- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000025850
作品紹介・あらすじ
人生、貧困、死など、誰もが突き当たるテーマを取り上げ、真に自由に生きることを説くセネカ。その文章は、無類の魅力を持ち、悩める人を力強く励ます。独自の訳と解釈による、現代人のためのセネカ案内。
感想・レビュー・書評
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タグ付けするなら、ジェネレーションギャップを痛切に感じるセネカファンブック。
セネカ、ストア派を代表する哲学者ですが、日本語訳されている本が少ないことでも有名です。いや、無名ですね。何しろ本が出ていません。
著者中野孝次さんが、言うように、本屋の本棚で手にはいるのは岩波文庫から出されいる二冊だけでしょう。
この本も、本当に偶然出会った一冊なのです。私の行きつけであるBOOKOFF塩尻店、
その哲学コーナーで偶然目にしました。値段もみずにそのままレジへ、ほとんど値下がりしていなかったハードカバー本を買ったわけです。
内容は、岩波文庫とは違い、多数の文献から著者が心を打たれた一文を引用し、解説する。いわばガイドブックでした。
確かにセネカの著作は膨大です。ハードカバーといえども、一冊ではカバーできません。日本語ではすべてを読めないからせめてその上澄みだけでも、、、と願った初学者の私にとってはちょうどいい難しさでした。
有名な、命の短さについてや、幸福な人生についての他、私が未読の書簡についても触れています。
セネカのストア哲学に一貫性があることが、多種の本で同じ内容を繰り返していることからも感じ取れました。
運命には与しない。
死を忘れず、今を自分のために生きる。
不幸は全て起きると思っておけば怖くない。
なんて、表向きは、後ろ向きな言い回しでしょうか。ネガティブに読み取れることか。それでいて、ここまでハシゴをおろしてもらったら、自信のかけらもない、読み手も一歩踏み出せるかもしれない。そんな優しさにも感じます。
生まれも出自も、お財布の中身も関係ないところに、幸せはある。
こんなセネカの知恵をもっと自分の生活に取り込みたいものです。
いつから?セネカ風にいうなら今からです。
あと、最後にちょっと苦言を、、、
とても良い一冊なのですが、著者の『今時の若いもんはみんなダメ、セネカ見習え!』発言が数ページごとに登場するのは辟易しました。
若者に読ませたいのに、当人たちにそんなにお説教したら、誰もついてこないのではないかな、と思ってしまいました。
引用文が素晴らしいだけに、追随する解説文から『トンデモ本』認定されないか、心配です。
その言い回しが気になる方はぜひご一読を。兼好法師が徒然草で吐き出す愚痴だと思えば、これも一興です。
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敬愛する中野孝次の本を読んでいると
よく出てくるのが老子とセネカ。
その縁で老子は加島祥造の本を
いろいろ読んで、多くを学んだ。
今回中野孝次がセネカのことを書いた
本があることを知り、読んでみた。
やっぱり面白い
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P27
愛する相手と生きて「今ココニ」いる。
自分も生きて「今ココニ」いる。
そのことをしっかり心に受けとめ
そのありがたさを心ゆくまで
味わい感謝することこそ、
人が生きるということであろう
P42
自分自身の時間と取り換えるに
値するものなど何も見つからない
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「自分と向き合うこと」=閑暇 -
人生、貧困、死など、誰もが一度は突き当たるテーマを取り上げ、真に自由に生きることを説くセネカ。その文章は無類の魅力を持ち、悩める人を力強く励ます。独自の訳と解釈による、現代人のためのセネカ案内。
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幼少期には将来名君間違いなしと言われたローマの暴君ネロ。
これはネロの教育係セネカの物語。彼は苦難の人生のさなかにも、現在にも通じる多くの言葉を残した。
皇帝即位後にも政策の助言を行いネロの全面的な信頼を得ていた賢人セネカ
だが、ネロは次第にセネカから遠ざかり、ついには彼を追放、ローマは暗黒時代へと突入していく
全盛期にはローマで最高位の権力と財力を誇ったセネカ
全盛から凋落に至っても尚、一貫して語られるセネカの言葉には現代の人々に失われた強さが感じられる
哲学者として知られる彼の言葉は時を経ても色褪せてはいない
日々迷いながらも、なんとか今日を生きる現代の若者に薦めたい一冊。
大切なモノを見つけるための一助になると思います -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/32161 -
ベスト10を選べ、と言われたら外せない一冊。
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セネカはあまり日本では知られていないが論語と似ているから。
人は生存はしているが生きてはいない。 -
借りた。
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「生存する」というのと「生きる」というのは違う等、共感できる内容はあっても、セネカの言葉全てに共感することは誰にとっても難しいと感じた。
ローマ時代より現代の方がセネカの考え方は受けいられないに違いない。
それでも、老年期にもう一度読みたい一冊ではある。
老いや死を気持ちよく受け入れられそうだ。