ルポ イチエフ――福島第一原発レベル7の現場

  • 86人登録
  • 3.96評価
    • (8)
    • (9)
    • (5)
    • (2)
    • (0)
  • 10レビュー
著者 : 布施祐仁
  • 岩波書店 (2012年9月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000221948

ルポ イチエフ――福島第一原発レベル7の現場の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 再稼働だったり、除染作業だったり、注目されるのは、政治家や東電の動向だけ。この本は、現場で働いている作業員の方々にも光を当てるべきだという問題意識から生まれた。基本的に、作業員、元作業員のインタビューで構成されている。中には、作業中亡くなった方の遺族のインタビューもあり、痛切な言葉が胸をつく。
    原発事故から、早数年。いままた読み解く価値あり。

  • 3・11」の大事故以来、いつ果てるとも知れない復旧作業。放射能汚染のなか、原発事故の現場で作業にあたる原発作業員が「イチエフ」と呼ぶ福島第一原発テで作業に当たる労働者たちにスポットを当てたルポです。

    先日、夜のニュース番組で福島第一原発の元作業員が労働基準監督署に原発内での被曝を巡って東京電力と関電工を安全管理を怠っていると申し立てを行っていたというニュースを見ていて、「3・11」以前はこういった原発の被爆労働に関しては東京電力側があの手この手で闇から闇に葬ってきていたので、こういったニュースが流れるということは東京電力の力そのものが弱体化してきたのかな?といぶかしんでいた時期に、本書にめぐり会いました。

    ここに筆者の執念にも似た思いで記録される放射能汚染のなか、原発事故の現場で作業にあたる 原発作業員が「イチエフ」と呼ぶ福島第一原発の中で、通常ではありえないような猛烈な放射能を受けて被曝しながらも、「誰かがやらなければいけない仕事」としてある種の『覚悟』を持って働く原発労働者の『声なき声』でありましたそこには『使命感』だけでは割り切れない生々しい世界。

    具体的に言えば劣悪な労働環境であり、現場では後期を絶対に遅れさせてはいけないということで『安全より工期』の元に横行する違法派遣・請負、さらには労災隠しの現実。そして、文字通り寿命を削って働いて得たはずの危険手当さえ、人夫出しの「親方」たちにピンハネされるという話には、以前から樋口健二氏の著作やYoutubeなどの動画サイトを見るなどして、知識として知ってはおりましたが、こうして書籍という形で改めて突きつけられると、報道されていないことはたんまりとあるのだな、とつくづく思ってしまいました。

    ここに記録されているインタビューそんな彼らの『声なき声』であり、現場の悲痛なまでの『叫び』であります。それでもこの事故を収束させるため。地元を元に戻そうとがんばり続ける彼らには本当に尊敬以外の念はございません。

  • 地方に厄介なものを押し付けて、その処理まで弱者に押し付けた上での豊かさとは?

  • 原発事故後に働く人々の心意気に涙。彼らがいたから、今の日本があるんだ。
    とは言え、環境は劣悪。日当だって末端(ピラミッドの底辺)では一万円ちょっと。危険手当ですら中抜きされている。そして許容量を越える放射線を浴びたら(食うと言うらしい)使い捨て。

    これが現実ですか。

  • 本裏表紙よりの引用

    誰が原発事故の現場で働いているのか?
    高濃度の汚染の中で、事故の真の収束をめざし、日夜、作業員が働いている。
    被爆は避けられず、過酷な現場では労災も続発する。
    だが、それでもなお、劣悪な労働環境は改善されない。
    横行すえう違法派遣、請負、労災隠し.....。
    危険手当てさへ、ピンハネされる。
    それでもなぜ、彼らは働くのか、作業員の肉声を伝える。

    被爆することを「食った」と表現するそうだ。
    元々必ず誰かが食わないと存続できない原発って?????
    今も放射能をだし続けている原因は改善されないまま、繰り返される除染とは?????
    この現状をしっかり再認識しないといけないなと思う。
    必ず読んでほしい本です。

  • <閲覧スタッフより>
    大破した福島第一原発「イチエフ」。その収束にむけて今も働いている人たちがいる。その現場と、働く人々の現状、肉声を事故発生から約1年かけて取材しています。

