科学者の本棚――『鉄腕アトム』から『ユークリッド原論』まで

制作 : 「科学」編集部 
  • 岩波書店
3.38
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本棚登録 : 106
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000052122

作品紹介・あらすじ

胸躍らせたSF、擦り切れるまで使った教科書、恩師や研究分野との幸運な出会いをもたらした本…。64人の科学者、および科学とかかわりの深い著者らが思い思いに語る、宝物のような「私の一冊」。科学者たちが駆け抜けた時代の息遣いが生き生きと甦り、また「人間」科学者の姿がにじみ出る。故・戸塚洋二氏の特別対談も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 750

    読書と言えば文芸ってイメージだし、あんまり理系の人のおすすめの本って知る機会が無いんだけど、あの凄い面白い科学本の著者はこれが好きなんだとか色々知れた。

    西洋音楽は伝統的に、感覚やヒラメキに頼って作曲、 演奏しない。といって理屈だけで何かを捏造する訳で もない。論理と感覚、双方の裏づけのもと「正しい」 音楽作りが求められる。この背景には西洋音楽の発展 とキリスト教の密接な関係がある。かつては教義に照 らして「正しい」音楽が追求されていた。音楽が教会 の影響を離れた一九世紀以降も「正しい」手法の開発 は西洋音楽の主要な課題であり続けた。この点で音楽 と西洋科学、あるいは(教会)建築などに多くの共通性 がある。思いつきの発想で造るのではなく「正しい」 構造を設計実現すること。

    大学・大学院と物理を学んだが、専門の課程で音楽 を学び始めたのは中学時代からで、こちらのほうが遥 かに長い。思春期に刷り込まれた音楽の価値観が最も 強く自分を支配している。だがこの専門教育の当初か ら、私は音楽と科学が深く関わる形での教育を受けた。 多くのノーベル賞クラスの創造的な科学者と対話して みて、創り手の立場で考えるとき音楽に立脚する科学 観はむしろオーソドックスなサイエンスへの態度に近 いように、正直を言えば感じている。

    MusicとMuseumが語源を一にするように、音 楽と科学はその根が共通しており、今日の先端領域で も両者は有機的関係を形成している。パリ、ポンピド ゥー・センターのフランス国立音響音楽研究所(IR- CAM)の設立に多大な責任を負った作曲家・指揮者ブ ーレーズは大学初年級(リセ)まで数学を学び、一昨年 亡くなったハンガリーの作曲家リゲティは物理学を修 めた。二〇〇七年末に急逝したシュトックハウゼンは 電子工学を学んで、アナログ期の音響学における周波 数解析(ソナグラム化)にヒントを得て、スペクトル (「フォルマント」)そのものを作曲する手法を創始した。

    タイトルの「シンメトリー」は文字通り「対称性」 を意味している。本を開くとほとんどのページに彫刻 の写真や花の写真、きれいな図があり、確かに見てい るだけでも楽しめる芸術的な本である。しかし、内容 は完全に数学である。もう少し専門的な用語を使うと 「群」という数学的概念が、芸術・物理・生物・化学 などの対称性を説明する道具であることが解説されて いるのである。

    科学者共通の「美意識」のひとつに「対称性」がある

    科学者というのは、この世で一番カッコいい人たち だと常々思っている。宇宙の真理、世界の本源を、智 慧の力で解き明かしていくその姿は、まるで平原を疾 走するライオンのように凛として気高いものに思える のである。随分とオーヴァーな物言いだと笑われるか もしれないが、名声世に轟く一流科学者の面々を思い 浮かべるとき、尊敬と畏怖の念はどうにも止めようが ない。科学者として生きるということは、仏教の出家 と同じく、「真理の頂をめざして一筋の道をひたすら に進む勇者の道」なのである。

  • 小樽商科大学附属図書館蔵書検索OPAC
    https://webopac.ih.otaru-uc.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB10259504 

    雑誌『科学』の連載から、科学に関わりの深い人たちの人生を変えた一冊や後輩に伝えたい本を紹介しています。専門書や教科書だけが未来に影響を与えるのではありません。古典やSF、新書のような日常的に読んでいる本のなかにも「とっておきの一冊」があるのかも、と思いを馳せながら読んでいただきたい一冊です。

  • 【請求記号】019.9||K
    【資料ID】11101659

  • 【展示用コメント】
    まだ形をとらえることができない何かを求めて格闘していたり、大きな壁にぶちあたってもがき苦しんだりしているときに出会った本 ---それが、その人にとって心にのこる一冊となるにちがいない。(本文p.114より)

    【北海道大学蔵書目録へのリンク先】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001525335

  • ゴツい専門書から読みやすそうなものまであって読んでみたいと思う本がちらほらあった。しかし科学者と一口に言ってもすごい合理的な人から、そうでもない人までいて面白いなあという感じ。

  • サイエンス
    本の本

  • 2457円購入2013-03-19

  • 【所在】3F開架
    【請求記号】019.9||KA

    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/138754

  • 雑誌『科学』の連載「心にのこる一冊」をまとめたものです。心に残る本,道を拓くきっかけになった本,後生に残したい本。分野や影響の受け方はさまざまですが,「本」の魅力とともに,連載を書かれた方々の考えや生き様が伝わってきます。

  • 科学や理系の人にはいいが、ちょっとむずかしい本が多く、期待はずれ。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB06836835

  • 三葛館一般 019||KA

    雑誌「科学」の連載「心にのこる一冊」。63人の科学者、科学に関わりの深い方々の大切な一冊を紹介した連載です。SFから教科書まで、人生を変えた一冊、後世に残したい一冊、もっとも心に残っている一冊。ご自身のが所蔵されている本そのものの表紙の写真とともに紹介されています。

    和医大OPAC →http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=62096

  • 科学者がそれぞれの研究のきっかけや生い立ちにまつわる本を紹介する。

  • 紹介されているのが全体的に古い本が多いが、それでも手に入るなら読んでみたい本がある。ここから次に読む本を探したい。

  • 「科学者」の定義がどういうものか、自分としてはいまひとつわかっていないが、この本に出て来ている方々は、科学者というよりも、「研究者」と言ったほうが適切な気がする。
    小学生の時の僕の将来の夢は「科学者になること」だった^^ ので興味津々で読み始めた。
    自分の専門分野の本を紹介されている方もいたが(専門分野のことが理解できなかったこともあるが^^;)、それよりも、意外な本を紹介している方のほうが興味深かった。この本は7つの章に別れていて、中でも「夢」と「衝撃」の章に、印象深い本が紹介されていたと思う。

  • 展示期間終了後の配架場所は、開架図書(3階) 請求記号 019.9//Ka16

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