中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚 (ディスカヴァークラシックシリーズ)

  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784887596030

感想・レビュー・書評

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  • 今回もaudio bookの聴読。

    「菜根譚」の著者は洪応明。字の自誠をとって洪自誠と呼ばれる。明代末期、万暦年間(1573-1620)の人であったと考えられている。

    「菜根」とは、宋の汪信民の次の言葉にちなむようだ。
    「人、常に菜根を咬み得ば、則ち百事を做すべし」
    (人は常に菜根をよく咬んでいれば、あらゆる事はなしとげられる)

    全体は、前集222条、後集135条、合計357条から構成されており、前集は俗世の人々とのかかわりを中心に語られ、後集は俗世を超えた深淵な境地が説かれている。その内容は、儒教、仏教、道教を背景としているところが最大の特徴である。

    役人であった洪自誠が、引退後にその人生を通じて得られた処世術を集大成したものがこの「菜根譚」だろう。

    本書は、この357条の中から220条が抽出されているという。「菜根譚」原文では、タイトルなどないそうだが、本書では8つの章立てに再構成されている。本書の編集者の意図で、各条が分類されている。

    以下、その220条の中から、自分自身が気に留めたいくつかをさらに抽出し、メモ代わりに記しておきたい。

    1.生き方について
    ・自分で運命を切り拓く
    ・晩年こそ気力を充実させる
    ・主体的に生きる(他人任せ、環境依存はダメ)
    ・苦労もし、ゆとりも持つ

    2.心の持ち方について
    ・包容力を持つ
    ・物事にとらわれない

    3.自分を律することについて
    ・成功をしても気を抜かない、失敗をしても諦めない
    ・我をはらない
    ・自分の心に勝つ(誘惑に負けない)
    ・自分の心を観察する
    ・すべてを自分の責任と考える
    ・他人からの評価に一喜一憂しない
    ・使命を自覚して正しく行動する

    4.人とのかかわりについて
    ・一歩譲ることで一歩進む
    ・友人の過ちを見過ごさず適切な忠告をする
    ・家族の間で恩を着せない
    ・人を信じる
    ・リーダーは、①発言は公明正大に、態度は公平公正を貫く、②常に心を穏やかに保ち笑顔で部下と接する、②権力や利益にばかり執着している輩に近づかない、④極端なことをしてつまらぬ恨みをかわない

    5.物の見方について
    ・自分の心を見つめる
    ・利己的にならず大局的に判断する
    ・世間の評判を鵜呑みにせず自分の目で確かめる
    ・立場を変えて物事を見る
    ・視点を変えて物事を見る

    6.日々の行動について
    ・初心に帰る、行く末を見極める
    ・正しい行いから逃げない
    ・高い目標を持つ、目標に集中する
    ・本来の目的を見失わない
    ・社会のために尽くす
    ・常に学び続ける、成果が見えなくても続ける
    ・本質に迫るまで深く学ぶ

    7.人間について
    ・逆境にあって自分を磨く
    ・若者をしっかりと教育する

    8.幸福について
    ・苦労の中に喜びを見出す
    ・心の持ち方を変えて幸福になる
    ・自然の美しさに目を向ける

  • 会社の偉い人がおすすめの書籍として誰かしら必ず挙げるので、気になって読んでみた。仕事の中で心がやさぐれた時とかに、心を落ち着かせる良い材料になるのかもしれないなと感じた。菜根譚というタイトルのごとく、何度も読み返し、自分の頭で咀嚼して、心に刻み込めば道標みたいになるのかもしれない。
    一方で、「菜根譚」と言っとけばいいかと思っていない?と問うてもみたい。。。

  • 菜根譚前集4

    勢利紛華

    不近者為潔

    近之而不染者為尤潔。

    智械機巧

    不知者為高

    知之而不用者為尤高。

    権力、利益に関心がないひとは高潔だ。

    だが関心を持ちながら染まらない生き方ができるひとこそもっとも高潔だ。

    策略、駆け引きを知らないひとは賢明だ。

    だが権謀術数を知りながら使わないひとこそもっとも賢明だ。

    向上心と謙虚さを大事に生きたいと思うとき決して忘れてはならない言葉。大事にしたい。

  • 傾倒しちゃうと鬱になりかねない

  • 中国の昔の言葉がまとめられている。人生訓

  • 「さわやかに生きる」
    私はそれに尽きよう。
    また味わって食べたい。

  • 本書は詳細な解説等はなく。菜根譚に記載されている一文をカテゴリごとに整理し紹介する形式。その一節が記された背景や解説など深く知りたい人向きではないが、解説を加える事で、ある意味解説者のバイアスがかかるのを避け、自らが一説から教訓を拾う。気づきを得るのに向いている。
    繰り返し聞く事でその時自分に合った言葉に出会うような使い方が良いかも。また、他の菜根譚にまつわる書籍とあわせ読むとより良い気づきがあるのでは?

  • 内容はよいが、オーディオブックで聞き流すには内容がキャッチできないと思い1章で終わりました

  • 「堅い菜根をかみしめるように、苦しい境遇に耐えることができれば、人は多くのことを成し遂げることができると言う言葉に由来する」という菜根譚を易しく解説。巻末に原文と書き下し文が付いているのも親切。「無理に心を変えようとしない…水は波がなければ穏やかであり、鏡も曇りさえなければ自然と輝いている。これは人の心も同じで、本来は清らかなのだから、無理に清くする必要はない。濁らすものを取り除けば、自然と清くなる。また、楽しみも無理に探さなくてもよい。心の中の苦しみを取り除けば、自然と楽しい気持ちになってくるものだ」

  • 論語、老子の思想の妥協点を、著者の現実的な感性に従って選択し、分かりやすい言葉で提示されているように感じた。
    言うまでもなく名著。
    しかし、講談社で出版された本では、原文も注釈も付いている為、個人的にはこちらを推す。
    時間のない人、さっと読める本を求めている人はこちらの方がいいかと思う。

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著者プロフィール

中国明代の著作家。 本名は洪応明で、「自誠」は字。号は、還初道人。万暦年間(1573年 - 1620年)の人物とされる。著書に、儒仏道の三教を融合した『菜根譚』、仙界・仏界の古典のなかから逸事や名言を抜き出して編集した『仙仏奇蹤』四巻がある。詳しい経歴は不明ながら、若い頃科挙の試験に合格して官界に進んだが中途で退き、もっぱら道教と仏教の研究に勤しんだとされる。

「2018年 『1分間菜根譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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