すべては「売る」ために―利益を徹底追求するマーケティング

  • 海と月社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903212203

感想・レビュー・書評

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  •  前提として、利益は成果(顧客の良くなる事)を上げた結果の対価であり、利益は将来に更なる成果をあげるために確保するものである、という事を念頭に読み始めると良いと感じる題名。
     利益をあげるなら何でもありなのか!?という内容では無い事が分かります。

     特にプロモーションについて、過去のコカコーラで実施された様々な施策事例が上げられています。

     マーケティングは科学である、企画を実施した結果は計るべきである。

     兎に角、顧客にとって買う理由を考え続け発信続けるべきである・・・これは、自社のサービスや製品が顧客にとってどの様に良いことがあるのか、つまり、成果を考え続けることが大事と理解します。

     兎に角対価に拘ることを連呼していて、そうでなくては専門家の自己満足だけであると指摘。いくら賞をとっても、顧客が採用してくれないプロモーションは意味が無い。

     世の中の問題を解決できる商品を開発できたとしても、そこで満足せずに、魅力的に伝えつづける作業も必要だと実感する内容です。

  • 利益を追求するマーケティングとは?

    →マーケティングとは商品をできるだけ多くの人に、できるだけ頻繁に買ってもらい、できるだけ多くの利益を上げることを目指す戦略と規律に基づいた活動である
    計画の基本はどれだけの量を売りたいかであり、ゴールに到達するための計画とアイディアが必要
    戦略的とは、あらゆることについて考え、常に自分の意見を持つこと

  • 成功者のものの書き方は皆似ている。

  • 繰り返し述べられるマーケティングの目的。
    <blockquote>マーケティングの最終目的は、できるだけ多くの商品を、
    できるだけ高い値段で、できるだけ多くの人に頻繁に売って利益を最大化すること</blockquote>
    CMで認知を高めたり、ブランドのイメージを作ったり、
    それらも大事な仕事であるが、それが目的ではないと繰り返す。
    あくまで利益をあげることが目的なのだ、と。
    そしてその目的を達成するために重要なことは、
    戦略を決め、戦術を立てることだとする。

    そして、マーケティングはアートではなく、サイエンスだと言い切る。
    消費者のことを考える、それがマーケターのほぼ唯一のことだとし、
    そのためにデータを尊重するべきだとする。
    このあたりを読んだとき、リサーチャーとしては、モチベーションも上がったし、責任も感じた。

    この本では、何か目新しいマーケティング知識が得られるというわけではないと思うが、
    自分の中では響くポイントがいくつかあった。
    たとえば、商品の定義を拡大する、ということ。
    スターバックスを例に、
    スターバックスはコーヒーの楽しみ方を再定義したことで、
    市場を拡大したという説明は自分のビジネスを考える上で参考になった。

    また、ものを売るには買いたくなる理由を提示する必要があり、
    それも多くの理由を提示すべきだということも、なるほどと思った。
    たくさんの理由を用意して、多くのセグメントを取り込んでいくことで、
    顧客を拡大していくという意味だと受け取った。
    資生堂がTSUBAKIなどで多くのタレントを使って、
    様々なセグメントにアプローチしたのも、これに近いことなのかなと思った。

    創造性とは画期的なアイデアを出すことだけではなく、
    なぜその商品を買ったのかを掘り下げていく地味なことのほうが多いと言う。
    消費者のことを考え続け、考え抜き、
    なぜなぜと掘り下げていくことが結局は「インサイト」に到達する一番の方法なのかなと思った。

  • マッキャン、ペプシコ、コカコーラCMOなどを勤めたセルジオ・ジーマン著。全て自己の経験からの具体的事例から話が展開するので捉えにくい感はあるが、マーケターにとって重要な視点がいくつも描かれている。

    -マーケティングの目的は、「できるだけ多くの人に」「できるだけ頻繁に」「できるだけ高い値段で」商品を売ること
    -先に目的地を決める。目的地とは「行ける場所」ではなく「行きたい場所」
    -その後に、そこに到達するための戦略を練る ex.「競争相手を無力化する」「カテゴリーを消滅させる」
    -結果を検証する。ex.その活動で商品やサービスの持つ意味がどう広がったか。/消費者がその商品を他社のものより気に入ってることがどうして分かるのか
    -プリサーチの重要性 ex.「AですかBですか」だけでなく「なぜですか」と聞く/理由を知ることで「認知」から「関係構築」へと進ませる。/「何かに気づく能力」と「その中の本質的な情報をつかんで他の状況に応用する能力」は別物/「なぜ」がわかれば、「何」を「どうやって」作るべきかもわかりやすくなる。

