折り返し点―1997~2008

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著者 : 宮崎駿
  • 岩波書店 (2008年7月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000223942

折り返し点―1997~2008の感想・レビュー・書評

  • 『出発点』以降の『もののけ姫』から『崖の上のポニョ』公開までの
    エッセイやインタビューを収録。
    ジブリで一番好きな作品が『もののけ姫』であるから楽しく読めた。

    混沌とした時代とか色々言うが、それでも結局
    子供に対しては、生まれてきたこの時代、この世界を
    肯定してやりたいと映画を作り続ける姿勢が良い。

    次は『到着点』になるのかな。

  • 本書は映画監督宮崎駿が『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』から『崖の上のポニョ』まで―企画書、エッセイ、インタビュー、対談、講演、直筆の手紙など60本余を一挙収録したものです。

    本書は映画監督、宮崎駿が 1997年から2008年にいたる12年にわたっていたるところに掲載されたエッセイ、インタビュー、対談さらには講演の原稿。スタッフに向けての企画書や手紙にいたる60本以上の「断片」を収録し彼の超ド級の思想をギュウギュウにつめた一冊で、読み終えた後はある種の疲労感と達成感に襲われておりました。

    『もののけ姫』 『千と千尋の神隠し』 『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』…。出す作品出す作品がもちろんヒットし、その一つ一つが「時代」というものを的確に捉えており、宮崎駿監督の名声はゆるぎないものかと思っておりましたが、ここで浮かび上がってくるのは生々しいまでの『人間・宮崎駿』であり自分自身が『この本を出すのは本位的ではなかった』とあとがきでもらしていた理由がなんとなくわかったような気がいたしました。

    作品の一つ一つや、対談で語られている『濃い~い』話。講演で話される『思い』。ジブリ美術館に寄せる情熱。その一つ一つは読んだのがもしこれが10代だったら天地がひっくり返るような衝撃を受けたであろうことは想像にかたくはありませんでした。いわば『完成品』である『宮崎アニメ』の中にこのような七転八倒の軌跡があるのかと。これを読んでから改めて一つ一つの『宮崎アニメ』を見返すとまたさらに深い『世界』の中に入っていけるかと思われます。ただ、かなり『毒気』も強いので、もし読んでいただけるのでしたら、その点は留意していただければと、そんなことを思っております。

  • 「出発点」と比べると文化人としての自分の立場をふまえての発言も多いと思うけど、面白い。近年の宮崎作品のストーリーの曖昧さや説明不足さというのが意図的な物だということがわかる。集団での地道な作業で作り上げなければならないアニメーションという手法や人間の年齢という制限が無ければこの人はどんな物が作り出せるんだろう。

    子供が大切ということを繰り返している。あとがきにかえての最後の文章がとても心に残る。
    「子供が成長してどうなるかといえば、ただのつまらない大人になるだけです。大人になってもたいていは、栄光もなければ、ハッピーエンドもない、悲劇すらあいまいな人生があるだけです。
    だけど、子供はいつも希望です。挫折していく、希望の塊なんです。答えは、それしかないですね。人類の長い歴史の中で、そういうことが繰り返し、繰り返し、感じられてきたんだなぁと思うんです。そういうふうにできているんですね、世界は。自分たちが作り出しているのではなくて、そのサイクルの中に自分たちもちゃんと入っているんです。だから、なんだかんだと言いながらも、なかなか滅びないんだと思います。」

  • 色々な着眼点があると思うけど、宮崎駿の死生観を見る上では非常に良い資料だなと思う。文字だけだけど、なんとなくどういう人なのかが伝わってくる良い本。

  • 「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」の作品論、インタビュー、対談。文化人類学的な要素もたくさん入っており、とても面白い。宮崎駿の視線て、とても遠い所を見てるのかと思いきや、距離ではなくて周囲180°を見回しているだけなんだと感じた。

  • もののけ姫からポニョまでの企画書・対談
    紺屋の白袴

  • もののけ〜ポニョあたりまでの宮崎駿さんの書かれたものをまとめた感じなんですけど。
    とにかく分厚い。

    中身のアニメについてどうこう語るというより、そのバックボーンとしての昔から今の環境とか、人とかを語っていて勉強になります。
    養老さんとの話は興味深いです。

