君の名残を

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (585ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796641333

感想・レビュー・書評

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  • 現代の高校生の友恵、武蔵、志郎が落雷によってタイムスリップして平安末期のそれぞれの名前と同名の歴史上の人物としての人生が始まるところまではSF風身もあってかなりワクワクと期待感を持って読める。

    ただ中盤以降、私が大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ていたせいもあり、主人公たちと深く関わることになる木曽義仲、源義経、源頼朝のエピソード含め、小説に書かれている多くの歴史的イベントを知ってしまっているため、中盤以降はそのおさらいを読まされている感覚で疲れてしまった。

    手塚治虫の火の鳥的なポジションの「時を司る神」的な存在や、その走狗として動いている阿修羅(盛遠・天狗・覚明・文覚)のエピソードなどオリジナル要素もあるのだけど、巴、武蔵坊にはもう少しタイムトラベラーとしてラノベ主人公的に歴史を改変してしまうぐらいのアクションをしてほしかった。転生して15年ぐらい過ごしているので、義仲や義経に思い入れがあるのは理解できるけれど、史実を知っているのだから例えば4人が対峙した時に正体を明かして打倒頼朝で共闘してみれば良かったのにと思う。

    二人が史実イベントの結果を知りつつもその流れに従順に従ってしまうので、読者としては既知の破滅イベントに向かう話を読むだけになってしまうのでイライラを感じることが多かった。

    小説の結末としては歴史通りに収束させる必要があるのは理解できるけれど、面白さを求める読者としてはもうちょっと強引に歴史に干渉して、後白河法皇や行家叔父を成敗するとか、鉄砲開発するとか、先の読めないぶっとんだストーリー展開になればいいのになぁという期待感と、そうならない展開に悶々としてしまう。

    文章は美しい言葉遣いで読みやすかったです。

  • 長い。
    そしてすごい設定。
    でもとてもよかった。
    20年ほど前に読んだが、先日富山に行った際、木曾義仲縁の神社のそばを通った。それだけで何だか胸が熱くなったくらい記憶に残る作品。

  • 今まで読んだ本の冊数は少なくはないほう(だと思っている)。そして読了後にこれめっちゃおもしろかった好きだー!!と思う本も少なくはない。けれど、読了後何年経っても(もうすぐ20年…?)、あの本を読んだときの感動は忘れられない、本当に本当に良いお話だったな、と何度も思い起こすのはこの本だけ。あまりに分厚すぎるので一回読んだだけだし、10代のあのときと今では感じ方も違ってしまっているかもしれないけれど、当時読んだときの衝撃はこれから先もずっと心に残るんだろうなと思う一作。

  • やはり長編はいい 

    物語の終わりととともに広がる寂しさ・悲しさ。。。先を読みたいが、ページが少なくなることの寂しさ

    面白かった

  • 初めて読んだハードカバーがこの作品でした。

    歴史にも興味があったわけでもなく、ただ姉に勧められるまま読んで号泣しました。
    歴史に抗うことが出来ずに大切なものを失っていくものの負けない巴と、歴史に最後まで逆らおうとする武蔵のそれぞれの戦いと恋が切なくて、特に木曽義仲が討たれる場面では分かってはいたものの辛くてぼろ泣きしました。

    今でも何回も読み返してしまう作品です。

  • 幼馴染で男女の剣道部の主将を務める高校生の友恵と武蔵、友人の弟の志郎が平安末期の世界へ呼ばれ、巴や弁慶として各自歴史に組み込まれたように馴染み戦い生涯を生きる。歴史や平家物語には疎いながら、厚いものの文章は硬くなく読み易い。二人から離れ感情の動きの薄い歴史物的中盤は入り込み辛かった。生も死も高らか。

  • 開いてみたら小さい字に2段組。「これは読み切れるかな〜」と不安になりましたが、武蔵のパートあたりからぐんぐんスピードが上がりました。高校生の頃にこの本があれば、この時代の流れがすんなり頭に入ったのに!(もちろんフィクションの部分はたくさんあって、作者も巻末に「ここは筆者の創作ですよー」とわざわざ断ってくれていますが)

    この本を手に取ったきっかけは、似たタイトルの映画原作と間違えたわけではなく、大矢博子さんおすすめだったから。
    「時をかける症状(前編)――歴史の舞台にタイムスリップ小説」http://hon.bunshun.jp/articles/-/5155

    読み終わってから改めて大矢さんの記事を見てみて、「紹介文こんなに短かったっけ?」と驚きました。そんなに深いところまで説明されていないのに、強烈に「この本読みたい!」と思わせてしまう、大矢さんの手腕にひれ伏す思いです。

    あれ、作者の浅倉さんではなく大矢さんばかり褒めているぞ。でも、ぜひぜひ、大矢さんの記事からこの本を手に取ってくれる人が増えますように。ただ、ここで「時をかける」のは高校生3人ではなく、高校生2人と中学生1人です。志郎君は中学生ですよー。

    萩尾望都の『あぶない丘の家』の「あぶない壇ノ浦」を読んで、さらに『君の名残を』を読めば、源平合戦の流れはバッチリ! 日本史苦手な高校生におすすめ! 年号は頑張って覚えて!

  • 「これは泣きます」と貸してもらった本。
    確かに泣いた。号泣まではいかなかったけれど、電車の中で非常にまずい状態にはなった。文中に出てくる「時」が語る輪廻のくだり、全然ロジカルではないけれど、感覚的に好きだと思った。時間をおいてもう一度読もうと思う。

  • よかった!

    もちろんフィクションではあるけど、歴史を学べる部分もあっておもしろかった。
    武蔵と義経の絆の強さがわかるエピソードや
    タイムスリップ前の友恵と武蔵の、友恵と由紀のエピソードがもっとあるといいと思う。

    でも十分感動したので満足。

  • 時の定めは残酷だ。

    長くて中盤少しだれたけど、ほぼ全編を通して惹きこまれた。
    始まり方も良かったな。

    戦の世に生きる男達の、その生き様はなんて眩しいんだろう。
    義仲の友恵を思いやる優しい心根と、戦いに果敢に飛び込んでいく強さと凛々しさに、心打たれた。
    武蔵や覚明の話も良かったけど、断然義仲と友恵の話が良かった。
    どうにかして運命から彼を守ろうとする友恵の必死さがひしひしと伝わってきて、やるせない。

    それぞれの人間模様がこれでもかと交錯し、随所に見せ場を持たせる。
    でも志郎はいてもいなくても、良いような・・・?

    終わり方が少々気に食わない。
    彼らが現世で生まれ変わって再会して欲しかった。


    「『よし我らが水の流れなら俺は激流になろうと思う。この木曾を古今に類のない激しい流れとしてみせる』
    義仲は前を見たままだ。唇を結び友恵も肯いた。
    『―はい』
    殿のそばに。覚明の言葉がまた思い出された。
    そして友恵はその川の名を思う。

    ―人はそれを歴史と呼ぶのだ。」

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著者プロフィール

作家・翻訳家。東京大学文学部卒。レコード会社洋楽部ディレクター等を経て作家に。
著書に『四日間の奇蹟』、『君の名残を』(以上宝島社)、『黄蝶舞う』(PHP研究所)ほか、訳書に『安アパートのディスコクイーン─トレイシー・ソーン自伝』、『フェイス・イット─デボラ・ハリー自伝』(以上ele-king books)、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、テイラー・ジェンキンス・リード『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(左右社)など多数。

「2022年 『ボクのクソリプ奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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