「多様な意見」はなぜ正しいのか

  • 日経BP
3.23
  • (7)
  • (16)
  • (26)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 373
感想 : 28
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822246006

作品紹介・あらすじ

名門P&Gの最高研究スタッフでも歯が立たなかった超難題を解決したのは、名もない科学者たちの寄せ集めだった。多様な人間集団がときに恩恵をもたらし、ときに害悪をもたらすのはなぜか?複雑系研究の俊英が「多様性」の謎に挑んだ注目作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本書はミシガン大学の経済学者スコット・ペイジによる、集合知における「多様性」の効果を定量的に論じた本である。

    集団における最適化問題、予測問題、選好制約の解消問題について、多様性の効果を定量的に分析している。前者2つでは多様性がパフォーマンスの向上に結びつくのに対し、後者では多様性が選好関係を複雑にし、全員が満足する結果は得られないことを述べている。

    おそらく著者の貢献は最初の最適化問題への適用であり、残り2つは既存の研究結果の説明であると思われる。

    文章は読みやすいがわかりやすくしようとしてやや冗長である。理系の読者は、本書で紹介されている著者の論文を直接読んだほうがよいかもしれない。参考文献は豊富でよい。

    中身の割にボリュームが冗長であることと、後半2つの内容についてはそれほど目新しさを感じなかったため、1つ減じて★4つとする。

  • 読みにくい。
    論理の飛躍というか、専門用語に逃げてるというか、ちゃんと説明してはいないのに説明したことにしている気がしてならない。
    集合知を作り出すプロセスをちゃんとは解析できていない。仮説を提示しているのみで、40年ぐらいすれば解析できるんじゃないかという、がっかりな内容。

  • 難しい本なので読みにくいですが、wisdom of crowd
    を理解するいい本です。(まだ1割しか読んでませんが・・)

  • とてもおもしろいが、けっこう難しい問題と説明で読むのがたいへん。私を含む一般読者にはけっこう負担。ふつうむずかしいところは読み飛ばしてしまうだろう。それでいいとは思うが。

  • 図書館
    予約

  • 東浩紀『一般意志2.0』で引かれていた本。
    多様性を保つ集団は、不確実な問いにより適切な解答を与えてくれる。
    「ヒューリスティック」という概念の比較的広義な用い方がこの著作の入り口を作っている。ヒューリスティックは、「解を見る方法」である「観点」と比較され、「解を組み立てる方法」と言われる。言うなれば、「解を組み立てる観点」がヒューリスティック。単に考え方や見方というよりも繊細でありながら、それでもまだ十分に幅広いこの概念設定が面白い。

  • 多様性がある集団は正しい解を導きやすいと考えられる。

  • 【目次】

    謝辞 003
    はしがき (多様性はいかにして能力に勝るのか――カルテックでのおふざけ) 009
    序論 我々の違いを分析する 021

    パート1 ツールボックスを分析する 043
    第1章 多様な観点 我々は事柄をどのように見るか 047
    第2章 ヒューリスティック 逆のことをすべし 081
    第3章 解釈 自分のプライベートな平地 109
    第4章 予測モデル 本を表紙で判断する 129
    第5章 物差しとツールボックス 脳のためのノギス 143

    パート2 多様性の恩恵――ツールから組み立てる 173
    第6章 多様性と問題解決 ダーウィンの核心 175
    第7章 情報寄せ集めモデル 心なきシグナル 227
    第8章 多様性と予測 モデルの集団 253

    パート3 多様な価値――利害の衝突か(それとも)? 297
    第9章 多様な好み タパスがある理由 299
    第10章 好みの寄せ集め 四つの (それほどではないが)がっかりさせる結果 319
    第11章 ツールボックスと好みの相互作用 アリスに訊いてみよう 355

    パート4 プリン――多様性は恩恵をもたらすか? 369
    第12章 認識的な多様性の原因 家族休暇か、大学か、アイデンティティーか? 371
    第13章 経験的証拠 プリン 387

    パート5 積極的になる 415
    第14章 実り多いロジック アイデアを実行へ移す 417

    エピローグ ケチャップの問題 455
    注 [461-486] (i-xxvi)

  • 集合知については数冊の本をよんでみましたが、こちらの本は少し読み辛いです。別途薦めていた本のほうが皆さんにはお勧めですね!!

  • 人々の思考の「モデル」の違いを、ヒューリスティック(≒観点)等の概念を使って説明し、なぜ多様なモデルは、ベターな解答を生むのかを数学モデルを使って示した。著者はミシガン大学の政治学教授。多様性が「集合知」となり良い結果を生む場合と、「衆愚」となり悪い結果となる場合の条件についても述べているが、その条件の1つに「微積分を知っている人が微分係数を計算できる」というイシューについての一定の「賢さ」を挙げている。しかし、何をもって賢いとするかについては示唆がなく曖昧性が残る。また、多様性には、コミュニケーションの難易度を増す、対立を増すともしており、「多様性の正味の恩恵=多様なツールの恩恵の合計ー多様性のコスト」の式において、数理モデル的にいつ恩恵がプラスとなるかについても示唆はない。それでも、多様性の価値を数学的に示した点は圧巻。

全28件中 1 - 10件を表示

スコット・ペイジの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×