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    所在記号:778.77||ミヤ
    資料番号:10233081
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  • 野心がなければ話にならない。自分の影響力や、表現力を広げたいと思わなくては駄目なんですよ。自分の持分の中だけで、キチンとやることができれば、それで良いと思っている人間が増え過ぎている。だから野心を持って、例えば、俺は編集長になって、この雑誌をこう作ってみたいと。ただ編集長になって権力を振るうだけでは困るけど、自分の考える雑誌を作るために権力が欲しいというような野心というのは決して悪いことじゃない。

  • 宮崎駿さんの、1997〜2008年、もののけからポニョまでの文章。
    環境への考え方。子供達への考え方。飛行機乗りへの考え方。
    しっかりと確立された人だなぁと思いました。
    ハウルだけ周辺を固めるような書き味?

  • こうも、細かい論のディテール抜きの正論だけを武器に、社会的に影響力を持った人も少ないと思う。

    それは大衆向けエンタテインメントに、この社会の根幹にまつわるクリティカルな警鐘を込め、作品として成立させるという奇跡を何度も起こしてきたから。

    視覚化すること、それを商業ベースにのせることの破壊力はすごく大きい。やっぱり偉大な人だとあらためて頭が下がる。

  • 「もののけ姫」

    今日、自然と経済活動には必ず環境問題が存在する。そしてその問題は日本を問わず、先進国から後進国まで世界共通の問題として横たわったおり、完全なる答えはないように思われる。

    経済活動が往々にして優先される事が多いが、あえて保護側を批判するならば、いつも「自然は人間が残すべきものなんだ。か弱いものなのだ」という論法が通年の気がしている。

    駿氏は本来の自然はその様なか弱気物ではなく、人間と耐えずせめぎ合いをしてきた非常なる姿だと言っている。

    確かにもののけ姫に出てくる動物達は獰猛である。しかし、自然界の強さを備えた姿には威厳に満ち溢れていた。
    日本の奥深い森は本来この様な威厳も持っていたはずだろう。
    人などが管理出来る様な物ではなかったのだ。

  • ああそうだなって思うことがたくさんあって勉強になりました。

  • この内容量でこの値段は安い。
    と読んでいる途中で思った。

    宮崎駿が色々なことに不満を抱いて、ムカついていて、イライラしていて、暴言吐いたり、そういうことは今まで製作映像やインタビューなど読んで知っていましたがこの本を読んでもっとその面を知り、自分の勉強不足やミーハーな姿勢など恥じました。

    そして、宮崎駿監督が色々なものにネガティブな印象を抱きながらもそこで腐ることなくポジティブに子どもたちに捧げたいという矛盾の中で必死に足掻きながら素晴らしい作品を世の中に送り続けてくれたんだということがわかりました。
    また、宮崎駿監督はスタッフに厳しいと製作中の暴言集を読んで思っていましたがそれはよりよい作品を作るために妥協しないだけであって、彼はとてもスタッフ、共に作品を作ってくれる仲間を大切にしているのだということもわかりました。

    『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』に関しては、作品に関する発言がとても多くて、特にこの二作品がお気に入りの私は嬉しかったです。
    ただ、宮崎駿監督は嫌うかもしれませんがハウルの内容について色々わからないことあったのでハウルの内容に関する発言がなかったのが残念ですが、それは私自身の姿勢が誤っていたと今では思えるので大した不満点ではありません。

    宮崎駿監督ご本人はこうしたまとめみたいな本を出すのが翻意ではないと仰ってますがその時々言葉を追えなかった(お気に入り作品公開当時は小学生だったので)身としては後から振り返ることが出来たので嬉しいです。

  •  アニメを海外向けにコンテンツとして有望視することについて(メモ)

