地球全史――写真が語る46億年の奇跡

制作 : 清川 昌一 
  • 岩波書店
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000062466

作品紹介・あらすじ

約100点の写真でたどる地球の全歴史。軌跡を求めて世界の地質をめぐり、奇跡に出会う-。壮大な地形や地層から大陸移動の謎に迫り、微小な岩石の一片に生命誕生の証拠を探す。世界60カ所以上で撮影した美しい大判写真で、誕生から現在まで46億年の地球史をたどり、各時代の特徴とおもな出来事について、最新の研究成果をもとに解説。地質年代表撮影地ガイド付き。

感想・レビュー・書評

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  • 8minaさんにご紹介いただいた本。46億年の地球史を語る迫力ある写真と、よくまとまった解説で構成されています。大陸の衝突跡の壮大な褶曲は圧巻。カナダ・ニューファンドランド島の砂岩の岩肌から浮かび上がるエディアカラ動物群の化石。固い殻や骨格を持たない平べったい形状が海底に積もった火山灰によって見事に残っていて、かれらが生きていた頃の想像を掻き立てます。そして、地質の博物館グランドキャニオン。サウスリムからコロラド川まで1400m下ると、なんと18億年の時空を旅することになるとのこと。アイルランド・バレンシア島に残る3億年前に最初に上陸した両生類の足跡。スイス・ジュラ山脈に残る1億年前の恐竜の足跡。これらの岩肌もかつて湿地帯のぬかるみだったのでしょうか。生物の痕跡として最も古いものはグリーンランドのイスア地域で見つかった38億年前のもの。人類の直接の先祖が登場するのは200万年前。地球史という時間軸で見ると私たちの登場はごく最近のことでありながら、私たちは地球環境に大きな影響を与えています。それでも、地球史から見れば数え切れないほど繰り返されてきた些細な出来事が、私たちにとっては存亡の危機になりえます。─世界史を学ばずにローマの古代遺跡を眺めても、その背景や存在意義がわからないように、地球史を知らなければわからないことが数多くある─ 地球史を垣間見て視座が少しだけ高まったように感じます

  • やっと、読めました。

    岩波書店のサイトで見つけて読もうと思ったのですが、写真全集なので価格が高く手が出せませんでした。近所に置いてある図書館も少なく、予約が何件か入っていましたので諦めていました。

    いわゆる地球科学の本ですが、地球が誕生してから46億年、遠い時間の痕跡は地形、地層として岩石に残されています。地球表面の地殻部分は下層マントルの対流で絶えず動き形を変えています。そのため、地表に残る太古の地形は少ない。著者の白尾さんと清川さんは、文字通り地球全体に残る、地球全史の痕跡を写真に残していきました。

    一つ一つの写真が語る(我々が解釈する)内容は深く、こんなにもダイナミックに動いているんだ、と感激です。地球古代の大気には酸素は少なく、シアノバクテリアが最初に酸素を作りだし、海洋中の鉄イオンを酸化して沈殿させました。オーストラリアの赤い大地はこの痕跡。太古のシアノバクテリアは今でも酸素を供給し続けている。

    全地球が氷で覆われるアイスボールがあったり、カンブリア期の多様な生物の大爆発。月は微小天体が地球に衝突した弾みで、地球マントルの一部が分離してできた、などなど、興味が尽きません。一つ一つの写真が素晴らしく、こんな地形もあるんだと感心しきり。

    あっ、コメントが地学好きに偏り過ぎていますね。

    読んでみて、やはり手元に欲しいと思ってしまいます。楽しいだろうなあ。子供も喜ぶかなあ?

  • 全編これ岩の写真という、一見何がなんだかだが、意外に写真自体も綺麗で観るに堪える。
    それ自体の美しさを鑑賞するも良し、予備知識や解説を得てより深く感じるも良し。そう考えると、出来の良い科学写真は芸術足りうるということか。

  • 【推薦文】
    露頭。それは、地層・岩石が見えている場所の事。「露頭を見ると考えちゃう」という職業病にかかった私が、ものすごく薦めたいのがこの一冊。世界中の露頭や風景の写真集&解説です。息を飲むほど綺麗な写真を眺め、そこにこめられた歴史を読み解きます。この素敵な本をひらいて、机上で気軽にフィールドワークへ誘われてみませんか。
    (推薦者:地球惑星科学科 B3)

    【配架場所】
    大岡山: B1F-一般図書 456/Si

  • すごい写真集である。世界中の地質学上の重要なスポットを写真で年代順にめぐりながら、地球46億年の歴史を居ながらにしてたどることができる。中でも、上空から見たアイスランドのシングべトリルの大地の裂け目や、フランス南部システロンのアルプスが作られた時の強烈な地層のシワなどは、実際に自分の目で見てみたいという気になる。この本に掲載されている地層や風景などのすごいのは、何よりも非常に貴重なサンプルであるという点だ。なぜなら、25~40億年前という大古代の地球の表層は、本当にごく限られたピンポイントだけでしか見ることができないからだ。大陸の大移動によって初期の海洋地殻のほとんどは、地球内部に沈み込んで姿を消してしまったし、残っている大陸地殻や海洋地殻は、衝突のためにほとんどが、変成してしまっているからだ。気の遠くなるような年月を経て、今まさにそれを目にすることができるという事実は、確かに「46億年の奇跡」以外の何物でもない。

  • 世界60カ国を15年かけて回り、地球46億年の歴史を刻む地層や岩石などを撮り集めた写真による、「地質」に焦点をしぼった地球の歴史書。
     冥王代、太古代、原生代、古生代、三畳紀・ジュラ紀、白亜紀、古第三紀・新第三紀、第四紀の、それぞれを代表する超絶ダイナミックな、そして美しさ、迫力ともに満点の「地質」が気の遠くなるような長い年月の物語を語っている。その記憶に耳を傾けているうちに、自分が生きているこの世界の不思議さ、悠遠さ、かけがえのなさがいつしか深く胸に刻みこまれている。
     巻末に配置された地球の歴史の科学的概論は、コンパクトながらわかりやすくポイントを丁寧に解説しており、本書に一層の深みを与えている。

  • 写真がきれいで壮大、うっとりできる。地質に焦点をしぼった歴史の本は珍しい。何十億年と生きてきたという事実、時間の重みを、地球の肌から感じる。

  • 地球の活動のダイナミックさに、ただ、ただ驚嘆する。
    何か見返りを求めるのでない。それなのに、これほどまでにうごめくとは。

    人類に与えられた、あまりに大きな遺産の前に、涙してしまう。

    そして、この小さな私の中にも、血が流れ、臓器が、細胞が活動し、この地球と同じように生かされていることに、あらためて気づく。

    踏みしめる大地、頬を撫でる風、目に眩しい緑も、自分と同じように生かされ、私たちと自然は互いに生かしあう関係にあることに畏怖の念を抱く。

    原発の廃棄物を垂れ流される地球は、たんなる場所ではない。

    私たちは地球と対話せねばならない。

    この美しさに感動できるなら、まだ地球との交渉のテーブルは用意されている。

    今の内に、取り返さねば。
    本当の、地球との共存を。

  •  図書館で手にしたのがきっかけで、中古本を購入した。
     この手の本は読み終わるというものでもあるまい。手元において学びたい時、確認したいと思ったときにとそばに置いておきたいと思えた一冊だ。
     このような本を提供していただいた本著の写真家氏に敬意を表したい。

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