- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000224161
作品紹介・あらすじ
ベトナム戦争反対の市民運動(ベ平連)をリードし、護憲平和運動(九条の会)の中心として活躍してきた二人の行動的知識人が、民主主義や社会のあり方について本格的に論じあおうとした対話の計画は、作家の死で実現しないまま終わった。本書は、作家小田実が生きていたらという想定の下、哲学者鶴見俊輔が試みた小田実との架空の対話を軸に、時代に屹立する二人の思想家の思想のエッセンスを凝縮した形で収める。絶筆となった作家の未発表の遺作や生前最後の講演の記録、また哲学者の単行本未収録の諸論考で構成する刺激的考察。
感想・レビュー・書評
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オリジンから考える
小田実 の生前に企画され 死後に出版された本。小田実の講演、鶴見俊輔の2011年東北大震災直後の哲学エッセイなどで構成。
小田実 は魅力的。国と個の流れを常に見ている。日本的なのに世界的でもある。小田実の本を あまり見ないが、なぜ 評価されていないのか わからない
小田実の人間観に共感する
*人間はみなチョボチョボ〜自分も他人もチョボチョボなんだから間違いを犯す
*小さな人間が 世直しをしないと大きな人間がはびこる〜民主主義のあるべき姿
*共生〜異なる価値観を認めて差別をしない
人間はみなチョボチョボ
だから 自分も他人も間違を犯す。それなら 間違いを指摘した人と一緒に行動すれば間違いは減る という考えは 人間の大きさを感じる
民主主義のあるべき姿
小さな人間には戦争を起こす力はないが、戦争をやめさせる力はある という信念と 小さな人間が 世直しをしないと、大きな人間がはびこる という危機感に 民主主義のあるべき姿を感じた
共生を co-habitance of different values (異なった価値を持った者が一緒に生きる)という造語で表現。おそらく共生は 平等で対等な関係を前提としている。仲良くというより 異なる価値観を認めて差別をしない という意味に捉えた
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小田実さんが面白い
71p~の「小さな人間の位置から」
が 秀逸
ギリシャ神話、ギリシャ悲劇、喜劇
その 名前の売れた大物
アガメムノン、アキレウス、アポロン
そんな輩を糞味噌に解釈しているのは
さすが 小田さん
俺たちは 所詮
なんの力もない そのへんのおっさん、おばはん
つまり その他大勢のデモスなんやから
どこに 自分を位置づけて読むかは
大事だよ
と それはそれは 説得力のある文脈
「源氏物語」で言うと
牛車を引っ張っている男が私よ。あなた方よ。
ほんとうに その通りだ!