     アニメで雇用を増やしたり、外貨を稼いだりなんて、こっけいな感じすらする。マイナーであることがアニメの活力を生んできたと思う。そんなアニメに国が本腰いれて取り組むなんて・・・・・・。90年代のナタデココのようになってしまうかも。一大ブームだ、さぁいくぞと思って意気込んで誰もが事業を始めたり投資した途端ブームが去って大誤算、後は損害だけが残ったということだってあり得る。過度の期待は禁物だ。現代のアニメ作品はいくらビデオで残そうとDVDを売ろうと、何百年単位では消えていく運命にある。

     海外に目を向けるのもいいが、日本は一億人を超える人口を持つ数少ない先進国だ。これだけの規模があれば、欧州の一国単位や韓国ではできないことが単独でやれる。だからこそ、アニメがここまで盛んになった面もあると思う。海外の評価ばかり気にして肝心の国内がおろそかになってはいけない。

    (p455)

  • もののけ姫~崖の上のポニョのインタビュー、対談集。
    インタビューはどうしても同じ内容が何度も出てきてしまうので、
    本としての密度は若干薄いところもあり。
    対談がおすすめ。
    網野さんとの対談とか収録されてるのが良いですね。
    富士見高原が読み応えあります。

    備忘録
    【もののけ】
    ・佐藤忠男氏との対談
    ・網野善彦氏との対談
    ・大人の一年間にあたる子どもの五分間がある
    ・アニメーションとアニミズム「森の生命思想」座談会
    【千と千尋】
    ・自由になれる空間
    ・万物生命教、再び
    ・富士見高原はおもしろい
    【ハウル】
    ・虫の世界・樹の世界・人の世界

  • 宮崎さんの『もののけ姫』以降、12年間の軌跡。この間の作品は『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』と『崖の上のポニョ』。映画製作以外の活動としてはジブリの森美術館の設立等があり、それらについて、直接的間接的に宮崎さんがどう考えているのかが本書で伺い知ることができます。

    但し、『もののけ姫』から時代が新しくなっていくに従って、映画自体について語られる事が格段に減って行きます。(特に『ハウルの動く城』については、本書では全く語られていませんでした。この作品は僕にとっては難しかったので、これについては非常に残念だった。)

    これは映画作品については作品自体から感じて欲しいという、宮崎さんの意図(希望)があったのではと思いますが、宮崎さんの社会的ステイタスが作品を追うごとに上昇していった事により、プロモーションのために、わざわざ語る必要性が無くなっていったからだとも思います。


    自然環境や日本社会等、様々な事が書かれていましたが、その中でも「失われた風景の記憶 吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』をめぐって」という小文がとても素敵でした。


    何分大著(全部で520余頁)なので、宮崎ファン、ジブリファンでなければ全部読み通すのは厳しいかもしれませんが、僕にとっては非常に参考になる良書でした。

  • とにかく全編通して宮崎さんの想いとしては

    『戦後~今までがたまたま平和であれただけで、
    これからは色んなことが、スッチャカメッチャカになる。
    でも長い歴史で今までもそうだったし、本来そういうものだ。
    ここ何十年の間、平和ではあったが、
    退屈で無駄で馬鹿でもあった。
    どんどん変化し、今までのものを手放したりする時代の中で
    生きること、次を捜すことは、とても辛くて苦しいけれど、
    それでこそ命は輝くし、世の中は複雑で豊かであるし、
    なにより、変化の時代には楽しさや発見が多くある
    (それを糧に新しいクリエイターにはモノを作ってほしい)
    (その中で子供たちを祝福し、生きて輝いてほしい)』

    ってかんじだろうか。

    『紅の豚』と同じく『ハウル』は自分のために作った映画という
    宮崎さんの言葉もあり、なるほど、この本で全くハウルについて
    全く語られていないのも、そういうことかなと思った。

    ポニョは、観たときに、個人的な感想として
    『ああ、母親の描き方がすごくいいな、
    現代の母親の理想のひとつかな』
    とも思ったけれど、この映画は、現代の男性・女性の代表として
    主人公も含めた登場人物にしっかりとした設定がしてあって、
    なるほど、すごく的を得ていると思ってゾクッとしたのが、
    一番の収穫。

