演劇 vs. 映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000222884

感想・レビュー・書評

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  • 普段好きで公演を見ている青年団を取り上げた映画があるというので、
    観たところ、ドキュメンタリー映画にとても興味が湧いたので、
    本を読んでみた。

    映画を見た時、上映時間に驚き、四年くらい前の映像なことに驚き、
    完成度に驚き、ということは映像自体の時間はきっと膨大で、
    取捨選択に大変な時間がかかってそう、ということでまた驚き、
    だったのだが、その大変な編集をどのように進めたのかがわかった。

    あの長い上映時間は、実は観て得られるものに比べたら、
    充分短いんじゃないかと思った。
    あの上映時間で、青年団の活動をあんなに面白く、
    濃密なかたちで見ることができたことは貴重だと思う。
    自分の目と耳で、青年団の活動を間近で観察できれば、
    自分なりの解釈で色々なものを受け取れるだろうけど、
    そんな機会に恵まれないし、時間もかかるし、
    しかしこの映画は、想田監督という視点を通して、
    ずっしりと情報を受け渡してもらえるのだ。

    個人的なことだけど、想田監督が青年団に興味を持った経緯に、
    すごく同意した。

    「虚構」のことについては、また改めて考えてみたいと思った。

    それから、岡田利規さんとの対談で、
    二人ともしっかり睡眠時間を取らないとダメなタイプということがわかり、
    なんだか安堵した。

  • 私にとっての演劇は、虚構を通じてリアルへと近づく営みだと言ってもいい

    現実に悲劇的な出来事が起こっても「悲しい」という感情すら出て来なかったりするのに、映画で見ると簡単に泣いたりする。それは人間というものが、一旦物語っていうか「解釈」を通さないと、いろんなことが認識でいきないってことなんじゃないかと思う。物語や言葉になった瞬間に、ようやく実感が沸く

著者プロフィール

1970年、栃木県生まれ。映画監督。東京大学文学部宗教学科卒。ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒。台本やナレーション、BGM等のない、自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの方法を提唱・実践。監督作品に『選挙』『精神』『peace』『演劇1』『演劇2』『牡蠣工場』『港町』『The Big House』『精神0』等があり、海外映画祭等での受賞多数。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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