「書ける人」になるブログ文章教室 [ソフトバンク新書] (ソフトバンク新書 23)

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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797337938

作品紹介・あらすじ

欧米のブログがジャーナリズムを変えつつある一方、日本のブログはタダの日記にすぎないと言う人がいる。しかし、じつは日記こそ自己表現の原点であり、豊穣なる日本文学の母胎と言えるのではないか。ブログに何をどう書き、いかに「作品」を生み出すか。小説家でありブログ発ベストセラーの仕掛け人でもある著者が豊富な事例を交えて語る、Web2.0時代の文章作法。

感想・レビュー・書評

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  •  ブログなどネット上のツールのおかげで、素人でも不特定多数の人に作品を披露することができるようになりました。
     しかし軽々しく考えて夜郎自大になってはいけなくて、やはりプロと素人の間には大きな差があると思うべきでしょう。
     アマゾンカスタマーレビューで本書を「スノッブ」と書いている方がおられました。
     確かに、文化に関する色々な言及があります。ウィキペディアを見ると、著者は色々と多才で博学な方のようです。それだけの背景があるからこそ、プロとして継続した活動ができるのでしょう。
            
     本書は2006年11月28日初版発行。
     私は発売直後に購入し、読んだようです。
     当時は私にも夢というか野望がありました。
     それから10年後。
     偶然本の山の中から本書を発見し、再読したわけです。
     今の私には野望もなくなり、恬淡と枯れています。
     その間にアメーバブックスも解散していたようです。
          
     当時からネットやブログや本を廻る環境も大きく変化しています。
     私は今後も恬淡とブログを書き続けます。
     本書を読んだことでほんの少しだけ、ブログの文体に関して意識的になるでしょう。
     本書にいいフレーズがありました。
            
    「連帯を求めて孤立を恐れず」
            
    (追記)
     共謀罪が成立して日本国憲法が改悪されると、言論の自由はなくなるでしょうね。少なくとも私のブログは弾圧対象。まさか生きている間に軍国主義が復活するとは。恐ろしい時代になったものです。 
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170606/p1 

  • ブログの書き方から小説の書き方まで及んでおり、なかなか興味深い。

  •  「ブログ文章教室」となっているが、もっと幅広く「文章」というものの本質について深い考察をしている。著者は作家なので文学について見識が深いのは納得なのだが、そこにITやウェブの分野での経験も加わることによって独特の文章読本となっている。というよりも、インターネット上での書き込みが一般化して現在では、むしろこうした視点での「書き方講座」のほうが普通なのかもしれない。

     鉛筆で書こうがキーボードで打ち込もうが文章の本質は変わらない。ただ「書く」という行為を一つの「運動」としてみた場合、やはり筆記具をクルクル回しながら考えるのとパソコン画面を見ながらのそれでは頭の動き方も異なる。そうなれば文面に現れてくる思想の色合いもズレてくることは容易に想像できるだろう。しかし著者はそれでも文章、というよりもっと広く「自己表現」というものの原点を論じる。このへんが「初心者のブログ教室」的な類似本にはない特徴。自分の思想をどう表現するか。ここまで踏み込んだ文章教室は著名な文豪が書くものでも稀ではないだろうか。

     「オレは機械が苦手だから」とか「変色した古本なんて読みにくいから」という理由によって、貴重な情報を逃していることはないだろうか。自分に必要な情報はどこに潜んでいるかわからない。デジタルだろうとアナログだろうと、それは表現の一手段にすぎないのである。それは文章も絵画も音楽も映画も彫刻も表現の一手段であることと同様なのだ。あらゆるものに分化した現状で物事の本質に迫るには、こうした手段の垣根を取り払うことが必須ではないかと思う。

     キモは「表現」というもの一般についての考察だが、ブログの発展史やブログ本の出版を手がけた著者の経験の記述も興味深い。

  •  文章教室とあるので、いわゆるハウツー本、文章の書き方みたいな内容を想像すると、少し当てが外れてしまうだろう。まして、ブログに特化したような「書き方のノウハウ」をまとめたものではない。

     私もそうだが、ブログを始めるとき、誰もが気軽に始めたと思う。その分、プロが書く新聞や小説の文章と比べると、世間からカンタンな文章と思われているフシもある。しかし、筆者の山川氏は、そういう立場ではない。小説のよさは認めながらも、ブログの文章の可能性、時代が生み出した必然性のようなものを強く信じている。

     これは、彼がブログ本を出版する編集者としての一面をもっていることを、忘れるわけにはいかない。一般の人よりは、思い入れが強いのも当然と言える。そして、彼のような存在が、多くのブログを書いている人たちに心強いことだろう。

     さて、この本を読み終わって、私は「書ける人」に近づいたのだろうか。こればかりは短期的に見ても仕方ない。これからの書きぶりを見て判断してもらうしかないが、一つ言えることは、ブログを書く心構えが少し変わったかなということだ。

     相変わらず気軽に書くことに変わりはないが、私の大切な表現の手段として、これからも大切にしていきたい。そして、自分の本音が出せる場所でありたいと思う。

     そういう意味で、この本を読んで、私は「書ける人」に一歩近づいた気がするのである。

  • 抽象的な話が多いため実践的とは思わない。、小説やエッセイ、コラムの定義などは初めて知る事柄だったので面白かった。

  • 「とりとめもない文章は近代以前の日本文学の王道でありおおいに結構。」「日記は書き手が表現しているから面白い。当たり障りが無いものではつまらない」「今を書く」ここら辺の話が心にのこり、ブログを書く際の心意気に気を入れてもらいました。ただ、著者が1953年生まれのため若干分からない例が多く、共感のズレを感じました。これは世代間ゆえやむなしですが。

  •  私が複数のブログを開設し、更新し続けている理由はなんだろう?その答えが、この本の中にある。著者の山川さんは、『ほんの少し「書く」ことを意識するだけで、文章は格段に上達する。書きつづけていくことが「書ける人」になるための方法なのだ』と仰っている。そう、私は「書ける人」になりたいのだ。
     では、私は「書ける人」になって何が書きたいのか?その答えも、この本の中にある。山川さんは『ブログというメディアには「本音でなければ意味がないのだ」という暗黙の掟が存在するような気がする』と仰っている。そう、私は、自分が気付いた視点を、その視点を必要としている人に伝えたいのだ。
     山川さんは「誰かに伝えたいと思える感動を数多く集められる人は、豊かな人生を送れるだろう」と仰っている。そう私は、感動は誰かに伝えることでより大きくなることを知ってしまったのだ。

  • ブログを書くなら方向性を決めること.
    コラムならシャープに.
    エッセイなら三大随筆のどれかの路線で.
    文章を書くことに対する筆者の信念を感じた.

  • 恥ずかしいタイトルだが、中身はしっかりしている。
    基本的に抽象的な文章論本は好きなのである。
    満足度7

  • 文章を書くということは曖昧模糊としたカオスを整理していく過程である。好きなものや自分の体験を言葉にするということは、それらの対象に自分なりの形を与えるということ。


    この文章にこの本の価値を見出した。

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