちを数える話。

    たくさん食べて、うんちを出すのは大切。幸せなこと。

    私は病気の犬の世話をしていたことがある。

    自力だけでは歩けず、よぼよぼと散歩をする犬を見て、
    「うんちが自分でできるうちは大丈夫よ」と、
    通りがかりの人に元気づけられた。

    そのとおりだった。
    うんちは健康のバロメーターであるのと同時に、
    うんちを出せるというのは、
    生きる力がまだある証でもあった。

    生きる時間がまだあるという証であった。

    生きものは限られた時間を生きる。
    ぞうの数えるうんちの数は、生きられる時間。

    ぞうの一生を追いながら、
    生きるとはどういうことなのだろうと考えた。

    ぞうはうんちを「数える」=「考える」ことで
    生きている実感を得ているのだと思う。

    わからないことがわかるようになり、
    生きた分、かしこくなる。
    わかっていたことがわからなくなる。
    また考える。

    この絵本を
    大人は、死を意識した眼で読むだろう。
    子どもは、生を意識した眼で読むのではないだろうか。

    ぞうのさんすうの答え「0」

    「0は無ではない」と、感じるのは、
    この絵本に余韻があるからだろう。

    この余韻が何かは、
    私がもっと齢をとった時、
    あるいは死ぬ時わかるのかもしれない。

    白黒で描かれたシンプルな絵。
    白の空白が多くとられている。
    その効果で、
    空白がとても深く、大きく感じられる。

    この世とはではない別の世に
    つながっている気が、
    今の私はする。

    しずかに最後のページを閉じるそんな絵本。

    1+1=2
    1+1=大きな1 も正解だと思う。
    だから生きるのは楽しいのだ。

  • ある象が、毎日うんちをいくつしたか。というお話。
    かと思ったら、意外と深い絵本でした。100年生きた象。50歳までは、毎年1日のうんちの数が増え続けます。ところが、51年目からは、1日のうんちの数が毎年減っていく。そして、101歳になる時うんちがゼロ、出なくなって死んでいく。
    うんちは、"生"の象徴のようで、50歳で人生を折り返す。最後に象は"0"という数字を知って喜びます。人生を全うしたのでしょうか。

  • こんなに「うんち」を高尚に描いた本は、他にないと思う。
    数というより、いのちがテーマになっているけど、
    重たさは感じないというか、淡々としていて、
    ゆっくりとした時間の流れを感じられる絵本でした。

  • ほっこりした。あと、ちょっとかなしかった。せつない。てきにおそわれなくてよかったね。

  •  近所の絵本専門店で買ったのは、北杜夫訳の「ぞうのおだんご」版でした。ここブクログでは、そちらが出てこないので、こちらで登録。

     一応、この「ぞうのさんすう」Ver.も図書館で借りて読んでみた。

     どちらも大意に差異はなく。「うんち」を「おだんご」としたドクトルまんぼうVer.は、詩的ではあるけど、意味が遠くなる。
     かといって、「さんすう」というのも、ちょっと違うけど。

     いずれにせよ、いいお話。人生哲学。
     我が家も、夫婦共々「おだんご」は減って来る年代に入った。今年は弟がMAXの「おだんご」を生み出す年齢となる。みんな、満足して人生をまっとうしたいね。

     齢50を越えた大人が読むといい絵本。

  • ひとつ、ひとつ増えていき、ひとつ、ひとつ、なくなる。そして最後はすべてなくなる。

  •  このお話では、ぞうの人生がうんち50個、つまり50歳で折り返します。

     人生の折り返し地点が分かるのが幸せなのか、分からないのが幸せなのか。

     ちなみに私は今42歳。もうきっと折り返しているのでしょうね。

  • ブックトークに使用。

全25件中 1 - 10件を表示

ヘルメ・ハイネの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エリック=カール
なかがわ りえこ
エリック・カール
マージェリィ・W...
はた こうしろう
A.トルストイ
ドン フリーマン
馬場 のぼる
酒井 駒子
ユリー・シュルヴ...
トミー=アンゲラ...
マーガレット・ワ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×