VANから遠く離れて――評伝石津謙介

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000222228

感想・レビュー・書評

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  • 衣食住の衣を以って若者たちが親とは違う世代であることを表明した最初のアイコンがVANだったと思います。そもそもVANが雑誌の名前の譲り受けであり、前衛(van-guard)を意味していることを本書によって始めて知りました。ヴァンジャケット創始者、石津謙介の人格形成に京大・瀧川事件の瀧川幸辰教授をも登場人物とするような戦前のモダニズムが大きく影響していることも意外でした。しかし石津のモダニズムはモダンボーイとしてのこだわり。日本人がなかなか持ち得ない自由な浮遊感覚が本書を横溢していて、ちょっと豊かになってきた時代の青春がそれを欲したのはわかる気がします。(浮遊感覚で言えば、61番目のグライダーの滑空教士免許の持ち主!)そのフワフワ感が炸裂するのは実は倒産までの過程。句読点さえも感じないように一気に起こる崩壊の主役は商社であり、労組であり石津の存在感は全くありません。本人がポジティブな意味だ、と断り書きつけても、ソフト産業は虚業だ、と言っているところにクリエーションとビジネスが別レイヤーだった昭和時代を感じました。

  • ホントのIVYブームは知らないけど、POPEYE世代の私もオシャレや遊びの影響はVAN......というか石津謙介の影響はかなり受けている。
    最近、着るものを含めたライフスタイルに拘りがなくなってきたことに、大いに反省させられた一冊であった。

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