明日もいっしょにおきようね─捨て猫、でかおのはなし

著者 :
制作 : 岡優太郎 (アートディレクション) 
  • 草思社
4.16
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本棚登録 : 196
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794218940

作品紹介・あらすじ

寒い冬のある日、保健所に収容された一匹の大きなオス猫。ちょっと不機嫌そうな顔をしているけど、おっとりした食いしん坊。なんとかその猫の命を求おうと思い悩むノリコさん。しかしそのとき猫はすでに…。ある保健所で本当にあった猫と人との悲しいけれど、ぬくもりのある物語。

感想・レビュー・書評

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  • ある保健所で本当にあったお話。
    ノリコさんは、せめて最後まで動物たちが心地よく過ごせるようにと保健所でお世話をしている。
    ある日そこに大きなお顔の猫がくる。
    そのコを「でかお」と名付けたノリコさん。その日からでかおのことが気になって仕方がない。

    みんな連れて帰れるわけじゃないし、既におうちにはたくさん猫がいるし……
    悩んでいたノリコさんだが「処分日」が偶々延びたことが契機となり、
    でかおを引き取ることを決意。
    だけど、時すでに遅く……。

    結果をいうと、注射をされたでかおは奇跡的に助かり、ノリコさんと幸せに暮らす。
    だけどでかおのような幸運なコは稀だ。

    描かれている、または、描かれなかった猫たち。
    行間から読み取れる、たくさんの、本当にたくさんの不幸な動物たち。

    それを忘れずに、一匹でも不幸な動物たちが減るようにと願ってやまない。


    ずっと前から気になりながら、手にする勇気のなかった本。
    ブク友さまの感想を読み、やっぱり読もう!と購入したものの、
    それからもながーく積みぱなっしだった。
    レビューで寄付できるイベントをきっかけに、やっと読みました。

  • ブログ友のお薦めで読んでみた一冊。
    表紙からはみ出ている大きな顔の猫の名は「でかお」。
    顔がでかいから「でかお」と名づけたのは、ノリコさんという女の人。
    捨てられた犬や猫が集められた場所に毎日通い、お世話をしている。
    それは【捨てられたって、おなかいっぱい食べさせてあげたい。
    最後までキレイなところで寝かせてあげたい】という、精一杯の気持ちからしていることだ。
    もちろん、職員さんには許可をもらっている。
    そんなノリコさんがある日、怖い顔した大きな猫「でかお」に出会う。
    これは、その「でかお」に出会ってから起きた、奇跡のような本当のお話。
    2009年の、岐阜県内の保健所で実際にあった話を穴澤賢さんが本にして、これまた無類の動物好きの竹脇麻衣さんが可愛い挿絵を付けてくれたというもの。

    毎週水曜日が「処分日」という保健所だが、「処分」という言い方も恐ろしい。
    職員さんにしても、決して楽しい仕事ではないだろう。
    生きようとしている生き物たちの、生命を奪ってしまうのだものね。
    でも一番悪いのは、捨てたひと。
    引越しなどやむにやまれぬ事情もあるだろうけれど、それはすべて人間の都合。
    一度でも飼う(ああ、この言葉も好きじゃないな)と決めたなら、最後まで飼ってほしい。
    穴澤さんも、あとがきでそう述べている。

    ところで「でかお」の起こした奇跡とは?
    それがもう本当に驚きの出来事で、「筋弛緩剤」の注射を2本も打たれたのに生きていたってこと!
    逢うたびに「でかお」が好きになっていたノリコさんは、「最後を見届ける覚悟で」もう有無を言わさず家に連れて帰る。
    ここまでの逡巡するノリコさんの切ない気持ちが、自分のことのようによく分かり、思わず涙してしまった。
    でも、連れて帰ったのは正解だったのだ。
    最後の1ページには、ちゃんとふたりが寄り添って、幸せそうな寝顔を見せている。
    「明日もいっしょにおきようね」って、なんて素敵な言葉だろう。
    私も思わず、傍にいる闘病中の子に、そう声をかけたものだ。
         『明日もいっしょに、おきようね。』
         『その次も、その次も、ずううっと、一緒におきようね。』
            

  • 草思社のサイトに「『明日もいっしょにおきようね』のモデルとなった猫、でかおが7月18日に天国に旅立ちました。謹んでご冥福をお祈りします。」
    合掌

    福井県立大学地域経済研究所所長 中沢孝夫の書評
    http://www.nikkei.com/article/DGXDZO43056800X20C12A6NNK001/

    明日もいっしょにおきようね | 草思社
    http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1894.html

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      奇跡の木さん
      この本は思い浮かべただけで泣く、、、

      今江祥智(呼び捨てですが、色々なエッセイ等で、猫を子どもの本の世界に誘ってくださ...
      奇跡の木さん
      この本は思い浮かべただけで泣く、、、

      今江祥智(呼び捨てですが、色々なエッセイ等で、猫を子どもの本の世界に誘ってくださった方だから師と言っても良いくらい)のコトを考えていると大長編シリーズ「ぼんぼん」(4部作)が読みたくなってきた。
      残念ながら今は手元にないので、無理なのですけと、、、
      2021/04/12
    • 奇跡の木さん
      猫丸さん

