データブック貧困 (岩波ブックレット NO. 730)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (79ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000094306

作品紹介・あらすじ

世界の、アジアの、そして日本の、貧困の実態はどのようなものなのか。激変する世界状況の下で貧困はいかにしてつくられているのか。日本に生きるわたしたちに向けて、世界の「貧困」事情をわかりやすく解説する。

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  • 一、資本主義経済がシステムとして生み出す、中心・周辺としての絶対的貧困
    二、生活の不安定性の増大「新しい貧困」
    三、そして、相対的貧困が絶対的貧困に容易に転落しやすい生活脆弱世帯

    貧困問題を理解するための入門書
    ①堤未果「ルポ貧困大国アメリカ」
    ②暉峻淑子「豊かさとは何か」
    ③橘木俊昭「格差社会何が問題なのか」

  • 貧困の入門書として分かり易く、データなどの資料も明示されています。ただ、提言が少なく、事例がないことがネックだと思いました。

    貧困を語ることは困難で複雑なため、国際的な取り決めをされていても国ごとに異なることも指摘しています。
    経済の発展によって、人口増加・大量消費・大量消費を経験してきました。

    その中で富を持つもの/もたざるものの差が広まってきていることが問題となっています(ex.1%vs99%)
    グローバリゼーションの現在、世界各国が交易や資本などで依存し、関係が深くなる。

    その中で、人種・宗教・政治・経済・軍事などの複合要因が絡まり、人々を拘束してしまいます。
    本著では、
    東南アジアなどの貧困解決の道
    ①格差縮小への取り組みを進めること
    ②国の民主化ー住民の経済社会への参加と市場の拡大
    を提唱しています。

    日本
    ①第一次+二次+三次産業=第六次産業
    (簡略化して言うと、 生産、加工、販売までの一括した産業を作り上げる)→農業のブランド化 地元の雇用創出 人口減少への歯止めなど
    ②観光地化
    世界遺産の登録・地域に特産物やご当地キャラクター・グッズなど地域に根差したものを作り、観光地として売り出す。

    メリット・デメリットがあるので、この策が全て正しいわけではないことに注意してほしいです。
    今後は
    先進国が少子高齢化による人口減少
    発展途上国が経済・人口増加 
    この流れが加速していき、世界の勢力図が大きく変化していく可能性があります。貧困は作られるものだという筆者の意見にグッと心を動かされました。

  • 世界の貧困について、発展途上国から先進国の貧困に至るまで、その動向と原因をコンパクトにまとめている。特に本書の前半部分は良くできていた。
    その考え方のベースに社会主義的な要素があることは事実だろうが、あまり鼻につくほどではない。
    むしろ、後半部分で市民社会・人権というような精神的な面に焦点を当てていたことの方に抵抗感を感じた。
    極めて薄い本なので、手軽にパラパラと読んでみると、気づかされることもあるかもしれない。

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著者プロフィール

西川 潤
1936年生まれ。
早稲田大学名誉教授。学術博士。
専攻:国際経済学、開発経済学。
主著『人間のための経済学――開発と貧困を考える』(岩波書店、2000年)、『グローバル化を超えて――脱成長期 日本の選択』(日本経済新聞出版社、2011年)、『新・世界経済入門』(岩波新書、2014年)、共編著『連帯経済――グローバリゼーションへの対案』(明石書店、22007年)、『開発を問い直す――転換する世界と日本の国際協力』(日本評論社、2011年)など。

「2017年 『共生主義宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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