演劇 vs. 映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか

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著者 : 想田和弘
  • 岩波書店 (2012年10月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000222884

演劇 vs. 映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるかの感想・レビュー・書評

  • 中を作りこむのもいいけれど、それがどう見えるかが最終的には一番大事。
    間をいかに活かすのか?
    それが問題です。

  • 『演劇1』『演劇2』それ自体が観察という手法を用いたドキュメンタリーであるわけだが、本書はそのドキュメンタリー映画のドキュメンタリーに位置づけられる。

    こういった入れ子構造は本書においても随所に出てくるキーワードである。平田オリザ氏が定義する「ペルソナ」に端的であるが、私達は普段の生きている状態ですでに「演技している」状態にある。その場や相手に応じた役割を演じている複数の自分(ペルソナ)が重なって一人の人間になっている。

    つまり、ドキュメンタリーはありのままの人間の姿を捉えている前提ではあるが、そもそも「素」の人間など損存在しないのではないか、ならばこの「ドキュメンタリー」が映している人間は数ある「虚構」のひとつにすぎないのではないか。

    しかし人間の姿がペルソナの集合体である以上、演技している状態の人間を映し出すことそれ自体がドキュメンタリーとなる。ゆえに「ドキュメンタリーは虚構を映せるか」という著者の深層テーマが導き出される。これは映画撮影を通じて得られた重要な指摘である。

    映画みたいなー。

  • むう。映画を観てから読むべきである…。

  • "『選挙』を見ていたのに、なんで想田さんの撮影を受け入れたんですか。どう描かれるかわからないのに」と平田さんに訊いたんですね。そしたら平田さんは一言「いや、コメディのヒーローになりたくて」って言ったんです。"

  • 想田監督によるテキストだけでなく青年団メンバーや岡田利規さん、映画コメンテーターとの対談も。
    いろんな方向から「演劇1」「演劇2」とはなんだったのか?を深められる。
    想田監督の映画はいつも映画単独+書籍と合わせて、で2度おいしい。

  • 昨秋に映画「演劇1」「演劇2」を鑑賞。その後、図書館でこの本を予約。

    どういう思いで撮ったのか、編集したのか。
    オリザさんや青年団、美術スタッフ、映画批評家、演劇人との対談。
    どこからが素で、どこからが演じているのか。
    普通の日常生活でだって、殆どの人は色々な仮面をかぶっているらしい。
    誰かの夫や妻であり、誰かの子供でもあるし孫であることもある。親で祖父母のこともある。
    マンションや町内会などの役員をしているけど、他の集まりではそうでなかったり。会社などの中でも何らかの役割を演じている。
    その仮面の総体が「自分」だと。
    映画の中でも触れられていたこの部分が一番気になりました。

    読み終わったら、また演劇1・2が見たくなりました。
    これが想田監督の狙いかもしれません(笑)

  • 普段好きで公演を見ている青年団を取り上げた映画があるというので、
    観たところ、ドキュメンタリー映画にとても興味が湧いたので、
    本を読んでみた。

    映画を見た時、上映時間に驚き、四年くらい前の映像なことに驚き、
    完成度に驚き、ということは映像自体の時間はきっと膨大で、
    取捨選択に大変な時間がかかってそう、ということでまた驚き、
    だったのだが、その大変な編集をどのように進めたのかがわかった。

    あの長い上映時間は、実は観て得られるものに比べたら、
    充分短いんじゃないかと思った。
    あの上映時間で、青年団の活動をあんなに面白く、
    濃密なかたちで見ることができたことは貴重だと思う。
    自分の目と耳で、青年団の活動を間近で観察できれば、
    自分なりの解釈で色々なものを受け取れるだろうけど、
    そんな機会に恵まれないし、時間もかかるし、
    しかしこの映画は、想田監督という視点を通して、
    ずっしりと情報を受け渡してもらえるのだ。

    個人的なことだけど、想田監督が青年団に興味を持った経緯に、
    すごく同意した。

    「虚構」のことについては、また改めて考えてみたいと思った。

    それから、岡田利規さんとの対談で、
    二人ともしっかり睡眠時間を取らないとダメなタイプということがわかり、
    なんだか安堵した。

  • 私にとっての演劇は、虚構を通じてリアルへと近づく営みだと言ってもいい

    現実に悲劇的な出来事が起こっても「悲しい」という感情すら出て来なかったりするのに、映画で見ると簡単に泣いたりする。それは人間というものが、一旦物語っていうか「解釈」を通さないと、いろんなことが認識でいきないってことなんじゃないかと思う。物語や言葉になった瞬間に、ようやく実感が沸く

  • 演劇1・2を観てから読了。場面の必然性が浮かび上がってきて非常に興味深かった。

  • 映画めっちゃおもしろかったから読まねば

  •  演劇1、2を撮影した監督による、撮影して感じたこと、撮影されて感じたことをまとめた一冊。
     タイトルの「演劇vs映画」というよりは「リアルvs演技」と感じた。

     私はノンフィクションを読むのが好きなのだけれど、そこに求めるのは「リアルさ」ではなくて、その現実に直面した著者の気持ちのブレを一番見たいと思っている。
     そういった意味で、ここに書かれている「人間は演技する生き物」や「素に見えるが常に演技している」こと。編集した時点で虚構であると言い切ってもらえると、非常に痛快で楽しい。
     だってリアルなんてものは、見た人間の数だけ存在するのだから。

     それから、役者さんたち凄い。
     外面しか気にしないということは、本人の人格が守られているということであり、指示が具体的でないとどうしようもないので、精神論に落ち着かない。
     共有をするというのは、これだけのハードルが高いのか、と。


     猫の場面、増やしたんですね(笑)

    ---

     11/3 映画館で演劇1、2を鑑賞。
     今まで、平田オリザ氏の言う「役者は駒だから」というのを、額面どおりに受け取っていたんだけど。(あまりよくない意味で)
     これを見て、平田オリザ氏は建築家のようだと思った。設計図を引き、理想の建物を作る建築家。
     建築家は素材を組み合わせて建物を作る。
     そして、素材を生かさなければよい建物は作れない。そういう意味で役者は素材なのだろうと。

     一方的に自分の望むとおりに演技させるのではなくて、役者を生かす意味での演出。
     当たり前なのかもしれないけれど、それは大きな違いだなぁと。


     それから、初めてのドキュメンタリー映画の鑑賞だったけれど、私、手ぶれ画像苦手なのを忘れていて、酔いすぎて、全部を見られなかったのが残念……。
     なんで酔うのかなぁと考えていたら、自分の視覚に絶対の概念があるから、監督の感じるままに動く視点についていけないのだろうな、と。なので、将来、視力が落ちるなり、老眼になるなりしたらもう一度じっくり見たいと思いました。

  • 引きこもりや不登校の子供たち。
    背景にはさまざまな理由があるけれど、
    いわゆる「良い子」が多く、
    子供たちは「自分を演じるのに疲れた」「本当の自分じゃない」と言うそうです。

    そのような子供たちに関して、
    劇作家の平田オリザ氏は、次のように、話しています。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    大人はですよ、さまざま役割を演じながら生きていますよね。

    例えば、教師とか、父親とか、夫とか、親と暮らしていれば子どもとか、マンションの管理組合の役員とか、いろんな役割を演じながら、人生の時間をかろうじて前に進めていると思うんですよね。

    ところが子供に対しては「本当の自分を見つけなさい」とか「本当の自分の意見を言いなさい」とかいうわけですね。

    でも、本当の意見なんか言ったら、困るじゃないですか。私たちは。

    普段の私たちは、社会的な生活や他人との関係の中で表現ってのは生まれてくるわけで。

    これを私たちは、タマネギの皮に喩えるんです。
    タマネギっていうのは、どこからがタマネギでどこからが皮ってことはないです。

    こういうのを演劇の世界では「ペルソナ」といいます。
    ペルソナというのは、「仮面」という意味と、パーソンの語源となった「人格」という意味の両方を兼ね備えているんです。

    要するに、仮面の総体が人格なんです。

    だから、私たちは演じる生き物なんですね。
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    なるほど、と思います。

    平田オリザさんの言葉には、力があります。

    相田和弘監督が、平田オリザさんや劇団「青年団」を撮影した観察映画
    「演劇1」
    「演劇2」
    を観て、そう思いました。

    本書は、「演劇1」「演劇2」の制作について書かれたもの。
    映画を観た後に読むことをお勧めします。

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