      そうですね。この本は、 泣きますね。強い想いが通じて合って戻ってきてくれた気がしました。辛い事があったけれど、共有する時間を過ご...
      猫丸さん

      そうですね。この本は、 泣きますね。強い想いが通じて合って戻ってきてくれた気がしました。辛い事があったけれど、共有する時間を過ごせて最後を迎えて本当に良かった。
      私も次は、保護犬をと考えています。

      ぼんぼんですね!
      私も気になります。
      また機会がありましたら読ませていただきます♪
      2021/04/12
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      奇跡の木さん
      保護犬、、、
      元飼い主さんが何故、手放したか?それを考えると切ない。。。
      奇跡の木さん
      保護犬、、、
      元飼い主さんが何故、手放したか?それを考えると切ない。。。
      2021/04/13
  • 今は亡き、富士丸の飼い主の穴澤賢さんが作られた絵本。

  • 老若男女、問わずに読んでほしいな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      辛いけど、そう言ったコトがなくなるよう希ってます。
      辛いけど、そう言ったコトがなくなるよう希ってます。
      2013/01/21
  • ある保健所で本当にあったおはなし。
    捨てられて保健所で処分をまつ猫、「でかお」。
    でかおのことが気になって仕方がないノリコさん。
    でかおを引き取ろうと決心して保健所に向かうと、すでに注射を打たれたあと・・・。

    注射を打たれ、ビニール袋に入れられ、冷凍庫の中に置かれていました。
    衝撃でした。

    実話と書いてあったので、処分されてしまったんだろうなぁ、と予想しながら読んでいたのですが、まさかこんな描写があろうとは。
    かわいらしい絵なのですが、冷凍庫とビニール袋の絵には驚きました。
    なまなましくて、ちょっと怖くなりました。

    でかおは奇跡的に助かり、幸せに暮らします。
    でも、保健所にはたくさんの捨てられた犬や猫がまだまだいます。
    その子たちは処分されてしまうのでしょう。
    ビニール袋に入れられて、注射をされて。
    だから、この本は、でかおとノリコさんのほのぼのとしたシーンで終わっていますが、読後感は悲しいです。

    あとがきによれば、毎年20万匹以上の犬や猫が「処分」されているということです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      出版社のサイトに「おくやみ」が載っていました。
      『明日もいっしょにおきようね』のモデルとなった猫、でかおが7月18日に天国に旅立ちました。謹...
      出版社のサイトに「おくやみ」が載っていました。
      『明日もいっしょにおきようね』のモデルとなった猫、でかおが7月18日に天国に旅立ちました。謹んでご冥福をお祈りします。
      私は未だ読んでいないのですが、、、気持ちをシッカリさせてからでないと、読めそうもないのでズルズルと後回しにしています。
      2012/08/06
    • カオリさん
      「おくやみ」の情報ありがとうございます。この本が出版されてから3か月ほどですね。ノリコさんと暮らした日々が幸せだったことを祈りつつ、天国でも...
      「おくやみ」の情報ありがとうございます。この本が出版されてから3か月ほどですね。ノリコさんと暮らした日々が幸せだったことを祈りつつ、天国でも幸せに暮らしてほしいです。
      2012/08/07
  • 「捨てられたっておなかいっぱい食べさせてあげたい。最後までキレイなところで寝かせてあげたい。」

    保健所(動物管理センター)に連れ込まれた犬や猫をお世話しているノリコさんと、彼女が出会った‘でかお’という顔の大きな猫との実話だそう。
    帯にもある、この文章だけで泣けてくる。うちにいるのも、乳幼児で捨てられていた猫達と、ずっと外で暮らしていた猫達。この子達だって、そういう場所に行く運命だったかもしれないのだ。

    ノリコさんが、強く、素敵な人だと思った。
    私はとても、あの場所には行けない。今ココにいる子が、明日には殺される。全ての猫を救えないと判っていて通うこと。捨てた人間が一番悪いのに、「ごめんね」と代わりに謝って。

    どんな事情があっても、捨てないで。
    最後まで一緒にいられないのなら飼わないで。

    今、動物と一緒に暮らしている人も、これから暮らそうと思う人も、そうでない人にも、多くの人に読んで欲しい。

  • 何度読んでも、涙です。
    『でかお』 優しいママに出会えて良かったね。

  • 実話だそうです。

    生き物の生き死にを自分たちの都合で決める人間の身勝手さと、そう思いながら何も出来ない自分の無力さに胸が詰まります。

    でかおくんはノリコさんのお陰でたまたま命拾いしただけで、保健所に連れて来られる猫たちの多くは、人間が決めたルールで理不尽に命を奪われるのです。
    生き物を売り買いする人、一緒に暮らすと決めながら無責任に途中で放り出す人、それに行政も含めて安易な考え方や間違いを認め、改めなければならないのだと思います。保健所に連れて来られた全ての猫と一緒に暮らせる人を探すのは大変な仕事だと想像出来ますし、実際に取り組んでいる自治体がある事も知っています。しかしこの本がくれた考える機会を無駄にせず、様々な人が現実に目を向けてくださるよう願います。

    心配も難しさも楽しみもあるけれど、家族である猫の命を守る事に全力を尽くすしかないのだと、改めて心に刻んだ一冊でした。

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