レディ・イン・ザ・ウォーター 特別版 [DVD]

監督 : M・ナイト・シャマラン 
出演 : ポール・ジアマッティ  ブライス・ダラス・ハワード  ジェフリー・ライト  ボブ・バラバン 
  • ワーナー・ホーム・ビデオ
2.87
  • (13)
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  • (85)
  • (38)
  • (21)
本棚登録 : 290
感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988135700551

感想・レビュー・書評

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  • 評判は聞いていたが、確かにこれはなんとも。
    レビューサイトの縦棒グラフを見たら綺麗な正規分布で平均5点ほどだが、個人的には下方向へ。
    はっきりストーリーという名前をつけているので暗喩でもなんでもない、創作論になっているわけだ。
    あるネタバレサイトの助けも借りて整理すると、

    ・ストーリー …… 原作
    ・主役のおっさん管理人 …… 監督
    ・物書きのシャマラン …… テーマ
    ・韓国人母娘 …… 脚本家
    ・記号論者、証人 …… プロデューサー
    ・職人たち …… カメラマン、音楽、編集、美術
    ・以上の面々がプリプロを経てパーティの日=クランクインの日に、パーティの客=スタッフ
    ・映画評論家 …… ムカつくので殺す!
    ・怪物タートゥティック …… 映画会社
    ・怪物スクラント …… 客の悪意

    みたいな……。
    こういうの、押井守「紅い眼鏡」で既視感あるな……。

    いやだなと感じたのは、作り込みの緩さ。
    子供への寝物語が着想だということらしいが、世界観やルールが後付けで出てきてOKという理屈は、緩すぎ。
    日常からファンタジーへジャンプするなら、ルールは厳密でないと説得力なく、飽きる。御伽噺こそ厳密性を。

    アパートの住人たちに非ハリウッド的な人種が多く、彼らに能力というか役割があてがわれていくという筋立てで、この映画の擁護派はここに感動したとかいうが、うーん……。
    ジョーゼフ・キャンベルが「神話の力」などで追及した役割(ジョージ・ルーカス「スター・ウォーズ」への影響あり)とか、諸星大二郎も「マッドメン」で各要素は入れ替え可能と言っていたとか、ドリュー・ゴダード「キャビン」ではっきりいじられたホラーにおけるキャラクター性のカテゴリとか、いろいろ思い出せるものがあるし、作り手もその線で役割云々言っているんだろうけれど、……それって膨大な量の話を分析した結果抽出されたものであって、本来は逆方向なのでは。
    あるいは神話化を狙って話の中に巧妙に埋め込むのであればいいが、本作のように直截に言及してしまっては、安いRPGを作るような手つきになってしまうのでは。
    管理人どんだけ人望あるのよと驚くくらい住人の協力ぶり……寓話だからというのは言い訳よ。理想郷か。
    特に後半はスティーヴン・キングのジュヴナイル系映画のチープさを連想したが、さてジュヴナイルにすればいいかといえば、そういうわけでも。土台がぼんやりだから、そりゃディズニーも断るわ。

    唯一救われたのは、ブライス・ダラス・ハワード演じるストーリーちゃんの儚さ、可愛さ、そして美脚。フェティシズム。
    しかし管理人が彼女を保護し援ける、という話を書く陶酔ぶりには、新海誠や村上春樹に通じる中二病スレスレの品のなさ(羊の皮をかぶったマチズモ)を感じてしまう。
    嫌いじゃないけど。
    画面に映る中で最も美しい脚に、敢えて何本も傷を入れておいて、祈りの力で治癒させるとか、おいおい。
    老いらくの恋というフレーズを思ったくらい、嫌悪と甘美と。
    また登場人物の中でシャマラン本人が一番風采がいい上、悲劇的な死の後評価されると約束されるって、……もはや自らネタ化を狙いにいったようなナルシシズムで、笑うしかない。
    右腕だけ鍛える男とか、シリアルの表示から啓示を読み取る少年とか、ストローとか、変なところは多いので糞真面目なわけではないが、それでも全体的につまらないのは変わりない。
    どこに金をかけたんだろう?
    猿が犬をフルボッコするCGに?
    自分をシャマラニストと見做せるかどうかの試金石か?

    ★2……マジでクソつまらん
    ★1……なにかひっかかる
    迷って★1にしてみる。

  • 終始穏やかで静かな雰囲気の中で、サスペンスという物体がうごめき、劇中で幾つか見られる疑問点があったとしても、その独特な雰囲気から感動というものが伝わってくる。また現実世界をもちろんベースとしているのだが、何故か劇中の彼らの場所は我々が知っている世界とは違う、幻想的な感じがする。確かに「怪物や水の精がいるから、そう思うんだろ」という考えも少しばかりはあるが、あくまでもそれは少しばかり。そのほかにも、彼ら住人の優しさ、そして常識では考えられないような物事をすんなりと信じてしまう純粋さが、我々とは違う。そこがファンタジー、おとぎ話だ。おとぎ話に出てくる人は、ほとんどが良い人で、善と悪がはっきりと分かれている。つまり、私が言いたいのは、この映画そのものがおとぎ話なのだ。

    「これ見終わったら寝るのよ」

  • ナイト・シャマラン監督のメジャー作品としては5作目となる本作は、前回の「ヴィレッジ」に続いてブライス・ダラス・ハワードを起用し、これまでの初期3作(「シックス・センス」「アンブレイカブル」「サイン」)とは違った趣の作品となっている。

    今回の「レディ・イン・ザ・ウォーター」を観て、はっきりしたのはシャマラン監督がファンタジーを作品の原動力にしているということである。
    ミステリー的な要素がイメージとして強くあるので読み違えそうだが、最初の3作も含めシャマラン作品はファンタジー作品として確立されていると思う。

    これまでぼくは、「シックス・センス」のあの衝撃が強すぎたせいで、シャマラン作品にミステリアスな謎解きを求めてしまっていた。
    だから「アンブレイカブル」も「サイン」もその謎に対して不満を感じていた。
    しかし、「ヴィレッジ」に関しては謎解きもさることながら、そこにいる人間たちのリアルな生き様がストーリーを投影していることが、ミステリーという枠を大きく逸脱してしまっている気がする。
    どちらかというと、社会派、もしくはヒューマンドラマという方向性もなくもない。

    そして、今回の「レディ・イン・ザ・ウォーター」にいたっては、元ネタがシャマラン監督自身が即興で作ったおとぎ話で、そのおとぎ話がストーリーの下敷きとなってる。
    つまり、おとぎ話が現実の世界でリアルに動き出すのだから、ファンタジーのなにものでもない。

    ただ、この作品を観ながら、ふとあるひとつの作品を想起した。
    テリー・ギリアム監督の「フィッシャー・キング」である。
    この作品のストーリー構成が非常に似てる気がした。
    主人公の設定もある意味同じかもしれない。
    どちらも孤独に生きることを選ぶが、心のどこかで癒しを求めていて、いくつかの試練を乗り越え、結果的に癒されることになる。
    実はこのようなストーリー構成はRPGでは一般的である。

    「フィッシャー・キング」は、ジェフ・ブリッジス扮するスーパーDJだったジャック・ルーカスが、放送中に発した不用意な言動によって忌まわしい事件を誘発してしまい、奈落の底へ転落する。
    また、ロビン・ウィリアムス扮するかつて大学教授だったヘンリーは、その事件で妻を殺され、精神を病んでしまい、過去を捨ててホームレスとなる。
    社会から見放されたふたりが出会い、不思議な友情が芽生え、そこに聖杯伝説というRPGのテーマを通して、ふたりの男は目的を果たす中で癒されていくのである。

    「レディ・イン・ザ・ウォーター」もまた癒しをテーマとしている。
    主人公のクリーブランドは妻と子どもを殺され、医者を辞めマンションの管理人として孤独に生きようとしていた。
    そんな中で、ストーリーは唐突にマンションの中庭のプールから現れる。
    彼女こそがこのおとぎ話の主役であり、彼女のおとぎ話にクリーブランドの他、マンションの住人たちまでも巻き込まれていく。
    そして、彼女を元の世界に戻すという目的(これがおとぎ話をハッピーエンドに導く)を果たすことにより癒されるのだ。

    ストーリー構成自体は、そんなに奥深く複雑なものではない。
    これまでのシャマラン作品に比べたら非常にわかりやすく、単純かもしれない。
    しかし、この作品のテーマは謎解きではなく、癒しであり、
    おとぎ話を信じる純粋な心、愛であるから、そういう目で観ていくととても微笑ましく感じられると思う。

    ラジー賞になってもしようがない部分はあるけど、ぼくはシャマランの作品が改めて理解できて良かったと思う。
    そういう意味で、評価されるべき作品である。

  • ゆるかったから1.5倍速で見てちょうどよかった。ヒーラーさんがよかった。

  • 現代に降りてきたファンタジーを集合住宅内で描いてるっていう感覚がとても面白くて好きな感じなんだけど、だからこそこれにおいてはシャマラン節が辛かった。別な監督でリメイクしてほしい。あ。ウーヴェ・ボルとかじゃなくてね!

  • 監督:M・ナイト・シャマラン。 シャマラン的おとぎ物語。 こういうヘンテコなファンタジー大好き。

  • 映画としては面白くないけど、ストーリー(人物)はよかった。
    M・ナイト・シャマランってこうゆう監督?

  • なんじゃろ、目頭熱い。
    ヒープさんの一生懸命さにもう。
    アパートメントの皆を巻き込んでとかもう。

  • シャマラン監督、「シックス・センス」のような、大どんでん返しを期待している、私をいつも裏切る、そんな作品。

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