    --------------------------------------
    所在記号:543.5||フセ
    資料番号:10223314
    --------------------------------------

  • 原発に賛成反対どっちだろうーどの意見のひとも必読な一冊。

    原発労働者がフクイチで働く理由は正義感とかお金とか人それぞれ。
    でも被爆のリスクが高いのは同じ。

    そのひとたちが使い捨てされている。
    被爆管理もちゃんとしてない。
    給料の中間搾取が激しい。

    事故の処理も使い続けていくことも彼らがあってこそなのに。

    これを読んでしまうとやっぱ東電社員は保証はあるんだから率先して線量が高いところで作業すべきと思ってしまう。
    でもこれが経済優先の社会で生きることを選択したってことなんだよね。。。

  • 福島の原発で事故後に働く人々を取材したルポ。4次請5次請の危険手当のピンハネ構造、同じ作業をしているのに異なる手当、線量を超えると働けなくなる原発現場の現実。
    偽装請負、派遣を放置したツケが、事故後の原発にまで及んでしまっている。東電は一次請には経費を払っているのだから、経費節減とも価格競争力とも関係無いなかで、何の生産性も無いピンハネに原発事故処理費用が消えていき、働く人々に還元されない。分かっていた気になっていたことだけど、改めて読むと痛い。

  • 「本当に浜通りが復興するのは、子ども達の世代になってから。彼らが、あまの俺らの年齢になった時、みんながんだ白血病だ、子どもが奇形児で生まれたなんていったら、復興もできねえ。そうなるとは限らないけど、ならないとも言えない。だから、子どもがいるやつは帰ってこないほうがいいと思ってる。俺は、子どももいねえし、ここまできたら自分の目で結末まで見届けたい」

    イチエフ、フクイチとは、福島第一原発のことだ(原発作業員はイチエフと呼ぶ)。近い将来作られるに違いない(作らないといけない)原発事故の映画には、現場作業員たちの活躍がメインでないと、リアリティが出ないだろうと思う。その時にセリフに採用出来る様な証言が、特に前半には散りばめられている。

    後半は一転して、異常な労働がレポートされる。ピンハネの仕組み(ほとんどの作業員が一日1万円-1万5千円しかもらっていないというから驚きだ)も凄いが、その原因はその原発労働ヒエラルキーにある。日立、東芝などの元請を頂点として地元登録業者の3次請、非登録業者の7次請までの構造である。偽装請負と違法派遣が恒常化している異常な状況が、この異常な原発事故労働でも全く改善されていないという「異常な状況」がレポートされる。労災隠しや被曝隠しも公然と行われている。

    「もうちょっと現場の人間が報われてもいいと思いますよね。線量パンクしたら使い捨てですから」

    私たちはまだまだ原発労働現場を知らない。もちろん私は今すぐ原発をゼロにしないといけないと思っている。そのことは、原発労働の仕事がこれから数十年間無くなることは意味しない。廃炉作業は多大な時間とコストを要するからだ。
    原発労働者の労組つくりの動きはわずかにあった。しかし、すぐに潰される。もし、下請労働者の組織つくりが成功しても、ヒエラルキーの上から仕事が降りなければそれで終いだからだ。だから、大手正社員の労組が作られ、それに非正規社員も参加するという形か、一挙に圧倒的な数の下請労働者の組織化がはかられるということが必要だ。と私は思う。それに組織つくりに世論の圧倒的支援が必要不可欠だろう。その芽は今のところ無い。だからこそ、この様なルポで、原発労働の「現場」の理解することはその出発点になるに違いない。

    いつの日か、一緒に手を携えて原発ゼロの運動が出来ないものか。
    2012年11月23日読了

  • 和図書 543.5/F96
    資料ID 2012103509

全10件中 1 - 10件を表示

布施祐仁の作品

ルポ イチエフ――福島第一原発レベル7の現場に関連する談話室の質問

ルポ イチエフ――福島第一原発レベル7の現場はこんな本です

ルポ イチエフ――福島第一原発レベル7の現場を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ルポ イチエフ――福島第一原発レベル7の現場を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ルポ イチエフ――福島第一原発レベル7の現場を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする