- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794970886
作品紹介・あらすじ
「文句を言うな」
「君だって一員なんだから」
「嫌なら辞めちゃえば?」
「母親なんだからしっかり」. . .
政権の欺瞞から日常のハラスメント問題まで、隠された「呪いの言葉」を
2018年度新語・流行語大賞ノミネート「ご飯論法」や
「国会PV(パブリックビューイング)」でも大注目の著者が
「あっ、そうか!」になるまで徹底的に解く!
「私たちの思考と行動は、無意識のうちに「呪いの言葉」に
縛られている。そのことに気づき、意識的に「呪いの言葉」
の呪縛の外に出よう。
思考の枠組みを縛ろうとする、そのような呪縛の外に出よう。
のびやかに呼吸ができる場所に、たどりつこう。
――それが、本書で伝えたいことだ。」(本文より)
感想・レビュー・書評
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「嫌なら辞めればいい」「選ばなければ仕事はある」「ダラダラ残業する人が残業代多くもらうって、不公平だよね」「デモで世の中は変わらない」「政治の話はしたくない」「◯◯を政治利用しないで」「野党は反対ばかり」「モリカケばかりで国会が進まない」「沖縄の経済は基地に依存している」「女性は権利ばかり主張するようになった」「恥をかくぞ」「決まっているものは変えられない」
巻末の※「#呪いの言葉解き方」サイト(@tokikaroさんまとめ)より抜粋されたものをさらに抜粋した。サイトには、全国から集まった「解き方文例集」も同時に載っている。
これらは「呪いの言葉」である。「いや、これは違うんじゃないか?」と思う方もおられるかもしれない。貴方は間違っている、とは言わない。そもそも、こんな数行で「呪いの言葉」の仕組みを紹介出来ると思う方が間違っている。でも、「呪いの言葉」は「たった一言」でそ人の人格や努力や地道な行動を否定する。その一言で、ホントに仕事を辞めて、その人の人生は激変するのである。表面の言葉の裏に、言っている本人さえ気がつかない(当然恣意的に言っている場合も多々ある)悪意や「社会的な圧力」があるのが「呪いの言葉」の特徴のひとつだからだ。この本には、これらの数倍の言葉が溢れているけれども、それらの背景、解き方を簡単に説明しているだけで、270ページの本が出来上がるのも宜(むべ)なるかなと思う。
私はひとつひとつに反論したい。私自身が何度も聞いてきた言葉だからだ。でもそれをやると、数十頁の論文が出来ちゃうからグッと我慢している。まぁ読んで欲しい、ということですね。
つい最近も、ある女性から労働相談された。「パワハラまがいを受けている」という。「その上司の上司(店長)とは相談出来ますか」「でも、そんな文句を言ったら職場にいられなくなる」「それは文句じゃない。上司は労働者が気持ちよく働けるように職場環境を整える義務があるんですよ」「でも言ったらどうなるかわからない」「感情じゃなくて、事実を伝える必要があるけど、それは店長にとっても必要なことなんです」延々3時間ぐらい話したけど、どうどうめぐりが続いた。結局辞める方向でアクションを起こしてみる、ということにしかならなかった。かくも「文句を言うと、職場の雰囲気をこわす」という呪いの言葉の力は大きい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
家人が購入して本棚にずっとあったのだが、もっと早くに読めばよかった!と思うくらいよき本。
答えのない問い、「どうして負けたんだ?」「私のどこがきにいらないの?」
何を答えても誤答になる問い。
「人が『答えにならない問い』を差し向けるのは、相手を『ここ』から逃げ出さないようにするため」
いきなりガツンと来た。
私もある。言われたことも、言ったことも。
そうかあ、相手を逃げ出さないようにさせる問いの形を取った言葉だったんだ。私もそういうつもりで確かに発したことがある…。
そういう言葉には問いの次数を上げて対処すること。
要するにメタ的に捉えるということ。
なるほど。
でもそれができない弱い相手に発する言葉ではあるのだよね。やはり呪いの言葉は怖い。
「やっぱり若さというのは価値だと思うんです」という呪いの言葉には
→「自分で自分に呪いをかけているようなものよ。あなたが価値がないと思っているのは、この先自分が向かっていく未来よ」
さらに、「灯火の言葉」と名付けられた、人に勇気と元気を与える言葉についても書かれている。
褒める、というよりも、まず相手を「発見』して、話しかけることだよね。通り過ぎるだけでは、「発見』したことにはならない。話しかける、というのは意外と骨が折れて面倒だけど、それは、もしかするとものすごく人間にとって必要で基本的な生きる力に直結するものなのではないだろうか。言う方も言われる方も、人生を変えるくらいの。 -
“「呪い」に縛られていると、自分でなんとかしなくてはいけないと思い込まされ、できない自分の姿は、見せてはいけないのだと思い込まされる。そうやって問題を閉じてしまう。そうではなく、問題を「開く」こと、ひとりではできないことは「できない」と言い、適切な助けを求めることこそが大切なのだ。自分の薄い“溜め”を補うためにはどうすればよいか、どこに助けを求めればよいか、というとらえかたが大切なのだ。”(p.177)
“肯定的に認めるとは、その人の「今」を評価すること。期待をかけるとは、その人の「今」の「その先」を評価すること。”(p.201) -
様々な社会の問題について報告したり解説したりする本は多いが、その問題に著者自身ががどう関わっていくかについて、肩肘張らずしかしラディカルに語る本は決して多くない。第3章の4節から第4章の最後までは特に面白かった。109ページで「職場の労働者のモデルは「ケアレス・マン」」という、朝倉むつ子による指摘を紹介しているが、なるほどと思った。
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「嫌なら辞めればいい」というような自分を縛る言葉。問題があることに対処せずに、抗議した自分が悪いように意識させられる言葉、それらのおかしな点を突いてちゃんと戦いましょうという書籍。個人的にはっとしたのが、”ダンダリン 労働基準監督官”というドラマからの引用で主人公が部下からどうしたらそんなに強くなれるか尋ねられたとき、『私は強くなんかありません。強いて言うなら、人からどう見られるかを気にしていないだけです』のところ。どうしても女性は意見を述べるときに感情的だとか言われがちで、私もどのように話すか日々腐心している。でも、これこそが呪いの言葉の束縛だったと気づいた。なぜならこのように悩んで出した言葉の成否は結局他人に委ねられておりその評価は信のおける結果ではない。このような部分に悩むのは止めようと思った。また他者のケアに責任を全く持つ必要がない人を”ケアレス・マン”とし、人間としてはあまり幸せでないのではないかという引用があった。自分と少し重なった。「国民主権」を獲得した国と与えられた日本との違いに納得し、デモの必要性もわかった。人間の究極の幸せは、”人に愛されること、人に褒められること、人に必要とされること、人の役に立つこと”の4つであるという禅僧の引用も参考になった。
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あとから考えるとあれおかしくない?という気持ちになる”呪いの言葉”に対して、どう反撃するか?を具体例で示す。しかし普通の人は、あまりにも失礼なことを言われたり、ここに上がっているような呪いをかけられるとまず混乱してすぐレスポンスができなくなってしまうので、事前に練習しておかないと、その場で反駁できないよね…練習必要だけど、そもそもそういう練習が必要じゃない世界にしたい。
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「文句」ではなく「抗議」
「灯火の言葉」「湧き水の言葉」
上西充子さんの鋭い言語感覚。
ボンヤリとしていた違和感や心地良さの理由がクリアになった。 -
逃げ恥のゆりちゃんの言葉。
「今あなたが価値がないと切り捨てたものは、この先あなたが向かっていく未来でもあるのよ」
女性はこうあるべきとか、こうあるべきでないとか、一般常識のようなことにとらわれてしまう呪い。
そんな呪いが世の中に溢れていて、その言葉について考えさせられる本。 -
言葉は呪いにもなりうる
と私自身も常々考えていたのでタイトルに惹かれ購入しました。
私は特に幼い頃親などから言われた言葉が自分の可能性を奪う呪縛である、と思ってそのようの心理学的なことが書かれているかと思いましたが、法や政治という別側面からの文献でした。
思ったより大枠からの解釈で私は労働法、政治に詳しくなかったので、個人的な心理だけでなく、国レベルの心理戦にも言葉の呪いは利用されているのだと、目から鱗でした。
今まで個人の内面ばかり目をむけてましたが、もっと大きい枠での、言葉の呪縛というのを考えさせられました。