- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784767828220
感想・レビュー・書評
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この本棚に登場回数の多いエクスナレッジさんの本。
またまた素敵なお仕事をしてくれた。
本を読む楽しみにもうひとつの楽しみを求めて、著者が40年間旅をして撮り続けた写真。
その中からベストショットを選び抜いたのが本書だ。
めくってもめくっても、美しい写真があらわれる。ため息しかない。。。
表紙は「秘密の花園」の舞台。
作者・バーネットは庭園の中にあるこの「あずまや」で著作に励んだという。
まだ女流作家に対する社会の認知度が低かった頃の話。
山積みするプライベートな悩みに苦悩する彼女は、この庭にたくさんの薔薇を植え、花園をよみがえらせることで自らを励まし、作品を生む力を得ていた。
…そんな話もたくさん登場する。
作品の生まれた背景と歴史や地理、作者の生い立ちや人生も語るという実に丁寧な旅。
関連のある場所を撮っただけでなく、作品への思いを綴る筆致から児童文学への深い愛情と造詣がみてとれる。そこが、読んでいてすごく嬉しい。
時代も場所もまちまちだが、今も物語の舞台は現存していて、行こうと思えばそこを訪ねることも出来るということだ。楽しくないはずが、ない。
「嵐が丘」で描かれた荒涼とした「ヒース」の丘は、「クマのプーさん」の舞台では息をのむように美しいピンクの花々を咲かせている。
前書きの次にあらわれる「児童文学の舞台MAP」。まずここをじっくり眺める。
掲載されたのは26作品、26カ所。そのうちの実に21カ所が英国だ。
「ビーター・ラビット」から「アーサー王伝説」、「アリス」や「マーニー」「ピッピ」「ピーター・パン」「ナルニア国」や「ツバメ号とアマゾン号」もある。
「ドリトル先生航海記」は、太平洋戦争勃発前後に少年史掲載だったのを初めて知った。
二年間もの間、堂々とまかり通った背景には、編集者だった石井桃子さんの献身的な努力あってのこと。今更ながら感謝でいっぱいだ。
思わず心拍数が上がったのが「トムは真夜中の庭で」の取材。
著者はモデルとなった邸宅に泊まり、庭にみとれ、作者のピアスに会ってお話をしている。
興奮と感動が伝わる場面だ。私にはよーく分かるよ。
北欧からは「ニルスのふしぎな旅」とリンドグレンの作品。
その名のついた国際的な賞もある「アンデルセン」。
フランスから「星の王子さま」。スイスから「ハイジ」。
皆さん、ハイジの過ごしたアルムの小屋には、ちゃんとモデルがあるのよ!
解説の松岡享子さんまで、どこまでも贅沢にしつらえた一冊。
今でこそ外国旅行もままならないが、いつの日か児童文学の旅に出たい。
原作を読了していようといまいと、本書の美しさをぜひ手に取って眺めてみてね。
興味を持った本を読んで、また本書に戻ったらもっと楽しいかも。
さて私は「サトクリフ」を読まないと。
憧れが強すぎて手を出せなかったけど、先延ばしはもうやめる。
この本を読んでますますその気持ちが高まった。
池田正孝さん、続編を希望します。 -
世界の児童文学のモデルとなった地を写真と文章で紹介した本。表紙の写真は『秘密の花園』の庭園の中にあるあずまやである。
著者は中小企業論を専門とする大学の先生だが、少年のころ『ドリトル先生航海記』(当時は『ドリトル先生海の旅』)に夢中になったことをきっかけに、様々な物語のゆかりの地を訪れて話を聞き、写真に収めるという活動を続けてこられた。
インターネットもない時代から、地図と本を見比べて場所を特定する、という地道な作業にコツコツと取り組んでこられた著者の写真と文章には、専門家とは一味違う、物語とそのゆかりの地に対する純粋な愛情が感じられる。
取り上げられている物語の地はイギリスが大部分を占めるが、これは、英国の児童文学の層の厚さを示すとともに、実在するものや人物をヒントに物語を造り上げていくイギリス人の特性でもあるようだ。
自然や庭を愛するイギリス人らしく、モデルとなった地はどれも本当に景色が美しい。
私はイギリスを訪れたことがなく、シャーロック・ホームズやポアロシリーズの舞台である霧の町ロンドンのイメージが強かったので、写真で紹介される風景に新鮮な驚きを感じた。
特に、『つばめ号とアマゾン号』をはじめとしたランサム・サーガシリーズの舞台の一つであるイングランド北西部の湖水地方は、雄大な山々の麓に広がる広々とした湖の美しさに目が釘付けとなった。
取り上げられている児童文学は、事前に読んでいる方がより楽しめるのはもちろんだが、未読でも文学案内として十分楽しめる。読んでいない本は片端から手に取りたくなるので、読みたい本リストが長くなること必至である。 -
英国中心に、児童文学の舞台になった場所を訪問し、写真で紹介。
英国を舞台にした作品・・・『秘密の花園』『時の旅人』等20作品。
北欧を舞台にした作品・・・『ニルスのふしぎな旅』
