美しい村に放射能が降った ~飯舘村長・決断と覚悟の120日~ (ワニブックスPLUS新書)

著者 :
  • ワニブックス
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847060397

作品紹介・あらすじ

2011年3月15日朝、東京電力福島第一原発の爆発で噴出された放射性物質は、風に乗って北西へ運ばれ、雨とともに美しい村へ降った-。原発北西30〜50キロ圏に位置する福島県飯舘村は、当初、村の一部以外避難区域に指定されていなかったが、次第に放射能汚染が明るみになり、4月22日、全域が計画的避難指示区域に指定されるに至った。村長・菅野典雄氏が、国やマスコミとの攻防と奮闘、命か暮らしかで決断を迫られたその時々の心の内、さらに「2年で村に帰る」展望など思いのたけを綴る。

感想・レビュー・書評

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  •  3.11を境に,ほとんどの日本人が知ってしまった人口6000人の村=飯舘村の村長さんが書かれた本です。
     この村長さんは,元は酪農家,そして公民館の嘱託館長時代にユニークなとりくみをし,それが認められて村長選に出馬することになった方です。
     福島原発の事故で,その風向きのせいで汚染され,全村強制避難となった時の胸の内が語られています。
     ただ,本書のほとんどは,これまで菅野さんがふるさとで行ってきたことが綴られていて興味深いです。その愛したふるさとを出て行かざるを得ないということがさらに悲しさを増します。
     「までいライフ」という飯舘村の合い言葉を,今後も続けていくことができるのか…。
     2年後には戻るのだ!という村長の言葉は,私にはむなしく聞こえました。残念ながら,放射能で汚された土地に住むというのは,そんな簡単な話ではないと思うのです。

  • yonda...

  • 一年以上前の文章とはいえ、大震災前のむらづくりにとらわれ過ぎていて、生きることそのものの大切さに思い至っていないのを感じます。そして、その自画自賛が以前からの潜在的反発を表面化させる原因になっているのを知るだけに、残念な思いで読了。

  • (著作の内容というより原発に対する自分の意思表明になってしまいました)
    原発の悲しい現実。間接的な被害であったはずなのに、全村非難を余儀なくされた、飯舘村の住民のお気持ちを考えると、胸が痛い。
    この著作からは、村長の飯舘村への愛情がひしひしと伝わってきて、よんでいてとてもつらい。
    しかしながら、少しでも今の現状を知って、自分の知識として、行動として、意識として、この歴史的な大事件となった3.11から原子力発電所の事故を少なくとも自分の中で風化させてはいけないのだ、という意識でいるし、これからもいたい。
    ボランティアなどに出向いているわけでもなく、直接何か被害を受けたわけでもない。だがしかし、忘れないことくらいできないで、日本人はこの先かたれないと思う。

    この著作に、評価をすることはできない。

  • 2013/01/30 県立図書館。
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    2011/1117
    県立図書館。

    「までいの力」の村の・・・・

  • 計画的避難地域の飯館村の村長が、村への愛着と今後の決意を書きつづった本である。

  • 「までいライフ」を実践するために、色々な取り組みをし、美しい村を作ってきた飯舘村。
    どんな取り組みをし、特徴ある村作りをしてきたのかが紹介されています。

    そして、原発事故により、その村に降った放射能。
    放射能に汚染され、避難指示が出た飯舘村。
    でも、村長は2年で戻る、戻れるようにしたい、と希望を持っています。
    そんな村長の思いが伝わってきます。

  • 原発系固め読み第六弾!
    福島県飯舘村村長の書いた本。

    原発の是非を問うというよりも、原発災害の被災当事者がどんな思いでいるかを語っている。

    1章と8章以降で3月11日からの120日間・そして村復興のための「までいな復興プラン」を描く。
    2章から7章は自伝的な要素が強い。村長の人柄を知り、飯舘村がどんなところか、どういう村政をしてきたかを読者に知ってもらうための項目である。

    飯舘村は福島第一原発から約30キロメートル離れた村であるが、原発事故以来、地理的条件のため放射線値が高いため計画的避難区域に指定されている。
    村は放射性物質により汚染されており、かつての明るい農村は今後数年にわたって人が住むことができないおそれがある。
    そのため、村民の全てが避難生活を余儀なくされ、飯舘村から離散してしまっている。
    それでも村長は村の再興を諦めない。本書を読むと、原発反対に言及することもなく、粛々と村のために働く姿を想像することができる。

    村長の気持ちの強さに脱帽。本当の公人とはこうあるべきだと思った。

  •  先日のクローズアップ現代で、いつ帰れるのか全く目途が立たない中で、むしろ集団で別の代替地に移住することを求める若い人たちの動きが出てきた浪江町の状況を放映していた。お年寄りの、移住に伴うストレス、何とか元の場所に戻りたいという思い、一方、若い人たち、子どもたちの被曝の心配は当然のことだし、また家族やコミュニティがばらばらになってしまうことの問題も大きい。菅野村長は「2年で帰る」ことを目指すという。浪江の町長さんも、ふるさとに気持ちをつないでおけるのは、2~3年が限度だろうとおっしゃっていた。しかし、浪江や飯舘のような線量の高いところで、2年や3年という数字はやはり現実的には無理ではないかと、外から見ている私たちには思える。特に若い世代にとっては、いつまでも中ぶらりんの目途が立たない状況が続くのは本当に苦しい。二つの住民票的なこと、地域がある程度まとまって環境的に著しい差のないところへ移住できるような具体的な方策が望まれる。

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