- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000225496
感想・レビュー・書評
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・私の「玉砕」へのかかわり、思い(小田実)
・玉砕(小田実)
・ラジオドラマGyokusai(ティナ・ペプラー)
・英訳版「玉砕」のためのまえがき(ドナルド・キーン)
・崇高にしておぞましき戦争(小田実+ドナルド・キーン)
・変革すべき世界はまだまだ若い(ティナ・ペプラー)
小田実が『新潮』1998年1月号に発表した小説と、ティナ・ペプラーによる同題のBBCラジオドラマ版、ドナルド・キーンによる英訳(The Breaking Jewel)、関連テクストを収録した一冊。キーンにとって最初の戦場がアッツ島だった、という話はさすがに驚いた。
物語は、おそらくペリリュー島をモデルにしただろう南海の孤島で戦った若き日本人下士官と朝鮮人志願兵とを中心に展開する。小田の意図としては、「特攻」や「玉砕」を非合理的・狂信的な振る舞いとしてではなく、合理的かつ人間的な選択と判断によるものとして「世俗化」したかったのかも知れない。作中には、日本人兵士と朝鮮人兵士、沖縄人兵士の葛藤もしっかり書き込まれてはいる。
しかし、いま改めて読むと、小田実のある種の「マッチョさ」がとてもとても気に掛かる。「玉砕」した日本軍兵士を人間化することと、彼らの戦いを英雄的な奮闘として描くこととの間には、いささかの逕庭があるのではないか。大岡昇平の『レイテ戦記』にも同じことを感じたが、「彼らもよく戦った」と書かなければ、日本軍の惨めな敗北を物語化することはできないのか?
また、末尾の日本人「慰安婦」の「愛」をめぐるエピソードには、正直少し鼻白むところがあった。「玉砕」をめぐる物語を異性愛のメロドラマに回収してしまったことは、小説の強度を弱めてしまっているとわたしは思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本軍による自爆攻撃。
なんて馬鹿げたこと!狂った人達による、おぞましい歴史なのかと思っていたが‥
もし、その場にいたなら…わからない。
ドナルド・キーン氏の翻訳により世界に紹介されBBCではラジオドラマになったとか。
日本でも是非お願いします。
(追記)2019年2月24日没(享年96歳)