    -「同じこと」でモノは売れない。商品価値は競合商品との「違い」を消費者に実感させることで決まる。
    -消費者の「期待」の作り方。5つのイメージを使い分ける。1.brandイメージ 2.productイメージ(ex.快適で安全な空の旅) 3.関連イメージ(モデルやNFL)4.利用者イメージ5.利用イメージ(どこで誰がどんな風に使うか
    -ポジショニング=マーケターがそのブランドについて人々にこう考えてもらいたい、こう感じてもらいたいということ。
    -ターゲティング=問題は「誰が商品を買ってくれるか」=「商品を買う気持ちがあり、かつ買えるだけの金を持っている消費者がどれだけいるか
    -消費者に「買うべき理由」を与え続ける
    -set up(商品の特徴),delivery(買うべき理由),punch line(買ってください)
    -ブランド認知→購買意思→将来の購買シェア
    -興味を行動に変える方法=多次元化 1.消費パターンによるセグメンテーション(ライト、ミディアム、ヘビーユーザー) 2.商品に対するロイヤルティによるセグメンテーション
    -購買理由を示し続ける。アイディアを一つ一つシステマティックに検証し、購買行動に最も結びつくものを見つける。
    -成長こそが唯一のゴール→チャンスのある場所を探す。ブランドが市場をそう再定義するか。

  • 本日の一冊は、あの悪名高き「ニュー・コーク」の責任者であり、
    その後の戦略によって「コカ・コーラ・クラシック」や「スプライ
    ト」を大成功に導いたセルジオ・ジーマンが、そのマーケティング
    哲学を語った一冊。

    すでに19カ国語に翻訳出版された実績あるマーケティング書で、氏
    のこれまでの経験と手掛けた事例、ノウハウを凝縮した内容。

    なかでも参考にすべきは、そのビジネスに徹した考え方でしょう。

    ・金を使うのは、金を作るため
    ・すぐれたマーケターは会社が生産できるものをすべて売る

    といった考え方は、氏のストイックな姿勢を示しており、経営者に
    してみれば、信頼の置けるCMO(最高マーケティング責任者)と
    いうことになるのでしょう。

    事例は、従来のコーヒーを陳腐化させたスターバックスの事例や、
    事前に固定費を回収する航空業界の事例、自らの苦い経験である、
    「ニュー・コーク」の失敗など、じつにさまざまですが、土井が一
    番気に入ったのは、ペプシコが導入した「クリスタルペプシ」を無
    力化した戦略です。

    あえてこちらも新商品を出して、カテゴリーごと陳腐化させるとい
    うアイデアには、強力な破壊力があると思います。

    一流のマーケターの文章は、読んでいてワクワクするものですが、
    セルジオ・ジーマンの文章も例外ではありません。

    自己啓発書としても、ぜひおすすめしたい一冊です。

    金を使うのは、金を作るため

    すぐれたマーケターは会社が生産できるものをすべて売る。三分の
    二でも八〇パーセントでもなく、すべてだ。航空会社はこれをイー
    ルド・マネジメントと呼ぶ。値引きをしてでも、すべての座席を売
    りきるということだ。航空会社の人たちはよくわかっている。私の
    知るかぎり、早く買うほど安くなるビジネスは航空業界だけだ。固
    定費をカバーしたうえで、できるだけ収益を増やそうとするのだ

    計画の基本は、どれだけの量を売りたいか、または売らなければな
    らないかである。いままでどれだけ売れたか、どれだけなら売れそ
    うかではない。マーケティングには、ゴールに到達するための計画
    とアイデアが必要だ。ただし「夢物語」ではいけない

    ペプシコがクリスタルペプシを市場に導入したとき、コーク側の私
    たちは、マイクロソフトのネットスケープ対策と同じ目標を設定し
    た──新しい競合商品を無力化するのだ。まず、タブクリアという、
    クリスタルペプシ同様に透明でコーラ味の新商品を導入した。すで
    に販売を開始していたダイエットコークと商品の種類は似ているが、
    戦略はまったく逆だった

    一貫性にこだわるより、うまくいきそうな方法を試し、測定し、修
    正することのほうがよほど重要

    パッケージングのコストと広告コストを比較した結果、パッケージ
    のほうが広告より効果が高いのがわかった

    ニュー・コークの導入は、結果から見れば、コカ・コーラに対する
    アメリカ社会の愛着を強め、製品の売上増につながった。だから私
    としても悔いるところはない(中略)一方で、ニュー・コークの事
    例から貴重な教訓も得た。ひとつは、消費者は質問に対しておおむ
    ね正直に答えるということ。もうひとつは──こちらのほうが決定
    的だが──彼らは訊かれないことには答えないということだ

    誰かがかならず競争に乗り出してきて、あなたの顧客を奪おうとす
    る。どうせ顧客を奪われるのなら、自社で奪ったほうがましではな
    いだろうか

    近所の食料品店のコーヒーがまずいと思う理由のひとつは、スター
    バックスがそう言ったからだ

    人は、選ぶ基準がなければまわりに倣う

    断食している人には、夜に売る

    新商品導入が自己目的化したマーケティングは、怠惰なマーケティ
    ングだ、新商品は、新しいカテゴリへの長期的参入を実現するとき
    にのみ導入すべきである

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