  • 1996年に出版された『出発点』の続編となる一冊。
    「もののけ姫」、「千と千尋の神隠し」、「ハウルの動く城」、「崖の上のポニョ」に至るまでの12年間をインタビュー、エッセイ、対談等によって振り返っている。

    まず、本そのものの印象としては、前作よりもはるかに読みやすい。
    『出発点』では文章は項目ごとにまとめられ、雑多な印象を受けたが、『折り返し点』では全て時系列に並べられている。そのため、宮崎駿の心の移ろいが比較的分かりやすく綴られている。


    作品論として語るならば、『出発点』と『折り返し点』を読んで、「もののけ姫」に対する理解が一層深まった。宮崎駿は「環境」について、特に熱心な監督ではあるが、「もののけ姫」でこの問題に対する一つの結論を出していると思う。「風の谷のナウシカ」や「となりのトトロ」では、宮崎はまだ“文明社会vs自然”という構図でしか両者の関係をとらえていない。しかし、「もののけ姫」ではそうした構図は適用せず、敢えて曖昧にすることを選んだ。

    本書にもあるように、現代の環境問題とは「罪ある人間」が「素晴らしい自然」を壊すから問題なのではなく、「善良なる人間が良かれと思ってやったこと」が結果的に「環境問題」につながるのであり、人間と自然との間にはもっと「宿業」とも言えるような関係がある。
    本書を背景に「もののけ姫」を見ると、確かに善と悪は極めて曖昧になっていることに気づく。タタラ場を仕切るエボシは善悪の二面性を秘め、対する神々もその二面性を持っている。どちらかが善い悪いと言う訳でない。しかし、それでもなお「対立する両者が共に生きる道はある」と説くアシタカは、正に「この映画は環境問題に対する姿勢に関する映画」という宮崎駿のある種の代弁者と言えるだろう。

    「もののけ姫」で長年考えてきた問題に一つの終止符を打った宮崎駿は、これ以降もっと根源的で、観念的なテーマで映画を制作していく。キーワードは「こども」だ。本書にも繰り返し「こどもが喜ぶ映画を」といった文章が散見されるようになる。この社会はどうしようもない。こどもたちもやがてつまらない大人になっていく。諦観とも受け取れる発言を繰り返しつつ、それでも「こどもこそ希望」と説く宮崎駿。(本人にもその自覚はあるようだが)その様子にはつい「老い」を感じてしまう。



    それ以外にも本書には宮崎駿の魅力が詰まっている。
    前作以上に驚かされるのはその観察眼の鋭さである。例えば、342ページから始まる「富士見高原はおもしろい」という講演を収録した文章。一冊の本とわずかな散歩を手掛かりに、宮崎駿はそこがかつて大変栄えた村であったと推論するのだが、そのプロセスはとても説得力がある。そのバックボーンとなる普段からの情報インプットもそうだが、一つの事柄に関する鋭い洞察と深い考察はそこらの下手な学者をも軽く凌駕する。その洞察力の土台の上に宮崎駿のファンタジーの世界が広がっていることが良く分かるエピソードであり、大変興味深く読むことができた。

    ジブリファン、宮崎駿ファン以外にもオススメの一冊である。

  • 本棚に眠っていたのを、お盆休みに読みました。

  • 現実的な積み重ねと、信念以外に結果を生むものはないということが
    よく分かる本でした。

  • 『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』から最新作『崖の上のポニョ』まで―企画書、エッセイ、インタビュー、対談、講演、直筆の手紙など60本余を一挙収録。宮崎駿12年間にわたる思想の軌跡。

    宮崎駿の完成品が出来るまでの過程をのぞけます。

  • 私の人生において、おおいに影響力をもつ宮崎監督。いわずもがな、世界的な監督(影響されてない方が少ないのでは)のインタビューやエッセイ、メモなどが編集されてます。
    その創造の泉に一端でも触れたいとき、読みます。

  • メディア露出がほとんどない宮崎駿の考えにたっぷり触れることができる貴重な1冊。「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」に関するインタビューが特に多く、これを読んでから映画を観ると、受ける印象が大きくと変わる。読んだ後「ハウルの動く城」を観たら感動した。

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