リンドグレーン、アンデルセンの作品。
フランス・スイスを舞台にした作品・・・『星の王子さま』『ハイジ』
児童文学の舞台MAP、コラム有り。
40年近く巡った旅と撮影した一万枚の中から選りすぐった写真で
児童文学の舞台になった場所を紹介しています。
作品のあらすじと訪問記をうまく織り交ぜ、写真を添える。
作品を未読の方にも読書への誘いを与えてくれます。
作者の内在する何か・・・故郷や思い出、人々との出会い、風景が、
いかに作品に影響を与えていたかも、わかります。
『ニルスのふしぎな旅』が地理の教材の役割もあったという事。
『秘密の花園』の夏のムーアの美しさはディコンの笑顔のよう。
『トムは真夜中の庭で』の美しい庭園を顕著に捉えた写真に感動。
あ、ボストン夫人のマナーハウス。林望氏の住んだ部屋が
写ってますねぇ。(『イギリスは不思議だ』参照)
ピアスさんとの出会いは、なんとも羨ましい! -
英国を中心とした児童文学の舞台となった地を写真で紹介します。「ピーターラビット」や「くまのプーさん」のモデルの地は有名だが、サトクリフのローマン・ブリテンもののモデルは珍しいのでは。そもそもサトクリフは、他の英米児童文学に比べると、近年あまり読まれていないような気がする。感動的な歴史大河小説という感じなのだけど。
著者の児童文学の舞台となった地を訪ねるお話は、まだまだ他にもあるそうなので、続編にも期待したい。 -
ピーターもセーラもアーサーも
ピッピもニルスもマーニーも
ウェンディもアリスもみんな
この風景の中にほんとうにいたはず
そしてこれからも存在し続ける
王子は今頃ふるさとの星で最愛の薔薇と
ふたりで幸せに暮らしているはず
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懐かしい児童文学の舞台が現実に目の前に現れてわくわくした
架空の場所だと思っていた所が、思っていたより実在していたことに驚く
英国に育った人たちは物語の舞台に直接立てるのかと思うとうらやましい
どの写真も美しくまた読みたいと思う本に出会えた
子供の頃に何度も読んだ本たちも、今読むと違って読めるんだろうな -
児童文学の、主にイギリスを中心とした写真集。作品を読んでなくても風景を見るだけでも楽しめるし、嵐が丘やハムレット等にも思いを馳せる事が出来た。教えて下さったb-matatabi様有難うございます。
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『秘密の花園』、『ピーターラビットのおはなし』、『不思議の国のアリス』…。
夢中になって読みふけった、あの名作が生まれた場所へ。
物語の描写そのままの姿で残る風景に触れると、子供の頃の愛読書を、まったく新しい視点で楽しむことができるはず。美しい写真を眺めるだけでも嬉しい一冊です。 -
お気に入りの愛読書のお気に入りの場面を素晴らしい写真の数々で堪能できます。児童図書好きにはたまらない一冊です。
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目次前のイラストの地図がわかりやすくていい。どこで作品ご生まれたかが絵でわかる。
「世界の」といっても英国、北欧、フランス・スイスの児童文学。
私のお気に入りポイントとしては、
☆第九軍団のワシ』のサトクリフの作品を5作品も 取り上げていること
☆エッセイや短編小説のように読みやすいこと
☆写真集といっても過言ではないこと
☆作品より先に作者について説明してくれること
☆コラムに『時計じかけのオレンジ』のワードが出てきたこと
一家に一冊あっていい本。著者もきっといい方なんだろうなぁと思った。
これでダイレクトにレビューが拝見できますね。
「赤毛のアン」はどこにも行かずに待っててくれますから、い...
これでダイレクトにレビューが拝見できますね。
「赤毛のアン」はどこにも行かずに待っててくれますから、いつでもお暇なときにお読みくださいませ♪
「炉辺荘のアン」が一番好きかな。ああいう人になるのが夢ですって、もう遅いか(笑)
ああ、ピアスのその作品は名作ですよね!
最後は涙なしではとても読めません。
ブックトークでずいぶんお勧めしてきました。
タイムラインにも滅多にあがりませんね。残念なことです。
注釈はあった方がいいですよね!
私のは村岡花子さんですが、ものすごく古くて全体に褐色をしています(笑)
そして文字が小さい...
注釈はあった方がいいですよね!
私のは村岡花子さんですが、ものすごく古くて全体に褐色をしています(笑)
そして文字が小さい!でも有難く読んでます。
ピアスのその作品は、記憶ではタイムラインに一度だけ登場していますね。
ああ、名作なのに。。
ありゃ?
コメント消えちゃってる、、、時折ダブってるコトがあって、気付いたら削除するのですが、間違えて全部消しちゃった、...
ありゃ?
コメント消えちゃってる、、、時折ダブってるコトがあって、気付いたら削除するのですが、間違えて全部消しちゃった、、、