こころ (ワイド版岩波文庫 204)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000072045

感想・レビュー・書評

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  • 読むのに時間がかかった。先生の逃げ腰がひたすら続くところ、最後の最後の逃げ方まで嫌いだった。ただ、深い闇があって計り知れないのだとは思うけど、読んでいて耐え難かった。

    たぶんこの本は難しくて、私にはまだ理解しきれていない部分もあると思う。

    私と先生の話。私とKとお嬢さんの三角関係の話。

  • 日本人の価値観が変わっていっている中で、明治終わりの日本人の価値観がどうだったかを感じられる。
    真面目。融通が効かない。恥ずかしがり屋。自分が思ったことを正直に口に出せない。自分のやりたい事を素直にやれない。
    登場人物の言動に、素直に言えばいいのに!とやきもきさせられる。けど、共感もできる。
    自分の性格のルーツを感じた気がしました ^_^;

  • 2015.6.2私が初めて読んだ夏目漱石の作品。読むのは二度目。前期三部作を読み、夏目漱石の小説の主題となる、無意識の偽善、真面目さとか理性、徳と言えるものと、欲望、とくに愛への欲望との間での引き裂かれという視点で読むと、より深く面白く世界観に引き込まれた。人間は罪深く、どんな綺麗事を並べても結局利己的で自分が一番可愛い。そんな人間の汚れた部分と、その汚れを直視した真面目さ故の自殺に至った先生、Kに対する、なんと言ったらいいのか、人間に対する慈愛というか、憧れの一種のようなものも感じてしまった。利己心と利他心、徳と不徳、善と悪、理性と感情、あるべきとありたい、そうやって人間は引き裂かれる。どっちの極端にもなる。善人がある時に急に悪人になるように、不気味さすら感じるほどの策略を持って相手を貶め利己的になる悪にもなれば、真面目さによる罪への後悔から逃げられず、自ら人生を終わらせるほどの、罪に対する潔癖というか、そんな極にもなれる。そういう人間の複雑さ、相反するものが内部に絡み合って成り立つ人間性というものを描いた名著。

  • 20141210
    独白系で時間がかかったが何とか読み終えた。
    うつ状態の人が多く出てくるね。

  • 両親を亡くした先生は、政略結婚をさせられそうになった挙句財産を誤魔化されて人間不振になる。
    下宿先のお嬢さんに初恋をし(恋に対する信頼は健在)、しかし母親が自分の財産を目当てに近づいているのではないか、という疑惑との板挟みになり、気持ちを打ち明けられない。
    そんな所へ、先生は半ば無理矢理Kという幼馴染みの親友を同居人に加える。男気があり、成績優秀で、自分は到底敵わないKへ嫉妬心が起きる。
    そしてKはお嬢さんに恋してしまう…

    読み返してみたら、叔父に裏切られたという人間不振のきっかけを忘れていたので、先生の苦悩が前よりしっくり来た。

    人間失格のように、読んでいてやりきれない苦しい気持ちになった作品。
    文章がシンプルで綺麗。殆ど『た』で終わっているが、一文の長さが上手くリズムを取っていて読みやすい。不思議。

  • 「こころ」
    先生とのお話。


    こころ。小学生か中学生の頃ちらっと読んだ以来です。当時は、夏目漱石作品の面白さが全く分かっていなかったし、例えば、「吾輩は猫である」も何で名作と呼ばれているのかさっぱり分かりませんでした。当然私は、猫が主人公と言う取っ付きやすい物語にもかかわらず、興味を惹かれる事もなく、最後まで読み切れなかったのです。


    そんな私なのだから、題名がこころと言う崇高なもので、中身も先生の覚悟や苦悩がびっしり出てくる本作を読み切れるはずも無かった訳です。


    しかし、10数年経った今、やっと読み切る事が出来ました。さて感想ですが、まず先生に憧れを抱いた「私」が勝手に失望し、悲しんだり怒ったりするのは、憧れを抱く側の心情としてはあり得ると思うけど、海にいたおじさんに憧れを抱くと言う所にリアリティを感じませんw


    しかし、このリアリティの無さは、どうでも良くなりました。先生が抱えているものにとてもリアリティがあり、人間の本質が先生を通して透けて見え、もう海のおじさんに一目惚れしたなんて忘れちゃうのです。特に、「私」を信じて行く心情の過程や奥さんの心の描写、2人の間に入る「私」の感情なんか人として抑えるべき所を抑えていると言うか、人を語る上で避けて通れない箇所を見事にずばっと指摘しているように思います。だから説得力が文章からひしひしと感じる。


    先生の覚悟を「私」に伝える所が一番の読みどころであり、それが奥さんとの関係を紐解くキーになるのだろうけど、私はそこに辿り着くまでの過程の方に惹かれました。


    さて次は何を読むべきか。果たして夏目漱石を好きになれるか。今年の挑戦の1つです。

  • 2014.5.15読了。
    高校で大方の生徒が学ぶであろう夏目漱石の『こころ』。私もまた授業で私とKとお嬢さんの話として覚えている。いつか本編を読みたいと思っていたが、授業で学ぶ前に全編読んでおくべきだった!主人公の立場で読み進めたいのに先生の立場を知ってしまっているからどうしても先生目線になりがちになってしまう。
    でも授業でやることのなかった先生のさらに細かい過去を読むことができてより理解は深まったから良しとしよう。ちゃんと全編読んだからこそ高校の時とは各人物の印象もだいぶ変わったしな。
    ところで主人公の祖父の最期は?
    結末をきっちり書かないあたりやはり文学作品らしいなぁと思う。
    そういや誰も救われない話を久々に読んだな。

  • 自分の中の基本です。大好き!

  • 学生の時以来?に読みました…
    夏目漱石…流石ですね。
    読んでいると若干、重いですが、名作ですね。
    情景、心情などが、すごく細かく描かれています。

  • 高校生のときに読み、また読んでみた。登場人物の心情を楽しめた。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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