The Blue Sweater: Bridging the Gap Between Rich and Poor in an Interconnected World

  • Rodale Books
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  • Amazon.co.jp ・洋書 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9781605294766

感想・レビュー・書評

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  • 世界の貧困問題に、マーケット理論の観点から取り組む女性の自伝。邦訳もあり。

    「世界を変える」ことを夢見ていた著者。大学卒業当時の自分との共通点が多かっただけに、その後歩んだ道の違いを読んで、自分自身に足りなかったものを嫌というほど思い知らされた。

    まず、尊い志だけ掲げて、途上国を「救いに」行こうとする先進国の若者には、現地の人の役に立つスキルが決定的に欠けている。著者は、Microfinanceという分野で知識と経験に優れ、それを貧困にあえぐコミュニティのマーケットに応用できる才能に優れていたという点で、活路を見出した。自分にはこれがなかった。なかったけどとりあえず行動し、挫折して、夢をあきらめた。著者は、現地で自身の欠点が分かった後にスタンフォードでさらに学ぶ。この根性も、自分は持っていなかった。それは、著者が指摘するとおり、「世界を救う」という志が、自分のためであり、途上国の人たちのためのものではなかったためだろう。自分が大学を卒業するより10年以上前にこんな女性がいたことを、当時知っていたら、と悔やまれる。

    一方、マーケットを理解している先進国のプロフェッショナルは、貧困民の思考回路をまったく理解していないため、投げかける質問と、それに対する解決策が、当事者をまったく無視したものになる、という著者の分析も、きわめて正確だと思う。「貧乏人はずるい」「女性にはビジネスの才がない」といった思い込みを取り払い、信頼をベースにした商売というのが成り立つ、ということを様々なプロジェクトで証明して見せた事例は、世界的な評価に値すると思う。 philanthropyとmarketingという、一見共通点のないものを統合した、新しいビジネスモデルは、途上国だけでなく先進国でも今後必須となると思う。

    開発プロジェクトのみに焦点を当てた本としても十分な内容だったが、著者は本のかなりの部分を、自分がプロジェクトにかかわった10年後に、民族虐殺の悲劇に見舞われたルワンダのその後の描写に割いている。ルワンダ初の女性国会議員であり、彼女のプロジェクトにも参加していた2人のルワンダ人の女性が、虐殺の加害者側にかかわっていた罪で後に逮捕されるのだが、彼女らを含めたルワンダ人の個人の声を書き留めており、心に残った。民族紛争として当時は大きくニュースとして取り上げられたものの、先進国においては加害者や被害者の心理や、復興への努力といった面をほとんど取り上げていなかったように思う。

    個人的に、非常に大きなインスピレーションを得た。これから自分がどう行動するか、時は立ってしまったけど改めて考えてみたいと思う。

  • Acumen Fundの創立者、Jacqueline Novogratz氏の自伝。
    読み終えた後に、力とモチベーションが湧いてくる、そんな本です。
    相手の話を聞く力、相手の立場に立って考える力、そしてそれらをもとに、状況を変える実践につなげるために必要な様々なスキルを持ち合わせていること。
    ”a journey of a thousand miles begins with a single step〜千里の旅も一歩から始まる〜”
    私はまだ半歩くらいかな。
    純粋な志と優しさ、そして現実に太刀打ちできる能力を恵まれない状況にいる人々と共有し、同じ目的を目指していけば、状況は変えることができる。
    私もがんばる!

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