1996年刊。文化大革命に関する、天安門脱出中国人による記録。上下巻中の下巻。◆林彪死後、急速に衰えを見せる毛沢東(筋萎縮性側索硬化症)。それ故加速する江青ら四人組対周恩来派の闘争。そして、周と毛の相次ぐ死去。周の死去が彼を民衆の希望に祭り上げ、結果、第一次天安門事件など大衆叛乱が顕著に。そんな中での四人組失脚と、華国鋒を排除した鄧小平政権へという大まかな流れを描く本書。◆実際以上の過大評価をされたような周が民衆の希望の星になったのは藁をも縋る想いなのか。その前提たる民衆の苦闘が下では上よりも詳細に描述。
◇また、鄧小平に関してはほとんど描かれないのは本書の限界を示しているのか。
文化大革命とは、①共産党内の権力闘争という面と、②一般大衆や学生の知識人や中間管理職といったエリート層の吊るし上げを軸とする大衆叛乱、③そして軍内の主導権争いから内乱に近い状態という3点から観測することが出来そう。②がまさに反知性主義の極北たる所以。