農山村再生 「限界集落」問題を超えて (岩波ブックレット NO. 768)

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  • Amazon.co.jp ・本 (63ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000094689

作品紹介・あらすじ

都市の水源であり、日本の食を支える場でもある農山村。「限界集落」問題をまつまでもなく、現代社会のさまざまな難問が集中し、著しく顕在化している。高齢化は?医療は?農業・林業の担い手は?山積する諸課題を整理し、元気に活路を見出している集落を紹介、希望の途を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 学者はどう考えるか、冷静な論考。政策面で、本腰のアプローチが必要という。著者の別の本も読んでみたい。

  • 曽根英二『限界集落』に比べると、それを乗り越えるためにはどうしたらいいか、という姿勢が濃い分、読んでいてちょっと安堵する。

    「高度経済成長の過程で、このようにいたる所に「東京化」への期待が生まれたが、それは、人々の価値観が単一の「ものさし」となったからであろう。本書で繰り返し問題提起している「誇りの空洞化」はこの過程で生まれた」(p43)という記述に、同意。経済的な支援や産業振興だけでは、「東京化」(これは資本主義化と同じような意味に思う)の流れを止めることはできない。「東京化」を相対化する「ものさし」を、地域から発信していければいいなと思う。そのひとつに、地域の歴史文化が使えるならば、僕にとって歴史を研究する意味は素晴らしいものになるだろう。

  • 地域政策の本はいろいろあるが、この本は農山漁村、それも「小規模・高齢化集落」(「限界集落」)といわれる地域に焦点をあてている。こうした農山村は水・食料の供給地で、二酸化炭素吸収源としても重要だ。内容はきわめて整理されており、分かりやすい。まず、農山村では人口が社会減少(転出)から自然現象に転じており、農林地の荒廃、寄合回数などの減少に顕著にみられる「むらの空洞化」が進む。そして、「子供には、ここに残って欲しくない」という「誇りの空洞化」が進む。日本には9戸以下の集落は5700あるそうである(2009年)。市町村合併で「見えない農山村」が発生しており、1998〜2003年の間に所得も12%減少している。こうした集落の再生策としては、島根県川根地区の「振興協議会」を挙げている。従来の寄合を「守りの自知」とし、振興会は若者や女性も個人の資格で参加できる「攻めの自治」であり、ガソリンスタンドの経営など経済活動もする。こうした自治への参加は「幸福感」とも関わることが分かっている(『幸福の政治経済学』)。そして、「新しい産業構築」の方法として、地域資源保全型経済(乱用に注意)、第六次産業型(農家レストランなど)、交流産業型経済(グリーンツーリズムによる学びあい)、小さな経済(月額3万〜10万の所得増、直販所や農産加工など)を指摘する。さらに、役場の巡回や若者のボランティア、ふるさと納税などで「見守られている」という実感が地域の元気を呼び起こすことを指摘し、都市と農山村の対立をこえて、両者が補いあう関係を政権が指導しなければならないと指摘している。

  • 体系的にまとまっており面白い。

  • ・小さい経済を地元の人で構成し、たくさんの小さな経済をまとめる存在として若者を雇用し、「中くらいの経済」を生みだす。

    ・第1次、2次、3次産業の連携=第6次産業

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著者プロフィール

〔略歴〕 明治大学農学部教授。1959年、神奈川県生まれ。
東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学。博士(農学)。

〔主要著書〕 『農村政策の変貌』農山漁村文化協会(2021年)など。

「2023年 『新しい農村政策 その可能性と課題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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